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【第五章】その背に手を伸ばして

第11話 - 6話「その音は無力感」

122

2022年03月15日

#ドラマ

#ミステリー

#ワイテルズ

ミッドナイト@

創造神

……どなたですか

真夜中

私です、

真夜中

──創造神様

創造神

…真夜中

創造神

なぜ、ここへ？

創造神

遠いだろうに

真夜中

あなたに、

真夜中

話さなければならない事があります

創造神

……それは？

真夜中

…………

創造神

「言いなさい」

真夜中

…ｯｯ

真夜中

…なぜ物語を終わらせないのですか？

真夜中

あなたの創り出した"登場人物"は、

真夜中

4人、既にハッピーエンドを迎えているでしょう？

真夜中

気付かないとでも思ったのですか、

真夜中

あなたでしょう？

真夜中

"この物語を創っているのは"

創造神

…………

創造神

あなたに教える事はありません

真夜中

なぜ！？

真夜中

私は…、早くこの"物語"から抜け出したいのに…！

創造神

…駄目ですよ

創造神

癒夢も、望音も

創造神

黒葉も、栞も

創造神

この物語から抜け出す事はできません。

創造神

私も、

創造神

貴方もです

創造神

…真夜中。

真夜中

…………っ

真夜中

なぜ……！

真夜中

何故このような下らない遊びを！？

真夜中

人間を弄んで、

真夜中

何が楽しいのです！？

創造神

遊びじゃないｯ！！！

真夜中

っ！！

創造神

…遊びじゃ…ない

創造神

遊びなんて…言うな

真夜中

そ…創造神様？

創造神

これは……っ、

創造神

……

創造神

私が、やってるんじゃない

真夜中

……え？

創造神

……

真夜中

どういう……事です

創造神

途中までは、私が物語を創っていると思っていました

創造神

ですが、…

創造神

気付いたんです

真夜中

…？

創造神

私も、

創造神

"登場人物の一人"だったことに

真夜中

…何を…言って……？

創造神

あなたには…分かりませんよ

真夜中

えっ……ちょっと

創造神

地上へお帰り

真夜中

わっ…！？💦

真夜中

な、何すんっ……

真夜中

い…

真夜中

いつか話してもらいますからね！！

創造神

……っ

？？？

(誰も…何も、)

？？？

(知らないくせに…！)

？？？

(なんで私は…幸せになれないの…)

？？？

(幸せになっては…いけないの？)

？？？

(教えてよ…教えて、)

？？？

……栞

栞

っ！？ﾋﾞｸｯ

涙

えっ…？ﾋﾞｸ

涙

ど、どうしたの？

栞

う……

栞

ううん、何でもない

涙

……そっか

衝撃とも呼べる謎の悪寒が、

私の背をつたった。

栞

……っ、はい、

栞

…この本

平気な降りで、ティアに本を渡す。

栞

今言ったリクエスト通りだと思うよ

涙

……ありがとう、

ゆっくりと受け取り、

微笑む。

栞

……！

ティアの柔らかな笑顔を見て、思う。

幸せになってはならない人なんて

いないんだ、と。

栞

……それと

涙

……？

栞

あの……よかったら

栞

感想、聞かせて

スマイル

よう、栞

栞

わぁっ！？💦

スマイル

…

栞

ちょ、っ！？

栞

スマイルさん！？💦

スマイル

お

スマイル

分かったか、

栞

は……

小さく笑うスーツ姿の細身の男性。

そう。彼がスマイルだ。

って、あれ？

栞

(大声…バレた！？)

慌ててティアを振り向く。

栞

……あれ？

しかし、ティアは手元の本に目を落としている。

気付いていないらしい。

スマイル

何でだって顔だな

スマイル

教えてやるよ

スマイル

俺がティアの時間を止めた。

スマイル

本は読めるようにしてある。

栞

(なんでもありかよ…)

スマイル

だから、

スマイル

俺とあんたが話をして

スマイル

最後にティアの時間を戻す事になるな

スマイル

つまりあんたには俺との記憶が

スマイル

ティアにはあんたが勧めた本の記憶が残るわけだ

栞

…………

スマイル

分かったな？

栞

………ﾊｲ

スマイルさんは口下手だ。だから、少し説明が分かりづらい。

でも、少しわかった。

この空間は、科学では説明できない何かが起こっている。

スマイル

じゃ、話をするか

栞

……

スマイル

涙について

栞

…？

スマイル

あんたは涙に何をしてやれる？

栞

……えっ、どういう…

スマイル

あんたが涙にしてやれる事は何だ

栞

えっと……？

スマイル

中途半端な優しさで、

スマイル

あいつの心を埋められると思うな

栞

…！スマイルさっ

スマイル

アンタがやってる事はな

スマイル

シャークんやきんときに言われた事をただ行ってるに過ぎないんだよ

スマイル

自分で涙を救おうとしてないだろ

スマイル

俺には解る

栞

…………っ

栞

(…事実だ)

栞

(私はティアを救おうとしてない)

栞

(ただ…)

栞

(ティアについてWTの人と話して、)

栞

(勝手に救えると思っただけで)

栞

(私は…………)

スマイル

…

栞

(……そうじゃん)

栞

(私は…ティアを救えない)

栞

(だって)

本に夢中なティアと、スマイルさんに目を向ける。

栞

(私も、私だって)

栞

("救済"される側…だから)

WTの目的は、私たちを"救済"すること。

私の前にWTが現れたということは、

私は…救う側にはなれないのだ。

栞

…ごめんなさい

スマイル

……え

思わず、私は頭を下げていた。

急な行動に驚くスマイルさんに、

私は言葉を重ねる。

栞

私が立場を分かってませんでした

栞

ごめんなさい

栞

今、わかりました

栞

私じゃティアを救えません

スマイル

ちょっと…あんた

栞

空間を元に戻してください

スマイル

あ……！？

スマイル

(コイツ……！)

WTの"空間"の特徴人間の強い意志で空間は動く。

栞

…………

涙

……あっ！

涙

栞……さん

涙

あのっ、これ

涙

読み終わったよ、私…

涙

あの、感想、

涙

すごく共感できて…その

栞

あのさ

涙

……えっ？

栞

ごめん

栞

今日忙しい

涙

…！…待って、

栞

それ、あの人に返して

涙

え…っ、

スマイル

……！

涙

い、いつから人が？

栞

行って

私は、ティアが悲しそうにスマイルさんのもとへ歩いていくのを、

他人事のように見ていた。

涙

……あの、この本

スマイル

あぁ、

スマイル

…どうだった

涙

………………！

その言葉が聞こえた瞬間、

ティアの肩がびくっと震えた。

涙

………っ、

スマイル

あ…

何も言わずに出ていく。

その後ろ姿は、

…とても哀に沁みていた。

スマイル

何を勘違いしてんだ

栞

えっ？

力無く顔をあげる。

スマイル

お前がやりたいのはこんな事じゃ無いだろ

栞

……っ、

栞

じゃあ…どうすれば

スマイル

自分で考えろ

スマイル

さっきからお前は

スマイル

Nakamuに言われたこと

スマイル

Broooockに言われたこと

スマイル

シャークんに言われたこと

スマイル

きんときに言われたこと

スマイル

俺に言われたこと

スマイル

全部その通りに動いてるだけなんだよ

スマイル

勝手に救えると思って

スマイル

深く考えずに相手を突き放して

スマイル

結局なんだ、

スマイル

お前は誰一人として幸せにしてやれてないじゃねぇか

栞

っ…

スマイル

俺がさっき言いたかったのはな…

スマイル

…………

スマイル

自分の言葉で涙を救え

栞

え？

スマイル

涙がいじめられてるから何だ

スマイル

涙の名前が変わってるから何だ

スマイル

助けたら他の人にいじめられるかもしれないから何だ

スマイル

そんな事はいい

スマイル

大切なのはお前が自分を認めて

スマイル

自分で誰かを救えるかだろ

栞

………！

スマイル

……

スマイル

じゃ、俺は失礼する

栞

えっ、ちょっと…！

スマイル

それと、

栞

……え？

思い出したように振り向く。

スマイル

この本は、お前にやるよ

そして投げられる本。

栞

っ！えっ、あ、

受け止めようとして手を伸ばして…

スマイル

……

本を胸に抱いた時にはもう、

スマイルさんはいなかった。

……To be continued

【第五章】その背に手を伸ばして

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1件

スマイルさん、心に響きますよ。栞さんも涙さんを救ってあげてね(´；ω；｀)

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