少女、暗闇の部屋の中で何を思うのか
そこに思考は存在せず
あるのは「人生」に対する深い絶望と
自分を殺してここに閉じ込めたクソ男への純粋たる殺意のみ
他人から見たらそれは狂気だろう
人殺しを容易にするであろう少女など見ていて何が楽しいのか
だが、少女は正常だ
「復讐誓って何が悪い」
「私は殺されたのに」
「あいつに慈悲を与えろと言うの?」
「馬鹿馬鹿しい」
「そんな聖人なんかこの世に居るかよ」
「みんな闇抱えて生きてんだ」
「必死に取り繕って笑ってるだけ」
「それがどれだけ上手に出来ているかの違いでしょ?」
「人殺しなんて容易にしているだろうに」
「現に今、あなたは自分の感情押し殺して生きてるんじゃないの?」
「それでも他人に善意で手を差し伸べるなら」
「それはどれだけ綺麗なんだろうね」
少女、故に何を思う?
……否
少女は何も考えていない
「人殺し、だから?」
「でも…そうだね」
「あいつによってめちゃくちゃにされた人生が」
「またあいつのせいでぐちゃぐちゃにされるのは嫌だね」
「過去の自分が愚かで仕方がないよ」
「あぁ、気持ち悪い気持ち悪い」
「私の知らないところで無様に死ねばいいのに」
「そうなれば、私の人生はどれほど彩り豊かになるだろうか?」
「想像しただけでも楽しくなってくる」
「精神になんの負荷もかけずに生きれたなら」
「……でも」
「それって本当に生きていると言える?」
「絶望を知らない人間なんて死んでるに決まってる」
「人間、闇の中に足を少し突っ込んだことくらい」
「誰にでもあるだろうに」
「それを拒絶し嘲笑う人間こそが」
「真に死んでいると言ってもいい」
少女、またしても黙る
話したいことは全て終わったらしい
よくある事だった
少女は不安定で
いつもフィクションしか喋らない
コメント
4件
ええ、つまり少女が殺 さ れ たっていうのはあれ、よね……!? 最初は復讐心が強い少女なのかな、とか復讐するまで残酷な思いをしてたんだな、って思ったのに最後の「フィクションしか」ってところで、え?フィクション??ってなった😳😳 最後の持っていき方めちゃくちゃ最高!!!
少女、だから言ったのに