結月
ねえ、樹くん
ぎゅっ
樹
樹
ちょっ、どうしたの?笑
樹
いきなり抱きついてきて
私は無言で彼を抱きしめる
すると彼も抱き返してくる
いつからだっけ
こうやって自分を埋めようとするの
もっと欲しいの
全然満たされない
結月
ねえ、キスして…
樹
えっ…
結月
嫌?
樹
ううん、嫌じゃないよむしろ───
結月
じゃあはやくして
樹
う、うん…
樹
目を硬く瞑りながら近づいてくる
微かに触れた唇
だめ、全然だめ
離れようとする彼の胸ぐらを掴み
更に口づける
彼の吐息がかかる
窒息しそう
樹
獲物を貪るようにして舌を絡めてくる
欲求のために私を食べる
結月
…んっ……
樹
はぁっ…んっ……
仁
……
結月
樹
…!
樹
なんだよ後藤じゃん…
樹
今忙しいんだけど…
仁
すまんすまん
仁
桜庭に用があって
結月
結月
樹くん、ちょっと待っててね
ちゅっ
樹
樹
おう…!
男ってほんと単純
結月
なんですか先生
仁
桜庭、なんであんなことしてんだ?
結月
なにが?
仁
男にさっきみたいなことしてんだろ?
結月
結月
なにがいけないの?
仁
学校であーゆうことされるとなぁ…
結月
結月
しょーがないじゃん
仁
しょーがなくねぇよ
仁
俺はお前のこと好きなんだけど
仁
あんなの見せつけられて気分悪い
結月
結月
どうせ嘘でしょ?
結月
私を欲しがる人なんていないもん
結月
欲求を満たすために利用されてるだけ
結月
だから私も利用するのよ
やだ、またあの発作だ
苦しい苦しい苦しい
虚しさに溺れそうになる
涙が止まらない
結月
結月
はぁっ…はぁっ……
仁
仁
おい、大丈夫か?
結月
ぅっ…うぅっ……
仁
ちゅっ
私を優しく包み込む腕、優しいキス
一瞬信じてしまいそうになった
結月
結月
…先生
仁
ん
結月
…私、生徒ですよ
結月
キスなんてしたら猥褻で訴えられますよ
仁
誰も見てねーよ
結月
結月
…私が訴えます
仁
ははっ
仁
じゃあそうだなぁ…
仁
発作を起こした生徒に人工呼吸しました
仁
とでも言っとくか?
結月
仁
で?
仁
…続き、する?
ずるい教師
なのに
満たされていく