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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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BB ルール概要

今回はオーソドックスなルールで展開される。

互いにストーリーをセットしたのち、自分がセットしたストーリーを相手に踏ませることができれば勝ち。

場所が六冥のイメージした可愛らしい部屋に変わると、いきなり物語が頭の中に入り込んでくる。

こうして、実際に異空間で勝負をするのが初めてな六冥は戸惑うばかり。

六冥

(三富が言ってた。最初、相手の絵本の情報が一気に頭の中に入ってくるって。これで相手の物語を理解できるらしいけど、なんか変な感じ)

あるところに羊飼いの少年がいました。

少年は退屈しのぎに「狼がきた」と村人に嘘をつき、村人を驚かせます。

ある時、少年の前に本当に狼が現れました。

少年は「狼が来た」と村人に助けを求めますが、何度も同じような嘘をつかれていた村人達は、今回も嘘だろうと、助けてくれませんでした。

こうして、羊は全て狼に食べられてしまい、羊飼いの少年も大怪我をしたのでした。

六冥

(これが……あの伍代とかいう人の絵本)

六冥

(オオカミ少年……。私も知ってるお話)

伍代

まさか、こんなメルヘンな場所に連れて来られるとは思わなかったが、ルールはスタンダードなものでいくみたいだな。

六冥

(あんまり勝負のこと分からないから、下手に余計なルールを作ると私自身が困る)

六冥

(だから、シンプルなルールで勝負する)

六冥

(大丈夫、浦島太郎には、この勝負で有利になれる物語が含まれるから)

六冥

(三富がそう言ってたから間違いない)

伍代

それじゃあ始めようぜぇ。

伍代

ストーリー……セットだ。

先に臨戦体制に入ったの伍代のほうだった。

六冥

ストーリー、セット。

お互いの準備が整い、静かに勝負が始まった。

六冥

(相手の物語はオオカミ少年。この絵本の中で特に目立つのは……)

六冥

(嘘をつく……ってところ)

六冥

(オオカミ少年はいつも嘘をついていたから、本当のことを言っても誰も信じてくれなかった)

六冥

(だから、伍代が【嘘をつく】をストーリーにセットしてるかもしれない)

伍代

ふーん、そっちは浦島太郎ねぇ。

伍代

浦島太郎っていえば、助けた亀に連れられて竜宮城に行ったはいいけど、帰ってみたら地上の時間がめちゃくちゃ進んでたっていう、軽いホラーみたいな話だよな。

伍代

さてさて、あの物語の中で駆け引きに使えそうなものは――。

六冥

あのさ、ひとつだけ約束してもらっていい?

伍代

ん?

伍代

断る。

伍代

お前と約束なんかするかよ。

伍代

だってよ、浦島太郎は絶対開けてはいけないと言われていた玉手箱を乙姫との【約束を破って】開けただろ?

伍代

もし【約束を破る】がストーリーとしてセットされていたら、お前と約束をした時点で、こちらの動きが制限されるかもしれない。

伍代

ってか、露骨に約束交わそうとしてくるあたり、怪しいねぇ。

六冥

(……こっちの考えが読まれてる)

六冥

(ちょっと焦りすぎちゃったかも)

基本的にバトルにおいて、自分の手の内を見破られるほど嫌なことはない。

いわゆる攻撃手段を失うのと同等であり、防戦一方になってしまうからだ。

六冥

(伍代の言う通り、私が設定したのは【約束を破る】というもの)

六冥

(なんでもいいから相手と約束事を決め、それを相手が破りさえすれば勝ちになる)

六冥

(あえて【約束をする】にしなかったのは、そこまで誘い込んでしまって、その先にある【約束を破る】を見えなくさせるため)

六冥

(物語上、浦島太郎は【約束を破る】ことはしているけど【約束を守る】ということはしていない。

六冥

(だから、もっと簡単に誘い込めると思ったのに)

伍代

いやいや、安直すぎるだろ。

伍代

そんなお前にあえて聞こう。

伍代

この勝負、俺に勝てるとでも思っているのか?

六冥

……うん。

六冥

(もしも、あっちのストーリーが【嘘をつく】だったら、嘘をついた時点で負けになっちゃう)

六冥

(だけど、嘘をつかないってことは、正直に答えなきゃいけないってことで……)

六冥

(この勝負で嘘をつけないって、すごく不利なんじゃ……)

伍代

ようやく気づいたか?

伍代

まぁ、勝とうとする気持ちに嘘はないってことだな。

伍代

でもどうするよ……今のままじゃ俺を欺くこともできねぇじゃん。

六冥

(どうしよう、下手に答えてそれが嘘だと判断されたら、私は負けちゃうかもしれない)

伍代

だんまりかよ……。

伍代

もしかして、俺の言葉に対して嘘をついたら、負けになるとでも思ってる?

伍代

いやいや、だとしたらないない。

伍代

それこそ、簡単すぎるだろ?

伍代

【嘘をつく】なんてストーリーはよぉ、はっきり言ってオオカミ少年の代名詞みたいなもんだ。

伍代

いくらガキ相手でも、こんな簡単なものをストーリーとしてセットしねぇよ。

六冥

(本当なの?)

六冥

(私の考えていること、全部分かっているみたいな言い方してるけど、そんなことはないはず)

六冥が黙ったままでいると、伍代は大きく舌打ちをひとつ。

伍代

仕方ねぇな!

伍代

こんなんじゃ勝負にならねぇよ。

伍代

ガキが相手なら、もっと簡単に勝てると思ったのによ。

伍代

だんまりを決め込んで防戦に出られちゃ、こっちとしては手も足も出ねぇ。

伍代

ギブアップ。

伍代

引き分けってことにしようぜ。

伍代

もうちょっと歯応えのあるやつとやりてぇ。

伍代

命拾いしたな――ガキ。

六冥

引き分け?

伍代

あぁ、これには引き分けってルールが存在するんだよ。

伍代

やり方は簡単だ。

伍代

お互いに絵本に向かって、勝負の意思がないことを示せばいい。

伍代

言葉にしてもいいが、絵本ってのは大体が本人と同化してるからなぁ。

伍代

勝負する意思がないと考えるだけでも、多分成立するだろうよ。

六冥

そんなに簡単にできるの?

伍代

あぁ、意外と知られてなかったりするんだよなぁ。

伍代

いやいや、悪かったな。

伍代

威勢よく乗り込んだから引っ込みがつかなくなってよ。

伍代

邪魔したな。

六冥

(この人の言ってること、本当なのかな?)

六冥

(簡単に信用してもいいのかな?)

六冥

(そうだ……ちょっとだけ試してみよう)

六冥

分かった。そういうことなら、それを受け入れるよ。

伍代

そうか、それがいい。

伍代

それが、お互いのためだ。

六冥は見逃さなかった。

伍代の口角が一瞬だけ吊り上がったのを。

六冥

う、嘘だ!

六冥

引き分けだって本当にできるかどうか怪しい!

あちらのペースに飲み込まれてしまったら、なにをされるか分かったものではない。

六冥からすれば、相手を否定することで、牽制したつもりだった。

しかし――。

伍代

ばーーーーか。
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