ー海の歌が好きだったー
けど、もう二度と聞けることはないんだと思う
海はあの日、心に深い傷を負った…
だから…
ー話は、だいぶ前に遡るー
私がまだ10歳だった頃…
芽瑠
海
芽瑠
海
芽瑠
芽瑠
海
海
照れながらも、海はいつも歌ってくれた
とてもキレイな声で…
海
芽瑠
芽瑠
芽瑠
海
海
海は、家族とうまく行ってないみたいで
そのせいか、
卑屈で自信がなくて、暗かった
でも、すごくすごく優しかった
そして私は…
歌を歌っている海のことが、恋として大好きだった
でも、あの日、事件が起こってしまう…
佐奈
佐奈
芽瑠
芽瑠
芽瑠
佐奈
芽瑠
佐奈
芽瑠
佐奈
芽瑠
芽瑠
佐奈
この地域では、地域内で亡くなった人がいると
亡くなってから49日目に灯籠祭りをする
正直、来てほしくなかった
灯籠祭りの日は…
本当にもう、海は帰ってこないんだって
思い知らされるから…
10歳の頃のコンクール…
海は喉の調子が悪くて、うまく歌えなかった
周りの人達はそれを笑った…
海のお母さんは、恥をかかせるなと言った…
本当は、全部知ってた
噂になっていたから
でも、私は海の口からちゃんと聞きたかった
あの日何があったのか…
でも、海はずっと
海
と言ってごまかしていた
芽瑠
と探ると、海は必ずこう言った
海
海
海
その言葉を最初に聞いた時、私は思った
ーこんなの、海じゃないー
その時、私は気付いた
私は歌っている海が好きだった
恋として…
でも、歌がない海は
ー大好きな友達としか思えなかったー
最低だ、私は…
歌がなくなっても
海は海だったのに…!
佐奈
芽瑠
芽瑠
佐奈
芽瑠
芽瑠
泣きそうな、怒鳴りそうな、変な気分だった
佐奈
芽瑠
佐奈
佐奈
芽瑠
佐奈
芽瑠
芽瑠
佐奈
芽瑠
芽瑠
芽瑠
悔しい
海は、一生懸命に生きた
でも、一生懸命すぎた
この環境で生きていくには…
作者
作者