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どうしてそんな物を食べるの・・・?!

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どうしてそんな物を食べるの・・・?!

1 - どうしてそんな物を食べるの・・・?!

♥

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2021年03月09日

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俺は、とある国に来た。

幸一郎

えっと、ここで集合だったよな?

大学の夏休み。

普段なかなか会えない、海外に在住している親戚に会うことになった。

玉三郎

おお、幸一郎

玉三郎

久しぶり。大きくなったな

幸一郎

うん、久しぶり、おじさん。

幸一郎

そうかな?20歳すぎたから流石に身長は止まったと思うけど・・・

玉三郎

最後にお前に会ったのが15歳くらいだったからな

玉三郎

その頃より、顔つきも男前になっているしガタイも良くなってるじゃないか

幸一郎

そっか、そんなに会ってなかったんだっけ

玉三郎

俺もこっちの支社に勤続して、役職ついたら忙しくてな

玉三郎

全然日本に帰れないから、お前の母さんにも全く会ってないんだよ

幸一郎

そっか・・・

玉三郎

さ、立ち話もなんだし入ろうか

玉三郎

この店、珍しい料理出してくれるって有名なんだよ

幸一郎

珍しい料理?

玉三郎

ああ、きっとびっくりするぞ

それは、びっくりするとか、そういうレベルではなかった。

玉三郎

これが、この国でも有名な猿脳(エンノウ)だよ!

幸一郎

幸一郎

は・・・?

玉三郎

中々お目にかかれない、高級珍味なんだ

幸一郎

エンノウ・・・って

幸一郎

つまり、猿の脳ってこと?!

玉三郎

そうだよ

玉三郎

幸一郎は初めて見るのか

幸一郎

(・・・・・・・・気持ち悪い、何で、こんな残酷なことをするんだ)

今まで、鶏肉や豚肉、魚は日常的に食べて来た。

でも、霊長類は食べたことが無い。

そもそも、日本では食べる機会も絶対に無いだろう。

幸一郎

・・・これ、虐待にならないの?

玉三郎

ん?どうした?何か言ったか?

幸一郎

い、いや・・・

猿を食べるということ自体に疑念を持たない、おじ。

きっと彼に何を言っても無駄なのだろう・・・

幸一郎

ねえ、これ、

幸一郎

火が入ってないように見えるんだけど・・・

玉三郎

ああ、これは生だよ。新鮮だろう

幸一郎

幸一郎

(無理、絶対食べられない)

玉三郎

これから鍋に入れて食べるんだよ

幸一郎

おじさん、俺、無理

幸一郎

食べられないよ

玉三郎

何言ってるんだ

玉三郎

人生で、これを食べられる機会は、きっとこれっきりだぞ

幸一郎

そんな機会いらないよ!!

幸一郎

俺は、嫌だ!

幸一郎

自分と同じ霊長類を食べるなんて、嫌だ!!倫理的にも問題があるでしょ?!

玉三郎

何言ってるんだ幸一郎は

玉三郎

チンパンジーだって、猿の脳みそが大好きなんだぞ

玉三郎

霊長類同志が食べ合うんだから、人間が猿を食べたって問題ないだろう

幸一郎

・・・・・!!

幸一郎

おじさんの、バカ!

玉三郎

あ、おい!

玉三郎

どこに行くんだ?!

幸一郎

せっかく予約してくれて悪いけど、俺は予約してるホテルに行くから!

玉三郎

待て!貴重な珍味なんだぞ!試しに一口だけ食べてみろって!

俺はその店から、走って逃げだした。

幸一郎

(嫌だ)

幸一郎

(おじさん、何で・・・?)

幸一郎

(日本にいる時は、こんな人じゃなかったのに・・・!)

俺は、ホテルから母さんに連絡をした。

幸一郎

もしもし母さん?

幸一郎の母

幸一郎、どう?玉ちゃんに会えた?

幸一郎

それが・・・

俺は、事の顛末を母に話した。

幸一郎の母

そんなことがあったの・・・?!

幸一郎

だから、俺思わず逃げちゃって・・・

幸一郎

食卓に、それがむき出しで乗っかってるの見て、気分も悪くなったし

幸一郎

それに、おじさんは、猿を食べること、何ともないみたいなんだ

幸一郎の母

玉ちゃん・・・そんな人じゃなかったのに・・・

幸一郎の母

どうして・・・

幸一郎

だから、俺、残りの2日は安全な地域を観光してから日本に帰ろうと思うんだ

幸一郎

・・・もし、おじさんから母さんへ連絡が来ても、そういうことだから伝えて欲しいんだ

幸一郎の母

分かったわ

幸一郎の母

幸一郎、ごめんなさいね

幸一郎の母

玉ちゃんが迷惑をかけて・・・

幸一郎

母さんが謝ることじゃないでしょ

幸一郎の母

残り2日、気を付けてね

幸一郎

うん

通話を終え、ベッドに横になる。

幸一郎

はぁ・・・何だかすごく疲れた

俺は、この日の行動が間違っていなかったことを後に知ることになる。

幸一郎

母さん、ただいま

幸一郎の母

幸一郎、おかえりなさい

幸一郎の母

無事に戻って来てくれて良かった

帰国してすぐ、たまった洗濯物を洗濯機に投げ込んだ。

幸一郎

・・・おじさんから、連絡来た?

幸一郎の母

それが、連絡無いのよ

幸一郎

え?

幸一郎の母

まぁ、あの人のことだから怒ったか拗ねてるのかもしれないけれど、

幸一郎の母

こっちから謝るなんてしないわ

幸一郎

俺も、今回の件は許せる気がしないよ・・・

幸一郎の母

もともと変わった物が好きな人だったけれど・・・

幸一郎の母

容認できる範囲を超えているわ。自分だけ楽しむならまだしも、あなたを巻き込むなんて

幸一郎の母

許せない

幸一郎

うん・・・

幸一郎

ちょっと自分の部屋で休憩して来るね

幸一郎の母

ええ、分かったわ

数週間後

プルルルルルル

幸一郎の母

(あら?知らない番号から電話だわ)

幸一郎の母

(国際電話の番号みたいね。玉ちゃんかしら?)

幸一郎の母

もしもし

???

突然お電話して申し訳ございません。私、××国の外務省の島村と申します

幸一郎の母

(玉ちゃんのいる国の外務省・・・?何の用?)

幸一郎の母

はい、どのようなご用件でしょうか

???

杉谷玉三郎さんの件についてです

???

落ち着いて、聞いてください

幸一郎の母

何ですか・・・?!

幸一郎

ただいま!

幸一郎

(あっ、母さん電話中か)

幸一郎の母

え?!

幸一郎の母

そんな、どういうことなんですか!!

幸一郎

(何か、ただごとじゃなさそうだな)

幸一郎の母

C・・・?何ですかそれは!!

幸一郎

母さん、スピーカーにして

俺は小声で母さんに伝えた。

???

杉谷玉三郎さんは、クロイツフェルト・ヤコブ病・・・通称CJDの合併症で亡くなられました

幸一郎

へ?!

母さんは、肩を震わせた。

幸一郎の母

何なの、それはどういう病気なの・・・?!

???

中枢神経の病気です

幸一郎の母

どうしてそんなことに・・・!

俺は、呆然と母さんとその人の会話を聞いていた。

幸一郎の母

・・・そうですか、では、そちらで火葬をお願いします、はい・・・

幸一郎

どうして・・・

俺たちはその後、葬儀のために××国へ向かった。

本当は、日本で葬儀をしたかったけれど、おじが病気をして亡くなった関係で、飛行機でおじを運んであげることはできなかった。

幸一郎の母

幸一郎、ごめんね。最期まで迷惑をかけて・・・

幸一郎

ううん。母さんのせいじゃない

幸一郎

でも、まさかあれが最後になるとは思わなかったから・・・

幸一郎の母

そうよね・・・グスッ

幸一郎の母

私も、もう何年も会ってなかったから・・・

無事に葬儀が終わった後、俺と母さんはおじがかかった病気を調べた。

幸一郎の母

この病気にかかる理由は色々あったのね・・・

幸一郎

外科手術で感染する可能性、BSEが人に感染した可能性など・・・って書いてある

幸一郎の母

まだ分かっていないことが多いみたいね

幸一郎

あ、でもここに書かれてること、気になるね

幸一郎の母

どれ?

幸一郎

この病気は、食人の習慣のあった地域で多く起きていた、って

幸一郎の母

・・・・・・

母さんは黙り込んでしまった。俺だって、こんなの、いい気分じゃない。

幸一郎

まさか、おじさん人は食べてないと思うけど、その・・・

幸一郎の母

うん、あなたが想像している感染経路が合っているかもしれないわね

幸一郎

・・・・・・

幸一郎の母

いつから、そんなゲテモノ料理を食べていたのかしら

幸一郎の母

この病気は、発症して時間が経ってから症状が出始めるって向こうの外務省の人も言ってたけど・・・

幸一郎

・・・うん

幸一郎の母

・・・でも、あなたがあの場で、猿なんて食べなくてよかった

幸一郎の母

もし、そんなことになってたら私・・・うっ・・・

幸一郎

母さん・・・泣かないで・・・

幸一郎の母

私、情けないわね、ごめんね泣いてばかりで

幸一郎

実の兄弟なら、亡くなって悲しいのは当然だよ・・・

おじは、もう戻って来ない。

ずっと日本で暮らして、普通の食事を続けていたら、もしかしたら病気にはならなかったかもしれない。

もっと長生きできたかもしれない。

そして何より、俺や俺の母親ともっと仲良く暮らせたかもしれない・・・。

幸一郎

(後悔しても手遅れだ、何も解決できない)

幸一郎

(俺にできることがあるとしたら、この出来事をなるべく多くの人に知ってもらって、一人でもこの病気になる人を減らしたい)

生前、一度も手術を受けたことがないおじ。

病気の原因が食事だけとは限らない。何か他に理由があったかもしれない。

それでも、俺は記す。こんな思い誰にもして欲しくないから・・・。

→あとがきへ進む

作者のwatです。

まず、お読みいただきありがとうございます。

もし、読んだ方の中にも落ち込んでしまった方がいたら、ごめんなさい。

でも、こういう文化は他国に実在していました。今では法規制もされています。

そもそも法規制があるのは、理由があるからです。今回のような食のタブーの場合、倫理面であったり、病気の原因になったりするからです。

ここまで読んで下さった方々に、一つ気を付けて頂きたいことがあります。それは、今回出てきた病名についてです。 あの病は、感染ルートが複数あります。外科的な医療行為を受けた際に感染するケースもあります。そして、BSEに感染した人の一部で、この病を発症する可能性があるという考えもありますが、まだわかっていない点もあるようです。この病の原因は決して一つではありません。この病名を他の場所で見たり聞いたりした時、偏見や差別を絶対にしないようにして下さい。

よろしくお願いいたします。

2021年 3月

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コメント

2

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確かに食に関しては文化もあるので難しいですよね…

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