作者
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芽瑠
佐奈
佐奈
芽瑠
ガンッ!
あ…
いつの間にか机を蹴っていた
佐奈
佐奈
佐奈
芽瑠
芽瑠
みんな
みんな
みんな
みんな
みんな
海、助けて…
芽瑠
思えばいつも、私は海に助けてもらってばかりだった…
海
海
海
芽瑠
佐奈
佐奈
佐奈
芽瑠
いつの間にか涙がこぼれていた
佐奈
佐奈
みんな
芽瑠
芽瑠
ー・・・ー
結局今日は、いじめのターゲットになったまま帰ってきた
海…
海に会いたいよ…
海の死因は溺死
自殺によるものだ
もう遺体は見つかっている…
あのとき私が
芽瑠
と言っていたら…
未来は変わっていたのかな?
私のせいなんだ
全部、全部…
いじめは当然の報いなんだ…
お母さん
お母さん
芽瑠
お母さん
お母さん
それは、薄い紙が何枚か重ねてあるものだった
遺書
父さん、母さんへ
本当は、歌うことが大好きでした
もっとのびのびと、好きなように歌いたかったです
でも、あの日から僕は歌えなくなりました
一人でいるときでさえ、芽瑠にお願いされたときでさえも
歌えなくなりました
僕は、本当は歌手になりたかったです
でも、歌えない
あの日から僕はずっと
親の名を汚さぬように…と考えてきました
でも、もう限界です
今までありがとうございました
芽瑠へ
芽瑠
僕は、芽瑠のせいで死んだんじゃないよ
芽瑠
僕が芽瑠のことを勝手に生きがいにしてただけだ
だから、もともと弱かった僕の心が、あのときいっきに崩れたんだ
でも、芽瑠は悪くない
僕の心が弱かっただけ
夢が潰れてしまっただけ
誰からも愛されなかっただけ
芽瑠
だから、僕のことなんて忘れて
芽瑠はこの世界で
僕みたいに途中で止まらないで生きて
いつも助けてくれてありがとう
迷惑ばかりかけてごめんね
さようなら
百合坂海
芽瑠
芽瑠
芽瑠
芽瑠
芽瑠
お母さん
お母さん
芽瑠
ー・・・ー
灯籠祭りに着いた瞬間、私は泣いた
灯籠の灯りが、眩しかった
芽瑠
海はたくさんの灯り…灯籠がきれいで星のような海に命を捨てたんだ…
もう、声も出ないんだ…
芽瑠
海が歌えなくなったあの日の出来事は
どうやっても私は防ぐことができなかったと思う…
いつも海に助けてもらってばかりの、甘ったれで
海を救うことができなかった最低な
私なんかじゃ、海の生きる希望になったってどうしようもなかったんだ…
芽瑠
お母さん
芽瑠
伝えてなかったこと、いっぱいあったのに
これから二人でやってみたいことだって…
芽瑠
芽瑠
お母さん
お母さん
芽瑠
私は海のこと、愛してた
でも、私なんかじゃ
完璧な海の生きがいにはなれなかった
ごめんね
さようなら
芽瑠
灯籠にそう書いて、海に流した
芽瑠
いじめられっ子になってしまったこと
海がいなくなったこと…
いっそのこと死にたいと思うけれど、 それはしちゃいけない
海
海の最後の言葉
これは、絶対に守るんだ…
そう思ったその瞬間、
海がずっと遠くで笑った気がした
完
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