そっ、と横にいたあなたが 起き上がる気配がした
思わず腕を掴む
あなた
…ん
あなた
ごめん、起こした?
僕
…いえ
起きてましたから
起きてましたから
僕
どこ行くんですか?
あなた
あなた
いや、別に
あなた
飲み物でも飲んでこようと思って
僕
…全く…
嘘が下手くそですね
嘘が下手くそですね
僕
(そういう所も好き
なんだ…
なんだ…
あなた
え?何言ってるの
あなた
嘘なんかついてないよ
僕は起き上がると、 あなたの胸板に頬を押し付けた
暖かい
心臓の音がした
僕
(僕は知ってる
僕
(きっと今出ていったら
僕
(あなたは戻ってこない…
あなた
んん?どうしたの…
あなた
ホント、甘えん坊だなぁ…
僕
…そういう所も好き、
でしょ…??
でしょ…??
あなた
そーいうズルい所が好きだよ
僕
僕
じゃあ好きならどうして
置いていくんですか
置いていくんですか
あなた
─え?
僕
もう、戻ってこないでしょ…??
あなた
何言ってるの
あなた
…ね、離して??
離さない─ 離したくない
僕は腕をそのままあなたの 腰に回した
僕
いかないで─
あなた
…ずっと
そばにいるよ
そばにいるよ
僕
最後だからでしょ?
僕
最後だから、だから
今日僕を抱いたんでしょ?
今日僕を抱いたんでしょ?
あなた
そんな事ないよ
あなた
好きだから
ヤるんでしょ?
ヤるんでしょ?
僕
…僕にとってあなたは水です
あなた
え?
何突然
何突然
僕
あなたは
僕
僕に冷たさと涼をくれた
僕
透明感があって
触れたら消えてしまうような─
触れたら消えてしまうような─
あなた
…はは
あなた
ありがとう
僕
今だって
僕
一緒にいるだけで
何故か─
何故か─
僕
(泣きたくなる…
実際僕の瞳からは 暖かいものが流れて
あなたの胸からスルスルと シーツに落ちる
あなた
よしよし
大丈夫だよー
大丈夫だよー
僕
僕の事、好きですか?
あなた
っ─
あなた
あなた
それはあとで
あなた
ね、ほら寝なよ
僕
(今眠ったら─
僕
目を開けたら、あなたはまた、隣で笑ってくれますか?
眠たげな目
フワフワの甘い匂いの髪
細い指 白い肌
色っぽくふくれている唇
あなた
お前と一緒にいられるなら、俺はいつでも笑顔だよ
あなた
泣かないで…
あなたにそっと押し倒される
ふんわりとしたものが 僕の唇に当てられる
僕
ん………
僕
(……ほら、いないじゃん
だから離したくなかったんだ
あなたの事なんて、僕が 一番よく知ってる
僕
はは…分かってたくせに…
僕
(僕はバカだなぁ…
立ち上がると、あなたの匂いが 鼻をついた
気付かなかったが、僕の 隣に一枚の紙が置いてあった
僕
(置き手紙、ですか…
僕
キザだなぁ………
開いてみる
愛してる
僕
ばっ……かじゃ
僕
(バカじゃないの!?
僕
そんなの分かってるよ!!
何で分かりきった事を書くんだよ!
もっと、もっと違う、何か─
もう行ってしまった
もう戻ってこない
僕
あなたは愛してる…?
僕を?
僕を?
僕
なら僕は
好き“でした”
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