主
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第88話『夏の音』
午前九時。
窓を開け放ったリビングに、蝉の声が満ちていた。
らん
らんはぼんやりと天井を見上げながら呟いた。
七夕の翌日。
昨夜の余韻がまだ部屋に残っている。
笹の葉はそのまま飾られ、風に揺れるたび小さな音を立てていた。
こさめが椅子に座り込み、アイスを頬張っている。
こさめ
こさめ
らん
らん
らんは笑って受け取り、ふとそれを見る。
端が折れた自分の短冊――“みんなの記憶を取り戻して、また笑えますように”。
少しだけ、胸が温かくなった。
その横で、すちが扇風機の首を直していた。
すち
すち
なつ
なつ
すち
みこと
なつ
そんな他愛もない会話。
けれど、その「音」が、なぜだか懐かしく感じた。
――ひとつひとつの声が、どこか遠い記憶の残響のように響いていた。
昼過ぎ。
こさめとみことは買い物へ、すちは部屋でデザイン作業。
リビングには、らんといるまだけが残っていた。
テレビをつけると、どこかの海辺から中継のニュースが流れていた。
「そろそろ夏祭りの季節ですね」というアナウンサーの声。
らん
らんが何気なく呟く。
いるまが目を向ける。
いるま
らん
らん
言葉の途中で、らんの表情が曇る。
記憶の輪郭が、ふっと霞んだ。
そこにあったはずの“笑顔”が、すぐに遠ざかる。
いるま
らん
らん
らんは苦笑した。
らん
らん
いるま
いるまの声は少し硬かった。
けれど、その目にはどこか優しさが宿っていた。
夕方。
みこととこさめが買ってきたスイカをすちが切り分けてくれた。
みことが「冷たっ!」と笑いながら頬張り、こさめは夢中で種を飛ばして遊んでいる。
らんも笑いながら、その様子を見つめていた。
らん
こさめ
らん
らん
こさめは少しだけ目を見開いて、それから微笑んだ。
こさめ
こさめ
らん
らんは静かに頷く。
けれど――その“笑い声”の奥に、別の音が混じっていた。
――カラン……。
風鈴でも、器でもない。
それは、誰かが小さな鈴を鳴らすような音だった。
らん
思わず口にすると、全員が首を傾げる。
なつ
みこと
らんだけが聞こえたその音は、確かに胸の奥で響いていた。
柔らかく、懐かしく、どこか切ない音。
夜。
部屋の灯りを落とし、外の空気を取り込む。
風が少し冷たく、どこか甘い匂いを含んでいた。
らんはベランダに出て、夜の街を見下ろした。
車の音も、風の音も、全部遠い。
なのに、静けさの奥で確かに“何か”が鳴っている。
――トン、トン……と、木の棒が当たるような小さな音。
らん
その呟きに、足元の影がゆらりと動いた。
らんの影
いつの間にか、らんの影が形を取っていた。
らん
らん
らん
らんの影
影は穏やかに答える。
らんが目を瞬かせた。
らん
らんの影
らんの影
らんは小さく息を呑む。
らん
らんの影
らんの影
らんの影
風が笹の葉を揺らし、影の輪郭をなぞった。
どこかで小さく、また鈴の音が鳴る。
部屋に戻ると、机の上の短冊がひとつ風に揺れた。
“みんなの記憶を取り戻して、また笑えますように”。
その文字の上に、夜風が優しく触れていく。
そして――ふと、別の短冊が動いた。
“らんの記憶が早く戻りますように”。
いるまの文字だ。
らんはそれを見つめ、静かに微笑んだ。
らん
声に出した瞬間、あの“鈴の音”が再び鳴った。
少しだけ強く、はっきりと。
それはまるで、記憶の奥から誰かが応えているような音だった。
夜更け。
部屋が静まり返る中、影はそっと呟く。
らんの影
らんの影
らんの影
影は小さく笑った。
らんの影
らんの影
その言葉とともに、風が通り抜け、笹の葉が静かに揺れる。
短冊が小さく触れ合い――カラン、とまたあの音が鳴った。
誰もいない夜の部屋で、その音だけが確かに生きていた。
第88話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡160
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コメント
2件
もう書き方大好きすぎるッ💕✨️ 🍍くん...愛の拳って...www 次は📢くんの記憶が戻ってきそうな予感!((( 投稿ありがとうございます!!続き楽しみにしてます!!!