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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

トーマ

ここに運び込まれるより前…

トーマ

つまり

トーマ

ここで目覚める前

トーマ

それぞれどこにいたか分かれば

トーマ

それが手がかりになるってことか

アルラ

そうかもしれない

アルラ

でも

アルラ

ぼくには自信がない

進次郎

自信がないのはさておき

進次郎

どうしてここに連れ込まれたか

進次郎

ではなく

進次郎

ここに連れ込まれる前どうしてたか

進次郎

そのほうが攻略の鍵になりそうだな

トーマ

ああ

トーマ

ゲームマスターの狙いも

トーマ

つきとめられるかもしれない

トーマ

じゃあアルラ

トーマ

早速話してくれ

アルラ

アルラ

ぼくが?

トーマ

そうだ

トーマ

お前はここに来てから

トーマ

まだおれたちに

トーマ

なにも提供していない

トーマ

お前からいうのが

トーマ

順当ってやつじゃないか

アルラ

そ、そうか

アルラ

でも

アルラ

多分こんなことを

アルラ

話しても

アルラ

みんな納得してくれないんじゃないか

アルラ

だってさぼくは

アルラ

ぼくは…

アルラは蚊の鳴くような 小さな声で喋る

進次郎

いいから話せよ

進次郎

おれもトーマも

進次郎

お前が手がかりを掴んでいると

進次郎

そう予感している

アルラ

じゃあ…

アルラ

話そう

アルラ

みんなの期待通りにはならないと思うが…

ぼくはアルバイトを終えて

アパートに帰ってきた

少し嫌な予感がした

誰かにつけられているのではないか

そんな奇妙な 疑念を抱いた

もしかしてと思い

寝室をくまなく調べた

すると

すぐにおかしな点に 気がついた

ノートパソコンの 上部に

見覚えのないレンズが 取り付けられている

ぼくは監視されていたのだ

1個だけではないと 察して

リビングとキッチンと玄関とトイレ あらゆる箇所を くまなく探して回った

カメラがまだどこかに あるのではないか

だが

その「違和感」に気づいたのは

その日が初めてだった

つまり

その日以前には 気づいてなかったということだ

ということは

カメラはその日のうちに 誰かが仕掛けたのかもしれない

ぼくは部屋の中を 歩き回りながら

他のカメラがないか 探していた

その時

ぼくは 「誰かに見られている」と直感した

部屋の中に誰かいると

部屋には人間が ひとり入れそうな

クローゼットがあった

恐る恐るそれを開けると

全身真っ黒な 人間の姿があった

やつは右手を ぼくの顔に翳した

真っ黒いパネルを 鼻っ面に押し当てられている感じだ

そしてぼくの意識は飛び

ここで目覚めた

アルラ

…というのが

アルラ

ぼくがここに連れて来られる前の話だ

おれの頭には アルラの話の中にあった

「黒いパネル」という言葉が いつまでもぐるぐる

回り続けていた

トーマ

つまりアルラは

トーマ

自室で意識を失い

トーマ

ここで目覚めるまで

トーマ

記憶がないんだな?

アルラ

そうだ

アルラ

そのほかに言うべきことはない

トーマ

そうか

進次郎

アルラ

進次郎

おれからもひとつ聞きたい

アルラ

なにを?

進次郎

きみはさっき

進次郎

アパートに帰ってきたと言った

進次郎

そのアパートの住所は?

アルラ

…新浜市原谷鳥133

それを耳にした進次郎は

ニヤリと口角をつり上げた

進次郎

なるほど

進次郎

おれは連れ去られたとき

進次郎

その隣町にいたということだ

トーマ

台浜市か?

進次郎

そうだ

進次郎

おれはあのとき

進次郎

自室で作業をしていた——

おれはパソコンに 向かって座り

デスクワークを 進めていた

どういう種の仕事かは 想像にお任せするが

キーボードを叩いて 文章を書いていた

その最中だったか

おれは背後に 誰かの目があるような

奇妙な恐怖感を覚えた

振り返るが そこには誰もいない

だが

閉めたはずのドアが

半開きになっている

何者かが部屋の中に 侵入してきたのだろうか

部屋をくまなく調べる

だがどこにも 誰もいない

取り越し苦労だったかと 思いながら

椅子に掛けた その時だった

部屋の電気が全て消えた

パソコンの電源まで 落ちた

かと思うと

背後に 「光源」が現れた

それは 巨大な顔に埋め込まれた眼球のように

あるいは二つの太陽のように

おれの目を眩ませた

かと思うと

ひとつの光源が近づき

おれの両脚に当たった

たちまち身動きが 取れなくなったところで

もうひとつの光源が 目が潰れるぐらい近づき

おれの顔に 何かをあてがった

そこでおれの意識は 消えた

そして

進次郎

目が覚めたらここってわけさ

進次郎

どうだい

進次郎

アルラとおれの状況は

進次郎

連れ去られる前に限って言えば

進次郎

似てたってことだ

進次郎

さて

進次郎

じゃあトーマにも

進次郎

話してもらわなくてはならないな

おれはアルラと進次郎を 交互に見ながら

類似点が多いことの 意味を考えていた

トーマ

つまり、つまり…

トーマ

顔を何かで覆われて

トーマ

おそらく薬でも嗅がされて

トーマ

麻酔がかかったような状態だったのか?

進次郎

じらすなよ

進次郎

自分の物語をしたらどうだ?

トーマ

おれは

トーマ

おれも似たり寄ったりの

トーマ

話しかできないぞ?

アルラ

し、してくれよ

アルラ

じゃないとゲームが進まない

アルラが割って入ったのを受け おれは

トーマ

そこまで言うなら

トーマ

してやるよ…

あの夜

おれもパソコンに 向かっていた——

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46

コメント

4

ユーザー

面白くてどんどんお話に引き込まれてしまいます😳 とっても好きなお話です!

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