コメント
1件
凄いですね
あたしはまた、逃げ遅れてしまった
花奏
気づけば、捕まっていた。 細いそのでも力強いその腕に
健
風真
2人は察したようにそう言い残しいなくなってしまった 密室の空間に2人で抱きついてるあたしたち
蓮
逆光で見えなかった。 笑っていたその顔に、切ない涙を隠していたことに
抱きしめられて、首筋に温かな雫がこぼれるまで。
恋したことのないあたしは、気づいてあげることさえ出来なかったんだ
恋。ましてや失恋のつらさなんて知るわけがないあたしは、気の利いた慰め方など知るわけがなくて…
花奏
蓮
花奏
蓮
花奏
蓮
そんな言葉を耳元でささやくのはずるいよ このシチュエーションは、例え好きな男じゃなくても完ぺきに落ちてしまうだろう
夕焼け。空き教室。しかもイケメンな男子の腕の中
そして最後に
蓮
なんて言うのも反則だ
あんな嫌がらせの塊みたいな弁当をきれいに全部食べるって言うのも…
花奏
やっぱ女心わかってるな あの男…
なんて思いつつ、あたしもやばいな 一昨日から常に澤本君のことばかり
脳内澤本モード
あれからお弁当もちゃんと男の子ものにしてそれからも毎日食べきってくれるこのお弁当も愛おしい
そんなよくわからない感情と付き合ってから早数週間は立っていて、お弁当作りも放課後澤本君が倉庫に行くまでの時間空き教室で過ごすのも日常になり始めてきていた
沙友里
花奏
沙友里の言葉を遮って、あたしは大きく驚いた
花奏
沙友里
花奏
沙友里
花奏
彼氏いない歴=年齢のあたし
生まれて事方モテたことのないあたしからしたら、パラダイス!
素晴らしい!
あたしはこの瞬間から親友に言われたこの一言でいつもと同じはずの学校生活が別物になった
花奏
蓮
いつも通り空き教室に入った瞬間そう聞かれた。 あたしは、小指を立てた状態で澤本君と向き合う
花奏
蓮
蓮
花奏
花奏
頭をかいて照れ笑い
モテ男の澤本君には大したことじゃないけどあたしにとっては世界が180度変わるような素敵な話
蓮
花奏
小指を立てたまま目を大きく見開く。 それに比例して澤本君の眉間にしわが寄る
蓮
花奏
花奏
花奏
自分でで言ったくせに照れくさくて再び頭をかく
蓮
風真
朝陽
あたしのこのhappyな気持ちがこのデリカシーのない男どものせいで一気に冷める。
花奏
花奏
花奏
蓮
花奏
あたしは数日前失言してしまった
花奏
と、図々しくも。しかも2人は浮気している関係だったのに
夕日を浴びて窓の外から校庭を見る澤本君の横顔があまりに寂しそうで、気づけば聞いてしまっていた
そしてその時に言われた。
蓮
という右ストレート
何もかも見透かしたようなその目で見つめられ、あたしはめちゃくちゃ惨めだった
蓮
花奏
この日はとことん機嫌が悪かったらしい。あまりの暴言にイラっとして
いつもだったらあたしが言葉に詰まったのを嬉しそうにするのに、今回は知らんぷり
意味わかんない!
ムカついてお弁当を持って勢い良く立ち上がった。
あたしがだれのために早起きしているとおもってんだ
そして空き教室からでようとした…のに
花奏
澤本君があたしのスカートを握ていて動くことができない
こういう時の澤本君は本当にずるいと思う。 どこか寂し気な目であたしを見るもんだから
蓮
花奏
もしかして柄に合わないような言っちゃダメとか言っちゃう感じ? 澤本君はあたしが思ってる以上に寂しがりみたいで、ずいぶん前だけど澤本君はあたしの肩で泣いたことだってある
そんなギャップにキュンとしたのを隠して偉そうに腰に手を当てる
花奏
気分的にはお姉さんみたいな感じで、甘える澤本君はちょっとかわいい
泣き顔ちゃんと見ておけばよかった。 あの後目が少し赤くなってたけど、すぐいつもの澤本君になっていた
今考えるとこのころからだよな、放課後一緒に過ごすのって
花奏
なんておもいでにふけっていると目の前に手が差し出されていた
蓮
……そうだった。あたしは忘れていた。 澤本君は普通に悪魔な人だったって
脅し脅された関係でこんなことになっていたのを
花奏
蓮
花奏
悪魔だ!正真正銘の悪魔が目の前にいる
花奏
お弁当は毎日作ってるけど? すると澤本君はあたしに向かって両手を広げた
花奏
それはあまりに力なく。 さっきまでただの狼だと思っていたのに今は子犬みたい
蓮
そんな小さな声にあたしは吸い寄せられるように動いていた
そしてひざを折って澤本君の前にすわるたまたあの衝動… あたしはいつも逃げ遅れる
花奏
あたしは澤本君につかまって身動きが取れなくなってしまった。 強い力で抱き着かれているわけじゃないのに
心臓はあり得ないくらい早くなっていて、こんな弱弱しい彼を振り払うことなんてするわけがないのに
よしよしと撫でてみる。髪はやっぱりふわふわでそれにいい匂いもする
蓮
花奏
優しい匂い!?
花奏
蓮
花奏
ガーン! 女の子らしい匂い研究品きゃ
なんて考えているとふと沢もの君が顔を上げた
蓮
花奏
男の子に名前呼び捨てとかされたことないから、動揺してあたふたしていると喉元にチクリと痛みが走った。
花奏
花奏
蓮
急いで常備している鏡で確認すると
花奏
花奏
なんてことをしてくれちゃってるんだこの男!
花奏
花奏
なんて言いながらキスマークに悪戦苦闘しているあたしの隣ではいつも通りの無表情の澤本君が
蓮
花奏
花奏
なんてあたしの悲鳴も混じった声が旧校舎に響き渡った