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恋を、感情を、教えてください〜第4幕幼少期〜

第33話 - Ep.33 おいしいものとお年玉(後編)

2025年08月08日

#ドラマ

#コメディ

#澪彩文庫本💜🖌

#きな文学団

#澪彩@参加型💜🖌

音舞澪彩

グツグツグツ…

将風が目を覚まし、リビングまで降りてくると、台所から何やら音が聞こえてくる

古寺将風

……？

気になった将風が台所へ向かうと、そこには祖母が立っていた

古寺将風

ばーば

将風が声を掛けると、祖母が振り返る

古寺祖母

おや、起きたかい、おはよう

古寺祖母

もう少しで雑煮ができるよ

古寺将風

ぞーに？

古寺祖母

ああ、元旦だからね

1月1日、月曜日

Ep.33 おいしいものとお年玉(後編)

古寺優雅

おはよう、母さん、将風

優雅が降りてくる

古寺将風

パパ

古寺祖母

おはよう、優雅

古寺祖母

そろそろ雑煮ができるよ

古寺優雅

雑煮か、正月らしいな

古寺祖母

だろう？

古寺将風

ぞーにってなーに？

古寺祖母

おや、雑煮知らないのかい？

古寺祖母

雑煮ってのはね、お正月に食べる特別なスープみたいなものさ

古寺祖母

餅や野菜、肉なんかを入れてね

古寺将風

おもち！

古寺優雅

将風は餅が好きだもんな

古寺将風

うん！

古寺祖母

そりゃあよかった

古寺祖母

でも、熱いから気をつけるんだよ

ちょうどそこへ、階段をドタドタと降りる足音が

古寺凛空

おはよー！

古寺凛空

あ！！お雑煮のにおいだー！

四宮アスカ

おはよ……

四宮アスカ

うぅ…さむ…

四宮アスカ

コタツコタツ…

古寺祖母

おはようアスカ

古寺祖母

まだコタツ付けてないよ

四宮アスカ

えぇぇー！？

四宮アスカ

なんでー！？

四宮祐希

ばーばおはよっす！！

四宮祐希

おなかすいたっすー！！

古寺祖母

ははっ、しょうがないねぇ

古寺祖母

じゃあ、みんな揃ったところだし、雑煮をよそおうか

古寺優雅

そうだな

祖母は鍋のふたを開け、おたまを手に取る

白い湯気と一緒に、香ばしい香りが部屋に広がった

古寺祖母

さあ、熱いから気をつけるんだよ

祖母は一人一人にお椀を配っていく

古寺凛空

やったー！おもちだー！

古寺将風

おもち！

四宮祐希

おれ、2こがいいっすー！！

古寺祖母

欲張りはダメだよ、まずは1個だよ

四宮祐希

ええー……

全員、お椀を受け取り、お雑煮を食べ始める

四宮アスカ

いただきまーす！

四宮アスカ

……はふっ、あっつ！

四宮アスカ

でもおいしっ……

古寺優雅

さすが母さんの味だな

古寺祖母

ふん、当然だよ

古寺祖父

昔ながらの味って感じだな！

古寺祖母

古い味で悪かったね

古寺祖父

えぇ～悪いなんて言ってないよ多江子ぉ…

古寺凛空

オレお家でこれ食べたい！！

古寺凛空

ばーば作り方教えて！！

古寺祖母

ほう、味を再現できるといいねぇ

凛空の隣では、将風が餅を伸ばしている

古寺将風

おもち、やわらかい……

四宮祐希

みてみてっすー！びよーん！

祐希はお餅をお箸で伸ばしながら喜ぶ

四宮アスカ

こらこら、遊ばないの！

四宮祐希

えー、でもたのしいっす！

古寺祖母

ママの言う通りだよ、食べ物で遊んじゃいけないよ

四宮祐希

わかったっす…

パンっと音を鳴らして、凛空が手を合わせる

古寺凛空

よしっ、完食！！

古寺凛空

ごちそーさま！！

四宮祐希

おれもたべきったっす！！

四宮祐希

ごちそーさまでした！！

古寺将風

ぼくも……ぜんぶたべた

古寺将風

ごちそーさまでした

四宮桜

ご、ごちそうさま……でした

古寺祖父

ほっほっほ、みんなえらいのう

古寺祖母

ふん、あんたは感謝の言葉は無しかい？

祖母は祖父の空になったお椀を見る

古寺祖父

今から言うんだよ〜

古寺祖父

ごちそうさまでした

古寺祖母

さてと、じゃあ……そろそろ、アレの時間だね？

古寺将風

アレ……？

古寺凛空

あー！！わかったー！！

古寺凛空

お年玉だー！！

古寺祖父

その通り！！

古寺祖父

お年玉欲しい人手上げてーー！！

四宮祐希

はーーーーいっす！！！

古寺凛空

はいはーい！！

古寺将風

はい

四宮桜

は、はい……

四宮アスカ

はいはーい！！！

古寺優雅

アスカももらう気なのか？

古寺凛空

お年玉いくらかな～？

古寺凛空

オレいっぱいもらいたい！！！

四宮祐希

おれもっすー！！！

四宮アスカ

ほらほらばーば、お年玉5人分準備しないと！！

古寺祖母

はいはい、4人分だね

古寺祖母

どんなにねだっても大人にはないからね

四宮アスカ

えぇぇーー……

アスカはぷくっと頬を膨らませながら机に突伏する

古寺祖父

アスカ、わしから見てもみっともないからやめなさい

古寺優雅

そうだぞ、30超えてるんだから、諦めろ

四宮アスカ

うー、わかってるけどぉ……

そんなやりとりをよそに、子どもたちは早く渡されるのを今か今かと待っていた

すると祖母が、2つぽち袋を取り出す

古寺祖母

ほら優雅とアスカ、受け取りな

古寺優雅

え？

四宮アスカ

なになに？私の？

古寺祖母

んなわけあるかい

古寺祖母

中身は一万円だよ

古寺祖母

子供たちに直接この額を渡すのも良くないからね

四宮アスカ

なるほど！

古寺祖母

2人とも…特にアスカ

四宮アスカ

え、名指し！？

古寺祖母

これは、子どもたちのために使うんだよ

古寺優雅

もちろんだ

古寺優雅

ありがとう、母さん

四宮アスカ

ありがとー！！！

優雅が軽く頭を下げると、アスカも勢いよく90度にお辞儀をした

四宮アスカ

お母さんありがとう！愛してるー！！

古寺祖母

はいはい、口だけは達者だこと

そしてついに、子どもたちにお年玉が渡される瞬間が来る

祖母はにこにこしながら、ひとりひとりの手のひらに、硬貨をそっと乗せる

古寺祖母

はい、みんな

古寺祖母

落とさないようにね

古寺凛空

わー！！500円玉だー！！

古寺将風

おかね！

四宮祐希

わぁ～……ぴかぴかしてるっす！

四宮桜

ばーば、ありがとう…

古寺凛空

ありがとう！！

四宮祐希

ありがとうっすー！！

古寺将風

ありがとう

古寺祖母

さあ、これでお菓子でも買ってきなさいな

四宮祐希

わーいっすー！！

四宮祐希

ばーば、ありがとうっすー！

祐希がぎゅっと祖母に抱きつくと、他の子たちも一斉に笑顔になる

古寺凛空

よし、じゃあ……

古寺凛空

みんなおかし買いに行こうよ！！

古寺将風

うん

子供たちのその言葉を聞いて、アスカと優雅が声を掛ける

四宮アスカ

それじゃあみんな、お菓子買うために準備しよっか！

古寺優雅

外は寒いから、上着を着るんだぞ

古寺祖母

手袋やマフラーもするんだよ

古寺凛空

はーい！！

四宮祐希

はーいっす！！

その言葉をきっかけに、子どもたちは上着や手袋、マフラーを準備する

準備が終わると、子供たちは優雅、アスカとともにお菓子を買いに行く

四宮祐希

ばーば！いってきますっすー！！

四宮アスカ

いってきまーす！！

古寺祖母

はい行ってらっしゃい

古寺祖父

気をつけるんだよ

古寺凛空

はーい！！

コンビニに入った子どもたちは、目を輝かせながらお菓子売り場へ駆けていく

古寺凛空

うわー！！！

古寺凛空

見て見て、グミがこんなにある！！

四宮祐希

おれこれにするっすー！

四宮祐希

チョコスナック、2こで100えんっす！

将風は棚の前でじっと悩んでいた

古寺将風

うーん……

古寺将風

こっちもおいしそう……

古寺将風

あっちもおいしそう……

四宮桜

わ、わたしらむねにする……

古寺優雅

将風、決まったか？

古寺将風

うーん……

古寺将風

チョコにする

古寺優雅

そうか

カゴに次々とお菓子が入っていく中、祐希は大袋のスナック菓子を手にして満面の笑みを浮かべる

四宮祐希

ばーばとじーじに、これかうっすー！！

古寺凛空

オレも！この小さいポテチ買おっと！

みんな、家族のことを考えながら、お小遣いを握りしめて真剣に選んでいた

数十分後

四宮アスカ

ただいまー！！

四宮祐希

ただいまっすー！！

袋を両手いっぱいに抱えた子どもたちがリビングに戻ってくる

古寺祖母

おぉ、いっぱい買ってきたねぇ

古寺凛空

みてこれ！おかしだらけ！

凛空が袋を逆さにして、中身を畳の上にぶちまける

うまい棒に、ラムネ、チョコレート、グミ、アメ、ビスケット、おせんべい、そして小さなカップ麺まで混じっている

四宮アスカ

お菓子パーティー、開演だぁー！！

アスカが目を輝かせて言う

古寺凛空

みんなで食べよ！！

凛空が号令をかけると、祐希も将風も、桜も嬉しそうに頷く

そして次の瞬間、将風がぽそっと言う

古寺将風

これ、じーじとばーばの

将風はガムを一個ずつ祖父と祖母に差し出す

古寺祖母

くれるのかい？

古寺祖母

いい子だねぇ

古寺祖父

ありがとう

四宮祐希

はーい！！

四宮祐希

おれもあるっすー！！

祐希は袋からチョコレートを2個取り出し、2人に1個ずつ渡す

古寺凛空

これじーじとばーばの！

凛空もポテトチップスの小袋1つずつ渡す

古寺祖母

2人もありがとうねぇ

アスカが笑って拍手する

四宮アスカ

えらいねぇ、みんな！

四宮桜

わ、わたしも…これ…

桜もキャンディを手渡す

古寺祖父

ありがとう

古寺優雅

じーじとばーばにもあげるって、みんな選んでたんだ

古寺祖母

そうかい

祖母はふと表情を緩めた

古寺祖母

ガムにチョコに飴にポテチ

古寺祖母

全部小さいけど、嬉しいねぇ

古寺祖父

わしらのために選んでくれたというのが、いちばん嬉しいねぇ

祖父がしみじみと呟くと、アスカがにっこりと笑った

四宮アスカ

でしょー？お年玉あげたかいがあったよねー

古寺祖母

全く、そんなこと言ってもアスカにはないからね

四宮アスカ

もー！！

四宮アスカ

そんなつもりで言ったんじゃないってばー！！

古寺優雅

日頃の言動のせいだな

古寺祖父

はっはっは！

古寺祖父

そうだな！

お茶とともに少しずつつまみながら、部屋にはまた、柔らかな笑い声が戻っていった

お腹も心も、ぽかぽかに満たされた元日の午後だった

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9件

アスカの年齢にリアリティ出てきて……😅

音舞澪彩

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