テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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夢々、君へ揺れ

第29話 - 夢と現実

456

2024年03月09日

#一次創作

#ファンタジー

#夢

#理想

#運命

#青春恋愛

四阿朧

この世界に来て数日経っても夢を見ない

夢が、よく分からない

この世界の十和が夢を見るってことは

私たちの元の世界の十和が夢を見ないことと、何か関係あるのかな

何も、分からない

……私と入れ替わった芽生は

夢を、見ていたのだろうか。

違う世界の十和

…うーん、2人はふつうの夢見てるって言ってた

違う世界の十和

なんなら途中から面白がって昨日見た夢の話とかしてたよ

違う世界の十和

最初びっくりしてたけど思ってた以上にすんなり話してくれた

芽生

そっか

芽生

（見ない…）

芽生

（それならきっとこっちの芽生も普通の夢見てただろうし───）

芽生

（…）

芽生

…夢を、見ない世界線

違う世界の十和

？

芽生

あ、いや…

芽生

この世界の方が…ふつう、なのかも

芽生

唯兎くんと私がお互いの夢なんて見ないで

芽生

少し酷かもしれないけど、そんな現実を生きてる感じがする

芽生

私と唯兎くんが夢を見なかったら、私たちの世界でもこうなってたんだろうし

違う世界の十和

…なるほどね

違う世界の十和

夢で出逢うかどうかが、岐路ってことか

芽生

そ

芽生

（…でも、だとしたら────）

芽生

（こっちの世界からじゃ、元に戻る方法なんて探しっこないのかもしれない）

芽生

（だって何も…ファンタジックな違和感がない、世界なんだろうから。）

私と入れ替わった芽生

告白、したんだ

唯兎くん

まあね…

唯兎くん

ていうか、十和から折り返しつくまで話してようとは言ったけど

唯兎くん

まさか本人の前で恋バナさせられるとは………

私と入れ替わった芽生

王子様なんでしょー、カッコよく答えてー

唯兎くん

こわぁ…

唯兎くん

ていうか俺は芽生ちゃんのことが知りたいんだけど

そう言いながら楪くんは私をじっと見つめてくる

私と入れ替わった芽生

…

私と入れ替わった芽生

しーらない、そういうのは本人から聞きなさい

唯兎くん

…ま、そーだよね

唯兎くん

でも何度も言うけどさ…俺、分かんないんだ

唯兎くん

そういう"可能性の芽生ちゃん"も全部含めて芽生ちゃんじゃダメなの？

私と入れ替わった芽生

なにそれ

私と入れ替わった芽生

"好きになった時点であとはどう変わっても一生好きです"ってこと？

唯兎くん

まあ近しいけど違うよ

唯兎くん

そんな、中身がまるっきり芽生ちゃんじゃなくなっても好き、みたいなことじゃない

唯兎くん

外側の振る舞いがどう変わっても心の奥底に隠した本音が芽生ちゃんのものなら

唯兎くん

俺は好きなんだ

私と入れ替わった芽生

そんなの分かんないじゃん、どこまで本気で思ってるかとか

唯兎くん

まあね

私と入れ替わった芽生

…あなた結構めんどくさいね

私と入れ替わった芽生

あと重い

唯兎くん

げっ、それ言われたくないセリフなんだけど

私と入れ替わった芽生

…まあ、私はもうそういう甘いのはいらないけど

私と入れ替わった芽生

心地いいんだろうな…きっとこっちの芽生にとっては

唯兎くん

………なにそれ、え、ほんとに？

私と入れ替わった芽生

知らないよ、私は嫌だしそんな夢見がち男

唯兎くん

そんな無責任な！

私と入れ替わった芽生

全部含めて私ってのは…私は認めないと思うよ

私と入れ替わった芽生

お姫様を夢見る私と、現実的な私は…

私と入れ替わった芽生

この2つの世界線がある時点で、別離されてるようなもんだから

唯兎くん

…変なの

唯兎くん

そりゃあ俺は、出逢ったのがあのタイミングだったから好きになったのかもしれないけど

唯兎くん

出逢った時点でもう、俺はどんな世界線の芽生ちゃんでも大好きなのに

私と入れ替わった芽生

…それマジで言ってるの？

唯兎くん

うん

唯兎くん

…だって、きみだって同じ芽生ちゃんでしょ

私と入れ替わった芽生

…どこが？

唯兎くん

初めはきみも独りで、夢を見たいと願った寂しがりやで強がりな女の子だったんだから

私と入れ替わった芽生

…

率直に、楪くんてこんな人だったんだ、と思った

私と入れ替わった芽生

…なんていうか、すごいね

私と入れ替わった芽生

ほんと、重いし…夢みがち

唯兎くん

あはは、そうだよ

唯兎くん

…でもこの世界に夢を見せてくれたのは芽生ちゃんなんだ

私と入れ替わった芽生

…夢……ね

私と入れ替わった芽生

…夢を見なかった世界であなたと芽生は結ばれないんだよ

私と入れ替わった芽生

怖くないの？

唯兎くん

あはは…うん、まったく

唯兎くん

って言うと、嘘になるけどさ

唯兎くん

それでも仕方ないじゃん

唯兎くん

言ったでしょ？出逢って好きになっちゃったんだ

唯兎くん

もう、どうしようもないくらいに

私と入れ替わった芽生

…そっか

楪くんはその話をしている間中ずっと、私を見ていた

その瞳が本当に、夢を見ない私…いや、夢を見たかった幼い頃の私も全部含めて

愛吹芽生を愛しているのだと、訴えかけてくる

私と入れ替わった芽生

（…私は、この世界で私と十和が結ばれないのはちょっと…寂しいな）

私と入れ替わった芽生

（だからほんとは十和だけ応援していたいけど）

私と入れ替わった芽生

（…でも、そっか）

私の見る夢は

怖かったり、楽しかったり、ただの夢でしかない

…幼い私は夢を見れなかった。

それが私の世界の事実で

それが、分岐点。

楪くんとの夢を見た私は、現実に夢を持って今生きている

だけど特別な夢を見なかった私だって、現実を心地よく愛せる十和といっしょに生きている

きっとどっちも、間違いじゃないし私らしい選択だ

だけどあのときの孤独な私の王子になってくれたこの世界の楪くんを

王子様がほしかった私が否定してしまうのは、少し寂しい

だから私は、私がこの世界で誰を選んで、誰に選ばれても

文句の1つも、浮かべられはしない。

夢々、君へ揺れ

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芽生ちゃんの考え方、すごい個性ある感じはするけどすごく一貫性というか芽生ちゃんらしいなぁと納得できる感じになっててすごい…！この分かり合えないはずの2人の会話、ちぐはぐだけどすごくいい！

今芽生さんがいる世界が私たちと同じでファンタジーなんて起こらない現実（リアル）の世界なのか…… これは元の世界にいる3人を頼るしかないね……💦 もし、X芽生さんも夢の中で唯兎くんと出会っていたら十和くんと付き合うことはなかったわけだからX芽生さんからしたらこの世界は嫌な世界、だよね…… 結局、芽生さんもX芽生さんも元の世界が一番幸せな世界なんだろうな……🙄🙄

四阿朧

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