私
書き終えました
博士
博士
僕のことは名前で読んでね
私
私
作り出してくれた、
偉大なる方なのですから
私は、人型ロボット。
目の前にいる、おとなしそうな 男性によって作り出された。
何故か私の名前は「ひろみ」らしい。
「一号」のような、ロボットらしい 名前をつければいいものを。
私
呼ばせていただきます
博士
言われても
博士
僕は嬉しいよ?
私
私
私
誠さん
そう呼んでね
私
すればいいでしょうか
誠さん
ひろみさんずっと仕事
してくれてたんだからさ
私
ありませんが
誠さん
少しは休みなよ
私
作られたのでは
ないのですか?
私
私を作った意味など無く
なるのではないのですか?
誠さん
させるために
作ったんじゃ無い
誠さん
欲しかっただけなんだよ
私
そんなもの必要だろうか。
人間の考えることは、私には よく理解出来ない。
私
貰っても
私
誠さん
読書とかどうかな?
誠さん
面白いよ!
私
面白いなんて
感じられませんが…
誠さん
誠さん
私
誠さんから本を受け取った。
部屋の端にあるソファーに 腰をかけた。
ページをめくる。
いじめられている主人公の話だった。
主人公が、いじめっ子に 蹴られているシーンから始まった。
主人公
いじめっ子
いじめっ子
主人公
主人公
私
辛い…?)
私
のは、悲しくて
辛いことなんだ)
何故だか分からないけれど
私はページをめくる手が 止まらなかった。
主人公が、いじめを助けてくれた子と 友達になったシーンまで読み進めた。
主人公
助けてくれて…!
友達
仲良くしようね!
主人公
主人公
の人と話したな)
主人公
私
楽しんだ…)
私
良かった…ね)
私
知らぬ間に、口角が上がっている ことに気づいた。
私
私
急いで、自分の手で口角を下げた。
何故だか、胸の奥が温かい。
胸が高鳴るような…そんな感覚。
まさか、これが
「面白い」という感情…?
誠さん
誠さん
私
残っています
誠さん
誠さん
なったみたいな気分で、
良かったでしょ
私
私
私はあれから、毎日読書を するようになった。
誠さん
本読んでる
誠さん
誠さん
私
私
誠さん
誠さん
誠さん
思うんだけど
誠さん
行かない?
私
誠さん
誠さん
色んな物…
本も売っているのでしょうか。
私
私
誠さん
すぐ出発だ!
研究室から出るのは初めてだった。
外の空気は冷んやりとつめたかった。
歩くこと約10分。
商店街が並ぶ場所に出た。
誠さん
誠さん
私
誠さん
好きだね
誠さん
行こうか
本屋まで行こうと、足を運び出した時
子供たち
変な研究者だろ!
子供たち
近くにいた子供たちが、そう叫んだ。
子供たち
を作ったとか…!
子供たちが、誠さんの隣にいる 私の方に顔を向けた。
子供たち
ロボット!?
子供たち
じゃねーかよ!
子供たち
私
誠さん
誠さん
悪いって言うんだよ!!
子供たち
子供たちは、一斉に走って 逃げていった。
誠さん
誠さん
来るべきだったよ…
誠さん
私
私
胸が苦しい…
誠さん
私
私
おかしくなったんです
私
何故か笑顔になる
私
気持ち悪いと言われて…
私
私
のでしょうか
誠さん
誠さん
悲しんだりすることは
誠さん
ことだよ…!
誠さん
誠さん
感情を生み出したんだよ!
私
私
素敵なこと…?
誠さん
誠さん
誠さん
私
確かに、感情が無かった頃よりも
生きているという感じがした。
誠さん
お祝いしよう!
誠さん
帰ろう!
誠さん
店へ向かう誠さんの後に着いて行く。
不思議と、口元がほころぶ。
体が、ふわふわと軽い感じ。
あ、この感情は、本で 読んだことがある。
「幸せ」っていう、感情だ。