杏
ねえ、咲!聞いて!
咲
どうしたの?
咲
こんな夜中に
杏
それがさ、ネットで中古の指輪買ったんだけど
杏
結婚指輪だったみたいで…
咲
まじ?
杏
うん
杏
内側にイニシャルと日付け掘ってるから間違いないと思う
杏
これ、どうしよう
杏
販売先の人、連絡繋がらないし
咲
他人の結婚指輪はちょっと抵抗あるよね〜
杏
明日中古ショップに持って行ってくるわ
杏
買い取りしてくれなくても、処分してくれれば良いし
咲
そうだね、そうしよ
杏
うん、夜中にごめんね、おやすみ
咲
おやすみ
翌朝
杏
咲、やばい…
咲
なに?どうしたの?
杏
指輪、勝手に指にはまってる
杏
しかも左手の薬指
咲
え!?寝ぼけてはめたとかは?
杏
ありえない。
杏
私、箱に戻してカバンの中入れてたし
杏
それは流石に起きる
咲
確かに
杏
これ、どうしよう
杏
抜けないの
杏
助けて
杏
段々指の感覚なくなってきた
咲
落ち着いて!
咲
すぐ行くから
杏
杏
ahb(egahg
咲
杏??
杏
j(G'geA
咲
杏!!!!
杏
b#ipejM##(G
杏
b#ikiBm_p&G
杏の死から1週間。
左手の薬指は未だに見つかっていない。
杏が言っていた指輪もどこかへ消えてしまったようだ。
杏の身に何が起こったのか、私も全く分からない。
ふと、杏との最後のメッセージのやり取りを見返した。
この暗号みたいな文はどういう意味なんだろう?
偶然?それとも…
その時、私はハッとした。
この文の意味に気づいてしまった。
全身に鳥肌がたち、寒気が襲う。
その時
チャリーン
金属が、床に落ちる音。
振り返ると、そこには血まみれの指輪が1つ、転がっていた。