主。
主。
主。
主。
主。
主。
主。
主。
少女漫画は、残酷です。
ふふ、びっくりした? まあ、急にこんなこと言われても驚くよね
少女漫画のような甘い夢の詰まった世界を、 残酷だなんて正反対の言葉で表現するんだから。
でもさ、ちょっと考えてみてよ。
少女漫画は“甘い夢”だけど、その“甘い夢”で幸せになるのは誰だろう?
読者というのはヒロインの恋模様を見守る神様のようなものだというのが 自分の認識だから、そこは考えないものとして、、、
作中で“甘い夢”をみていられるのは、 ヒロインとその最終的な相手の男ぐらいだろうか
当て馬達は、どんなに整った顔で甘い言葉をささやいても、 結局愛する彼女には振り向いてもらえない
作者という作品の運命を握る誰も抗えない存在によって、 それは決定事項とされている
それって、結構残酷なことではないだろうか?
別に、自分のそばで起こっている少女漫画には 作者なんていないだろうけど、、、
ここまで少女漫画の内側、というか中核を担うヒロインとヒーロー達について 考えてきたけど、もっと外側にも目を向けてみよう
少女漫画には、たくさんのイケメン男子達が出てきてヒロインを溺愛するよね
その方が夢があるし、作品としての見栄えも良くなるから。
でも君たちは、“ヒロインに恋するモブ”について考えたことがある?
彼はヒロインのことが大好きだけど、 周りにいる男達がイケメンすぎて自分は遠く足元に及ばないと感じて その恋心に鍵をかけて閉じ込めてしまう
もしかしたらチャンスがあるかも、なんて期待すらできない彼にとって、 その少女漫画はどんなものだろう?
これで“甘い夢”と答える人は一体何人いるのかな?
彼からみたそれは、、、そう、“残酷な現実”である。
少女漫画を残酷に感じるのは、何も彼だけではない
ヒロインと結ばれる男のことが好きなその幼馴染の女の子とか、 ヒロインを忘れられない当て馬達を支える その当て馬に片想い中の女の子とか、、、
設定を作ろうと思えばそれはいくらでも生み出せるけど、 例えばこんなのはどうだろう。
“ヒロインに恋するツンデレ王子にずっと想いを寄せ続けている完璧な王子様”
……俺のことを言ってるのかって?
ふふ、内緒だよ。
At
At
Pr
Pr
At
Mz
Mz
Pr
Mz
Pr
Mz
Pr
At
At
Pr
Mz
At
Pr
Mz
At
今日も今日とて、2人の王子とヒロインが少女漫画を展開している
こんなのいつも通りの光景で見慣れたものだが、 ズキリと心が痛むのには一向に慣れなかった
Ak
彼に大切なことを教えてもらってから2ヶ月、 オレは母親と話し合ってバスケを続ける許可を得た
志望校も少しレベルを下げて、頑張れば充分届く可能性があるところにした
バスケのことを話した時、 「Akがそんなにバスケが好きだなんて知らなかったわ、ごめんなさい。」 と言ってくれた母親は、本当にオレのことを考えてくれているのだろう
もしあの日Prくんがオレの本音に気づかせてくれなかったら、 今頃オレは切羽詰まった勉強生活を送っていたに違いない
感謝の気持ちを込めて彼をみていると、 ふとPrくんがこちらを振り向いてばちりと目が合う
にっこり笑ってオレが手を振ると、 彼はぽっと頬を染めてそっぽを向いてしまった
Ak
Mz
At
Prくんがそっぽを向いてしまった後の2人の王子からの視線が気になったが、 おそらくオレがいる方向に何か気になるものがあるとかそんなことだろう
ふう、と息をついて手元の課題に視線をうつし、 しばらくシャーペンを走らせていると、元気な幼馴染が声をかけてきた
Tg
Ak
Ak
Tg
Ak
しばらく2人で笑っていると、Tgちゃんがそういえば、と目を輝かせて言う
Tg
Ak
Ak
Tg
本人も言っている通り彼は担任のKty先生に片想いをしており、 彼の担当教科である英語だけ少し点数を落とすことで Kty先生と一緒にいる時間を増やすという作戦の常習犯なのだ
Ak
Tg
Ak
Tg
Ak
その後Tgちゃんと他愛のない話をしている間も、 なぜか少女漫画3人組にこちらを見られている気がしていた
Ak
やがて昼休みの終了を告げるチャイムが鳴って、 担任のKty先生が教室に入ってくる
Kty
Kty
キラキラと明るい笑顔を浮かべるKty先生を見て、 Tgちゃんは嬉しそうにしていた
Kty
Kty
Tg
Kty
Kty
不純な動機で教卓の目の前の席を選んだTgちゃんを含む数名が あらかじめ席を決めて、あとはくじ引きだ
Kty先生の前に置いてある箱から紙を一枚とって番号を確認し、 決まった席につく
誰の隣になるかな、とワクワクしながら隣人の訪れを待っていると、 そこにやってきたのは大好きなあの子だった
Pr
Ak
おずおずとPrくんが見せてくれたくじには、 しっかりとオレの隣の席の番号がKty先生の字で書かれていた
Ak
オレが握手をしようと手を差し出すと、 Prくんは少し照れくさそうに笑いながらオレと握手をしてくれた
Ak
動きの一つ一つがいちいち可愛いのだから、驚きである
純粋に好きな子と隣の席になれたのは嬉しい
だがしかし、とオレは自分の後ろの席に座る2人の王子様に目を向けた
Mz
Mz
Ak
Mzくんはオレと同じバスケ部で多少は関わりがあるのもあって、 ニコニコと人当たりのいい笑顔を浮かべながら挨拶してくれる
オレが怯えているのは、Mzくんの隣の席に座るもう1人の完璧王子様の方だ
At
彼は恐ろしいほど整った顔に意味深な微笑を浮かべながら、 オレに声をかけてくる
At
Ak
オレがビクビクしながら返事をすると、 Atくんはしばらくオレを見つめたあと、にこりと笑って続けた
At
我らが生徒会長の圧倒的なオーラに、 オレは了承の返事をすることしかできなかった
Ak
At
At
優しい言葉とは裏腹に、その目の奥に何が隠れているのかは全く読めなかった
Ak
目の前の完璧王子様に感謝の言葉を紡ぎながら、オレは途方に暮れる
Ak
Ak
放課後、オレが重い足取りでAtくんに着いていくと、 彼はとてもとても丁寧に生徒会室の場所を教えてくれた
At
Ak
At
そうは言われても特に座りたい場所はないので、 とりあえず近くにあった椅子に座ることにした
Atくんは生徒会室の奥にある会長用の机で書類仕事をしながら、 オレに話しかけてくる
At
Ak
At
Ak
Atくんは机の上の書類の山から目を離さずに作業をしており、 オレの位置からはその表情は見えにくい
気の利いた回答をするべきか素直に回答をするべきか一瞬悩んだが、 やっぱり嘘は良くないしこの男に嘘をついたところですぐにバレそうなので、 素直に自分の気持ちを伝えることにした
Ak
Ak
At
Ak
Ak
Atくんは書類に向いていた視線をこちらに向けてじっと見つめてくる
本当のことを言うととても怖いが、 オレは頭に浮かぶ言葉を全て声に出すと決めている
Ak
Ak
Ak
Ak
At
そう言うとAtくんはしばらく考える素振りを見せて、ふっと笑う
でもその笑顔は先ほどまでの貼り付けたようなものとは少し異なり、 ほんの少しだけ彼の本当の感情が見えた気がした
At
Ak
At
At
Ak
At
At
Ak
At
At
At
At
Ak
At
急に今までのオーラが全部消えて好意的な態度になったAtに 少々面食らっていると、彼は王子様の名に相応しい 上品な笑顔を浮かべながら続ける
At
At
Ak
At
At
そう言うAtは、少し辛そうだった
Ak
Ak
At
Ak
At
At
At
Ak
At
At
Ak
At
Ak
オレとAtはしばらく混乱していたが、 Atは途中で何かに気づいたかのように動きを止めると、 急に爆笑し始めた
Ak
At
Ak
At
Ak
At
Ak
今までの校内の常識がくつがえる衝撃的な事実を明かされて、 オレは思わず口をあんぐりと開けて固まる
その顔がよほどツボに入ったのか、 Atは普段の大人びた姿とは別人に見えるほど年相応に笑い転げていた
At
Ak
At
At
思い返してみれば数日前の登校中にMzくんの服装を指摘していたのも、 本気で彼の風邪を心配していたんだとしたら合点がいく
今日の昼休みにちょっと言葉を詰まらせていたのだって、 Mzくんと2人きりになりたくて意図的にPrくんを誘わなかったことを 申し訳ないと思っていたのだろう
At
At
そう言って彼はいつも通りの笑顔を浮かべるが、 Mzくんの話だからなのか普段より感情がわかりやすい
At
At
こんなに完璧な物語の中から出てきたような王子様でも、 好きな子の心はそう簡単には手に入らない
やっぱり、少女漫画は残酷だ。
At
Atは書類の山から一番上の一枚をとり、 目を通してから会長の署名を入れるという作業を繰り返している
さらさらとつづられていくAtの字はもちろん綺麗な形をしていて、 王子様の手書き文字、というに相応しい美しさだった
しばらく彼の書く文字に見惚れていると、 視線に気がついたらしいAtが目を書類に向けたまま尋ねてくる
At
At
Ak
Ak
At
At
オレは通学カバンから参考書を取り出して問題にとりかかり始める
紙をめくる音とボールペンで文字を書くかつかつという音、 ノートにシャーペンを走らせる音だけが響く静かな生徒会室の中は とても居心地が良くて、自習もはかどった
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コメント
16件
100人おめでとー!!!!!!!! 早いっ!…すごいっ! あと、見るの遅れたぁー!! ほんとごめん! 2話目最高…これ好きなんです〜! 地の文のかき方が毎回神ってて、 本当に尊敬すぎる…✨️✨️✨️ どうやったらそんな 上手く出来るの…? 50人プラスかぁ…アカウント たくさん作りたい… 早めに達成してほしい!!! atくんはずっとprちゃんが 好きと思ってたっ!! まじで繋げ方最高✨️
100人突破おめでとうございます! 別枠でお祝いしようとしたのですが忘れてしまって………←昨日脳4なのバレるぞ? 感想はそちらに書きますね! なので自分のはボタン1個で大丈夫です! とにかくおめでとうが言いたかったんです! おめでとうございます←語彙力なくて2回目w
100人おめでとうございます!! 恋って色々と難しいですね… それに関して、ちぐけちゃは平和ですねw