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怪盗 時雨桜

怪盗 時雨桜

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23

爆弾

♥

9

2021年12月29日

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〜ユキ(真冬) side〜

選手の入場が終わって、少し経つ

今のところ、特に怪しい動きはない

ソラ

『……?』

ソラ

『ユキ、その通路の上、少し見てくれ』

ユキ

上……?

不意に、ソラから指示が飛んでくる

特に何もないけど……

揃って上を見上げると、少し低い 天井が広がっているだけ

……だけど一か所だけ、通気口がある

ユキ

あそこ?

ソラ

『あぁ、行けるか?』

通気口なら、いつも盗みに入る時、 よく経路に使う

だから、覗く程度なら何も問題はない

人に気づかれないように、静かに飛び 上がって、通気口の蓋に手をかける

それから、中を除いた

暗視コンタクトのおかげで、 暗くてもはっきりと見える

左右に伸びている管を、交互に見回す

ユキ

……?

ユキ

何あれ……?

少し奥の方に、鉄でできた 箱のようなものを見つけた

ソラ

『やっぱり……』

ソラ

『それは恐らく時限爆弾だ。“ブラッド”達の方近くにも設置されてあったらしい』

爆弾……!?

急いで通気口の中に入って、 爆弾の方に這って進んでいく

近づいてよく見てみると、そこには たしかに、時間が表示されていた

ユキ

残り58分……

約一時間後、爆発する

ソラ

『一時間後は、開会式のフィナーレが予定されてる』

フィナーレと同時に……ってことか?

ソラ

『そうなるな』

それなら、今のうちに これを処理しなくちゃ……!

ソラ

『そこまで爆発の規模は大きくない。ただ、周辺の人には危害が及ぶ。』

ソラ

『方法が不確実な解除をするより、人を逃してそのまま爆発させた方がいい』

リーフ

『……もしもし、聞こえる?』

ユキ

リーフ?

リーフ

『こっちもユキ達と同じような状況。ボクらもこのまま爆発させるから、どうにかして人を遠ざける』

作戦はあるんか?

リーフ

『作戦なんてなくても、人を動かせればそれでいいでしょ』

ユキ

ボクらはどうすればいいの?

リーフ

『一旦こっち側に合流。そしたら……』

それから、リーフの考えを聞く

ユキ

……え?

リーフ

『方法を選んでる時間がないの。ごめんけど、これでお願い』

「ユキを探偵二人が追いかける」

つまり、ボクが人前に 出ないといけない

たしかに姿はもう出とるけど、それって時雨桜達はええんか?

流石に優も驚いたのか、 リーフに反論した

ソラ

『……ユキ、いけるか?』

ユキ

……分かった。やってみる

探偵が怪盗を追いかけて、 その延長線上で人を逃がせられる

リーフ

『じゃあ、ボクがナビをする。ソラはウィズ達の方に』

ソラ

『分かった』

リーフの指示に従って、 無事ウィズと浦田先輩と合流する

通信は、全員が繋がってる状態だ

リーフ

『まず、ユキがそこから飛び出す。そしたら、少し遅れて探偵二人が追いかけて』

分かった

リーフ

『ユキはさっきのところまで走って、浦田達は人を逃しながら追いかける感じ。決して演技ってバレないようにね』

幸い、二つの爆弾の位置は 近い場所にあった

だからボクは、片方からもう片方に かけて走って、その道中に 浦田先輩達に人を避けてもらう

爆発の範囲にいる人は少ないから、 いくらか簡単なはず

リーフ

『時間はまだあるから、ギリギリにいくよ。それまで、ウィズだけでユキ達のいたところにいてもらう』

ウィズ

おっけー

リーフ

『ウィズの方はボクが付くから、ソラはそのままこっちにいて。開始のタイミングはソラに伝える』

ソラ

『了解』

それから、リーフとの通信が切れた

ウィズ

……うん、おっけー。じゃあ俺行ってくるね

ユキ

気をつけて

リーフの指示を聞いたウィズが、 もう一つの爆弾の位置へ駆けていった

ソラ

『……俺達が動くのは、爆発する5分前らしい』

了解

その5分間で、人を逃して、尚且つ 自分たちも巻き込まれないように 逃げないといけない

ソラ

『ユキの経路は今考えてる。ただ、最悪競技場に降りることも想定してくれ』

ユキ

分かった

出来るだけそのパターンになって ほしくないけど、今はそんなことは 言ってられない

そうなったら、ボクはソラの 指示通り動くだけだ

ユキ

……そういえば、彩莉達は?

ふと気になって、ソラに聞いてみる

夕方に見かけた彩莉と叔母さんが、 もしこの周辺にいたら……

ソラ

『……!』

ソラ

『……ウィズの近くにいる。彩莉のGPSの反応があった』

ウィズの近く……じゃあまさか、 さっきまで近くにいたってこと!?

ソラ

『けど、少し離れた位置にいるから被害は……』

ソラ

『……?』

ユキ

ソラ?

何かを言いかけたところで、 ソラの言葉が止まる

ソラ

『……今、彩莉から連絡が来た』

ユキ

え?

彩莉が、わざわざソラに連絡?

ソラ

『……今ユキに送る』

そう言われた直後、赤いカラコンの 方に、トーク画面が表示された

彩莉

今私、オリンピックの開会式の会場にいるんです。

彩莉

さっき、坂田君と時雨桜姿の真冬が一緒にいるのを見かけたんですけど、何があったんですか?

彩莉

お節介ならすみません。でも、私に出来ることがあったら、協力させてください

ボクらの姿を、彩莉に見られてる?

もしかしたら、競技場の方に 気を張りすぎて、少し身を乗り出し すぎていたのかもしれない

ソラ

『人を逃すことなら、彩莉にも出来る。』

ソラ

『……どうする?』

彩莉のことに関して、最終的に 判断をするのは、ボクだ

ユキ

……協力してもらおう。

ユキ

人は出来る限り多い方がいいし、それに……。

ユキ

彩莉も、無関係な話じゃない

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