学祭当日 自分の出番が来るまで他の出し物を後ろで見ていた
薫
………
薫
(やばい…手が……)
私は昔から、緊張しいで皆にはバレないようにいつも乗り越えてきた
薫
(だから…大丈夫…大丈夫)
楓
…薫
薫
!
そっと隣にきた楓さんが私の手を握った
薫
…か…楓さん…?
楓
ちょっと時間空いたから来ちゃった
楓
大丈夫?
薫
……大丈夫です
楓
本当?凄く不安そうな顔してたから…
薫
……え…
薫
……なんで…
楓
…ん?
今までバレたことなかったのに
薫
…分かったんですか
楓
…それは…
楓
だってあなたの事が
楓
好きだもの
薫
!
楓
いつも見てるから
楓
ちょっとした変化にも気づいてしまうわ
薫
……
薫
……そう…ですか…
薫
恋って凄いんですね
楓
ふふ…
楓
そうねっ
薫
……
薫
…楓さん
楓
…ん?
薫
少しだけワガママ聞いてもらって良いですか…?
楓
…ええ、良いわよ
薫
……
薫
動かないでくださいね
楓
うん
ポンッ
私は楓さんの肩に顔を埋めた
楓
っ?!
楓
か…薫…?!
薫
…………
楓
………
しばらく黙ってると頭をポンポンと撫でられた
薫
(……安心…する…)
楓
大丈夫よ
薫
!……
今まで言われてこなかった励ましの言葉 なんだか、それが凄く心地いい
薫
(なんか…分からないけど……頑張れる気がする…)
薫
……
薫
…はあ…
薫
……ありがとうございました
楓
ん?もういいの?
薫
…はい、出番もうすぐなんで
楓
そっか
楓
頑張ってね
楓
ここで見てるから
薫
…はいっ
垂れ幕の裏
透
薫ーこっちこっち
薫
ん、お待たせ
透
……あれ?
透
なんかあった?
薫
…え?なんで?
透
んー…
透
なんか顔が明るいよ
薫
……ふ…
薫
ステージが楽しみなだけだよ
透
!…へぇ…
透
珍しい…
薫
よしっ、行くよ
透
おー!
スポットライトが当たって少し頭がクラっときたけど、凄く今は
薫
(行ける気がする…全力で)
透
わん、つー、すりー
〜♪〜〜♪
ドラム、ベース、ギター、ピアノ 音が聞こえて1つの音楽を作り出す
薫
…すぅ…
薫
広い宇宙の数あるひとつ…
恋は知らないけど、恋を歌うって不思議
透
お疲れ様
薫
………うむ
透
あちゃー…こりゃ出し切ったな
透
そりゃあんなに本気で歌ったらそうなるよ…
透
喉ガッスガスじゃん
薫
ソンナコトナイ
透
全く…
透
…あ、ほらお迎え来たよ
薫
……ん?
楓
お疲れ様〜
薫
楓さん…
楓
凄かったよ!!
透
……じゃあ、僕はここでー…
薫
…ん、お疲れ
透
うん!楓さん、あとお願いします
楓
?うん?
薫
(疲れた……)
見上げると楓さんがこっちを見つめていた
薫
……
薫
(夕陽と美人……)
薫
(……この人を好きにならない自分が…)
薫
(……怖い)