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#ギャンブル
りんご
904
19
朽華 歌仙
78
【SYSTEM】
灰色のスクリーンに、第3問が映し出された。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
金本爽香
Aチームの金本爽香は、腕を組んだままモニターを見つめた。
これまでAチームは、爽香の判断で2問とも正解してきた。
けれど、今回は勝手が違う。
言葉遊びでも、数字でもない。
視覚現象。
金本爽香
同じAチームの生徒ナンバー19・田所孔美が、恐る恐る口を開いた。
田所孔美
田所孔美
そこまで聞き、爽香は小さく頷いた。
金本爽香
爽香の表情に、わずかな余裕が戻る。
金本爽香
Cチーム。
菜々美は、相変わらず頭を抱えていた。
生島菜々美
生徒ナンバー21・土橋怜那が、不安そうに答えた。
土橋怜那
世斐羅女子学院では、“美術”か“音楽”を選択する。
菜々美が選んでいるのは、“音楽”。
生島菜々美
Cチームは、すでに珂瑛来を失っている。
これ以上失いたくない。
だが、答えなければ全員が死ぬ。
菜々美は、もう一度スクリーンを見上げた。
黄色。
その文字だけが、灰色の部屋で妙に浮いて見えた。
最も動揺していたのは、Fチームだった。
須藤好美と中原葉月しか残っていない。
第1問で衛藤華、第2問で矢島梓が脱落した。
もし第3問も失敗すれば――
須藤好美
好美は不安を抑えきれず、葉月に詰め寄った。
好美はクラシックバレエ、葉月はチアダンスを長く続けている。
2人は幼馴染で、休日も一緒に市街地へ出かけていた。
その2人が、同じチームに取り残されている。
中原葉月
けれど、葉月の額には汗が滲んでいる。
声も、わずかに上ずっていた。
須藤好美
葉月は頷いた。
それが自信か恐怖か、好美には判断できなかった。
中原葉月
須藤好美
中原葉月
好美は、その言葉に運命を託した。
葉月は震える身体に鞭打ち、Fチームの演壇へ進んでいく。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生島菜々美
菜々美の喉が乾いた。
連続正解しているAチームと同じ④。
それは心強い。
だが、回答は③と④に二分された。
B、D、F、Gは③を選んでいる。
第1問で、多数派が正解とは限らないと知った。
生島菜々美
そう思っても、指先の震えは止まらなかった。
Fチームの演壇では、葉月が唇を噛んでいる。
中原葉月
中原葉月
言い聞かせるほど、汗が首筋を伝っていく。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
スクリーン全体が、強い黄色に変わった。
灰色の部屋で、その色だけが異様に鮮やかだった。
生徒たちは、言われるまま見つめた。
しばらくの間、黄色が目の奥に焼きついていく。
やがて黄色が消え、画面が無彩色に変わる。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生島菜々美
菜々美は小さく呟いた。
隣の怜那が、微かに息を吐く。
土橋怜那
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
スクリーンに表示されたのは、④。
中原葉月
Fチームの演壇で、葉月の顔から血の気が引いた。
中原葉月
中原葉月
中原葉月
葉月は涙を浮かべ、上ずった声で好美を見た。
須藤好美
好美の表情が、みるみる歪んでいく。
須藤好美
中原葉月
須藤好美
須藤好美
葉月の目には、必死に命乞いする好美が映った。
幼馴染。
親友。
いつも一緒にいた相手。
その相手が、自分だけ助かろうとしている。
中原葉月
灰色の光が天井から落ちた。
中原葉月
葉月の脳天を、灰色の光線が貫く。
同時に、③を選んだ他の代表者たちも、光を受けて床へ崩れ落ちた。
須藤好美
須藤好美
好美は自分の身体を見下ろした。
手が動く。
足も動く。
頭も、まだある。
須藤好美
菜々美の背筋が冷たくなった。
本当に、それで終わるのだろうか。
3問とも不正解なら、残った1名も道連れになると言っていた。
それとも、ただの脅しだったのか。
好美は倒れた葉月を見て、助かったという事実だけに震えている。
【SYSTEM】
須藤好美
【SYSTEM】
須藤好美
【SYSTEM】
須藤好美
【SYSTEM】
【SYSTEM】
須藤好美
須藤好美
【SYSTEM】
その言葉が、灰色の部屋に冷たく響いた。
須藤好美
切り捨てようとした相手に、今度は縋ろうとしている。
その姿は、あまりにも醜く、そして人間らしかった。
次の瞬間、灰色の光が好美の脳天を直撃した。
須藤好美
好美の身体が、床へ崩れ落ちる。
倒れた先には、葉月の身体があった。
好美の手が、何かを掴むように葉月へ伸びる。
けれど、その指は届かなかった。
灰色の人影たちが現れた。
倒れた生徒を、次々と抱え上げる。
5人の身体が、灰色の光の中で運ばれていく。
菜々美は、好美と葉月を見ていた。
親友だったはずの2人。
最後まで、互いを支えられなかった。
葉月は、好美と死ぬことに縋った。
好美は葉月だけを切り捨てようとした。
どちらが悪いのか。
そんな問いに意味はない。
この部屋では、人間のきれいな部分から削られていく。
残るのは、死にたくないという剥き出しの願いだけだった。
新倉穂乃花
穂乃花が、少し離れた場所で呟いた。
Gチームの世良杏綬が運ばれるのを、立ち尽くして見ていた。
覚えていなければならない。
そう思っている顔だった。
けれど、声にはもう不安が混じっている。
新倉穂乃花
菜々美は答えられなかった。
代わりに、心の中で名前を繰り返す。
城戸凜子。
三田園亜美。
中原葉月。
世良杏綬。
須藤好美。
忘れないために。
この部屋に、奪われないために。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
灰色の光が、少し暗くなった。
知恵の試練は終わった。
けれど菜々美には、終わったとは思えなかった。
ここから、もっと悪いものが始まる。
そんな予感が、喉の奥に冷たく残っていた。
第2試練終了――
生徒ナンバー05・江島早灯南 脱落。 生徒ナンバー14・佐倉樹里 脱落。 生徒ナンバー23・富野星羅 脱落。 生徒ナンバー35・毛利算奈 脱落。 生徒ナンバー02・雨宮螢 脱落。 生徒ナンバー04・牛嶋楓 脱落。 生徒ナンバー06・衛藤華 脱落。 生徒ナンバー12・工藤珂瑛来 脱落。 生徒ナンバー37・結城壬子 脱落。 生徒ナンバー36・矢島梓 脱落。 生徒ナンバー11・城戸凜子 脱落。 生徒ナンバー24・中原葉月 脱落。 生徒ナンバー33・三田園亜美 脱落。 生徒ナンバー16・世良杏綬 脱落。 生徒ナンバー15・須藤好美 脱落。
残り21名。
コメント
1件
うわ、今回もきつかった……。Fチームの好美と葉月、最後まで互いを信じられなかったのが本当に切ない。黄色の補色残像を「紫」と答えるのが正解って仕掛け、ちゃんと読者も一緒に考えさせられる構成になってて面白い。でも「理解」を問う次回の予告がもう不穏すぎる……菜々美が必死に名前を覚えようとしてるシーン、胸が締め付けられました。