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12 - ロボットと博士

♥

618

2019年09月29日

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博士、全ての書類を
書き終えました

博士

ありがとう、ひろみさん

博士

あと、何回も言ってるけど
僕のことは名前で読んでね

いや、そういう訳には…

貴方はロボットの私を
作り出してくれた、
偉大なる方なのですから

私は、人型ロボット。

目の前にいる、おとなしそうな 男性によって作り出された。

何故か私の名前は「ひろみ」らしい。

「一号」のような、ロボットらしい 名前をつければいいものを。

とりあえず、博士と
呼ばせていただきます

博士

えー…、そんなこと
言われても

博士

名前で呼んでくれた方が
僕は嬉しいよ?

………

…貴方がそう言うのなら

誠、さん

誠さん

うん!今度から
そう呼んでね

では誠さん、次は何を
すればいいでしょうか

誠さん

え!何もしなくていいよ、
ひろみさんずっと仕事
してくれてたんだからさ

私は疲れることは
ありませんが

誠さん

そんなことはいいから、
少しは休みなよ

私は仕事をするために
作られたのでは
ないのですか?

休む時間などを与えては、
私を作った意味など無く
なるのではないのですか?

誠さん

僕は、君に仕事を
させるために
作ったんじゃ無い

誠さん

僕はただ、話し相手が
欲しかっただけなんだよ

…話し相手?

そんなもの必要だろうか。

人間の考えることは、私には よく理解出来ない。

しかし、休憩を
貰っても

私は特にすることなんて…

誠さん

あ、じゃあさ、
読書とかどうかな?

誠さん

本を読むのって、
面白いよ!

私は心が無いので
面白いなんて
感じられませんが…

誠さん

まぁいいからさ!

誠さん

とりあえず読んでみなよ

は、はぁ…

誠さんから本を受け取った。

部屋の端にあるソファーに 腰をかけた。

ページをめくる。

いじめられている主人公の話だった。

主人公が、いじめっ子に 蹴られているシーンから始まった。

主人公

やめて!

いじめっ子

あはははは

いじめっ子

やめないよー?

主人公

(心臓が痛い…)

主人公

(悲しい、辛いよ…)

(悲しい…?
辛い…?)

(誰かに嫌なことをされる
のは、悲しくて
辛いことなんだ)

何故だか分からないけれど

私はページをめくる手が 止まらなかった。

主人公が、いじめを助けてくれた子と 友達になったシーンまで読み進めた。

主人公

ありがとう、
助けてくれて…!

友達

全然!これから
仲良くしようね!

主人公

うん…!よろしく!

主人公

(久しぶりに、家族以外
の人と話したな)

主人公

(凄く、楽しい…)

(誰かと話すことは、
楽しんだ…)

(友達が出来て、
良かった…ね)

…あれ?

知らぬ間に、口角が上がっている ことに気づいた。

…?

何故でしょうか

急いで、自分の手で口角を下げた。

何故だか、胸の奥が温かい。

胸が高鳴るような…そんな感覚。

まさか、これが

「面白い」という感情…?

誠さん

あ、ひろみさん

誠さん

もう本読み終わったの?

いえ、まだもう少し
残っています

誠さん

どうだった?

誠さん

なんだか自分が主人公に
なったみたいな気分で、
良かったでしょ

…はい

良かったです

私はあれから、毎日読書を するようになった。

誠さん

ひろみさん、今日も
本読んでる

誠さん

ふふ、そんなに気に入った?

誠さん

面白い?

……

はい、面白いですね

誠さん

誠さん

そっか、良かった

誠さん

今日は、街に出かけようと
思うんだけど

誠さん

ひろみさんも一緒に
行かない?

街に…?

誠さん

うん

誠さん

色んな物が売ってるよ!

色んな物…

本も売っているのでしょうか。

……

行ってみたいです

誠さん

よし、それなら
すぐ出発だ!

研究室から出るのは初めてだった。

外の空気は冷んやりとつめたかった。

歩くこと約10分。

商店街が並ぶ場所に出た。

誠さん

沢山店があるよ

誠さん

気になる物はある?

本が買いたいです

誠さん

はは、本当に本が
好きだね

誠さん

いいよ、本屋まで
行こうか

本屋まで行こうと、足を運び出した時

子供たち

あ、お前、
変な研究者だろ!

子供たち

最近街で噂だぞ!

近くにいた子供たちが、そう叫んだ。

子供たち

人にそっくりなロボット
を作ったとか…!

子供たちが、誠さんの隣にいる 私の方に顔を向けた。

子供たち

まさか、横にいるやつが
ロボット!?

子供たち

うわ!人間にそっくり
じゃねーかよ!

子供たち

ロボットとか気持ち悪!

…!

誠さん

おい、君たち

誠さん

ロボットのどこが気持ち
悪いって言うんだよ!!

子供たち

わー!逃げるぞー!

子供たちは、一斉に走って 逃げていった。

誠さん

ごめんね、ひろみさん

誠さん

やっぱり街なんて一人で
来るべきだったよ…

誠さん

…ひろみさん?

誠さん…

辛いです、
胸が苦しい…

誠さん

私、おかしいんです

本を読んだあたりから、
おかしくなったんです

読書をしていると、
何故か笑顔になる

さっきは、ロボットは
気持ち悪いと言われて…

凄く、悲しかった

私、壊れてしまった
のでしょうか

誠さん

ううん…!

誠さん

感情を持って笑ったり
悲しんだりすることは

誠さん

とっても素敵な
ことだよ…!

誠さん

凄いよ、ひろみさん!

誠さん

君は、自分の力で
感情を生み出したんだよ!

私が感情を生み出した?

感情を持つのは
素敵なこと…?

誠さん

うん

誠さん

生きてるって、

誠さん

感じがするでしょ?

…!

確かに、感情が無かった頃よりも

生きているという感じがした。

誠さん

よし!今日は
お祝いしよう!

誠さん

ケーキを買って
帰ろう!

誠さん

本も沢山買っていこう!

店へ向かう誠さんの後に着いて行く。

不思議と、口元がほころぶ。

体が、ふわふわと軽い感じ。

あ、この感情は、本で 読んだことがある。

「幸せ」っていう、感情だ。

この作品はいかがでしたか?

618

コメント

18

ユーザー

コメントありがとうございます! 僕の文章ってひきこまれますかね…?w 褒めてくださりありがとうございます。 とても嬉しいです。

ユーザー

未來さん!感動してくれて嬉しいです😆 よかったと思ってもらえて良かったです✨

ユーザー

感動しますぅぅぅ😭ひろみさん感情というものが知れてよかったですね…!

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