日直当番は朝が早い。
いつもなら憂鬱な気分になる ところだが
今日は違う。
あの子と、日直だから。
教室に着くと、一足先に「日野さん」 が来ていた。
彼女は真剣に日直日誌を書いており、 こちらには気づいていない。
そっと後ろから近づき、日誌の端っこ に文字を書いた。
〝おはよう〟
日野さん
日野さんは驚いたように振り返り、 俺の顔を見た後
〝おはよう☺︎〟
律儀に、書いて返してきた。
日野さんの隣の席に座り、なんとなくまた紙にペンを走らせる。
〝日直嫌だねー〟
日野さんはこちらを見て、くすっと 笑った後
紙に文字を書き出した。
〝朝早いもんね〟
〝寝坊しそうになったよ〟
日野さんは書いた後すぐに、恥ずかしそうに消しゴムで文字を消した。
日野さんは笑った顔で、こくりと 頷いた。
その笑顔が、何よりも可愛くて。
〝すき〟
日野さん
俺の書いた文字を見るや否や、
日野さんの顔はみるみる内に真っ赤に 染まっていく。
そして、何か文字を書き足した。
書き足された〝やき〟の文字に 横線を引き、
〝すき〟の文字をペンで指差し 日野さんに見せる。
日野さん
日野さんの方に顔を向けると
相変わらず真っ赤な顔だったけれど
少し微笑んだ顔で、〝嬉しい〟の文字を指差していた。
日野さん
日野さん
日野さん
彼女の笑顔と共に
静かだった学校に段々と生徒たちの 騒がしさが流れ込む。
今から学校に来る全員に、
「この可愛い子俺の彼女です!」 って言ってやりたいけど
それはもう少しだけ
俺と日野さんの秘密にしよう。
コメント
21件
面白いです!
いいね!青春‼︎
こんなこと私にもないかしら(´;ω;`)