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塾からの帰り道

一人、空を見上げる村田直子

村田 直子

星……見えないなぁ…

村田 直子

昔住んでたところは、よく見えてたのに…

村田 直子

…涼子

村田 直子

…中村先輩

村田 直子

みんなで星を見上げて、お喋りしてたあの時間が懐かしいよ…

背後から近づく足音に気がついて振り返る

村田 直子

………

そこには、

雨も降っていないのに

雨合羽を着た人物が一人

村田 直子

え?

ゆらりゆらりと

その人物は近づいてくる

村田 直子

……

その手には一本の包丁が

星の光を浴びてキラリと光る

村田 直子

うそ…

逃げようとして駆け出した瞬間

背中に激痛が走った

村田 直子

きゃあっ!!

足がもつれ倒れる

這いつくばって逃げようとして

その足を刺された

村田 直子

ああっ!!!

村田 直子

止めて!!

村田 直子

誰か!!

村田 直子

誰か助けて!!!

しかし、直子の悲鳴は意味を成さず

犯人は楽しそうに笑いながら

太もも裏を刺した

村田 直子

あ゛っ!

太ももから包丁が抜けた瞬間

直子は立ち上がろうとしたが

足に力が入らなかった

村田 直子

…うぅ

村田 直子

なんで……

村田 直子

なんで…私がこんな目に…?

???

裏切り者、だからじゃない?

村田 直子

え?

恐ろしいことに

背後から聞こえた声に聞き覚えがあった

村田 直子

うそ…まさか…

恐る恐る振り返ると

そこには雨合羽を着た人がいて

被った半透明のフードから覗いたその顔は

紛れもなく山本花菜だった

山本 花菜

裏切り者には制裁を!

そう言ってナイフを腹に突き刺した

村田 直子

あ、うぐっ…

山本 花菜

ふはっ!

山本 花菜

なぁんてね

楽しそうな笑みを浮かべる花菜

村田 直子

うっ……うぐっ……

刺した包丁をギリリと捻る

村田 直子

あ゛あ゛っ!!

山本 花菜

ふはっ、すっごい痛そう

山本 花菜

ははっ

山本 花菜

痛い?痛いよね?

花菜は笑いながら聞いてくる

村田 直子

どうして…こんな…

山本 花菜

どうして?

山本 花菜

さぁ?

村田 直子

裏切り者って…

村田 直子

どういうこと?

刺されたお腹を両手で押さえるが

尋常ではない量の血が流れる

ひどい寒気が襲う

村田 直子

まさか…

村田 直子

花菜が…

口の中に広がる血の味

村田 直子

涼子を?

山本 花菜

あと中村先輩も

村田 直子

嘘っ

山本 花菜

ほーんとっ

わざとらしく明るく言う花菜

村田 直子

花菜!

村田 直子

どうして!!

飛び掛かろうとした直子に

さらに包丁を深く刺し込んだ。

村田 直子

あ゛っ!!

山本 花菜

裏切り者に制裁を下しただけ……

山本 花菜

って、言えば聞こえはいいかなぁ…

包丁を抜き取ると

傷口から真っ赤な血が綺麗な弧を描いて噴き出した。

山本 花菜

んー…でも、中村先輩は巻き込み事故みたいなもんかな?

村田 直子

花菜…

村田 直子

あんた、何を…

山本 花菜

理由なんて何でもいいの

山本 花菜

本当は

山本 花菜

だって私

山本 花菜

ただ単に人を殺したかっただけだし

ケラケラと笑う花菜

村田 直子

ふざけないで!!

死に物狂いで掴んだその手を

容赦なく切り裂いた

村田 直子

きゃあっ!ぐふっ!!

口から真っ赤な血を吐き出す

山本 花菜

ふ、はははっ!

山本 花菜

いいねぇ

山本 花菜

人を刺すのって

山本 花菜

楽しいなぁ

うっとりとした顔をする花菜

顔を強張らせる直子

二人の間に

友情という二文字は無かった

山本 花菜

はぁ……

山本 花菜

ようやっと殺せたぁ

山本 花菜

ずっとずーっと

山本 花菜

殺したかったんだぁ

村田 直子

花菜…?

山本 花菜

涼子は顔を刻んだらどんな風に泣き叫ぶかなぁ?とか

山本 花菜

直子を滅多刺しにしたいなぁ、とか

山本 花菜

優子のあの純粋な目玉を抉り出してみたいなぁ、とかぁ

山本 花菜

ずーっと考えた

山本 花菜

考えすぎておかしくなりそうだった!!

振り下ろされた包丁は

肋骨の隙間を抜けて

肺まで達した

村田 直子

んぐっ!

山本 花菜

肺まで刺さっちゃったかなぁ?

山本 花菜

ってことはぁ

山本 花菜

血が肺の中に溜まっていって…

村田 直子

や、やだ…

山本 花菜

呼吸が出来なくなっちゃうかなぁ?

村田 直子

やだ…

村田 直子

死にたくない…

村田 直子

死にたくないの

懇願するように花菜の腕を掴む

山本 花菜

はい!もう一回♪

声高らかに

花菜は

何度も包丁を振り下ろした

直子は口から血の泡を吹き

目から血を涙をこぼし

体を痙攣させる

山本 花菜

はぁ…

山本 花菜

すっきりした!

満足したような笑みを浮かべると

花菜はあっさりとその場を立ち去った

遠ざかる足音

静寂が辺りを包み込む

村田 直子

死にたく…ない…

肺が血で満たされる

村田 直子

なんで…

村田 直子

なん……で…

意識が朦朧とする

村田 直子

だれ…か…

視界が徐々に暗くなっていく

村田 直子

……ゆぅ

村田 直子

……にげ…

村田 直子

……

誰か教えて下さい。

どうして、こんなことになってしまったんですか?

私はただ、

友達と楽しい高校生活を送りたかっただけなのに…

どうして、次々と友達が死んでいったのですか?

どうして、私の友達は死ななければ、

殺されなければならなかったのですか?

誰か……

教えて下さい。

山本 花菜

二人になっちゃったね…

田中 優子

うん…

山本 花菜

優子、大丈夫?

田中 優子

うん…

田中 優子

花菜は…大丈夫?

山本 花菜

うん

山本 花菜

優子がいるから、平気

田中 優子

そっか、そうだね

山本 花菜

みんなで…

山本 花菜

パンケーキ食べに行きたかったな…

田中 優子

…うん

山本 花菜

優子

田中 優子

ん?

山本 花菜

私だけだと頼りない、かな?

田中 優子

…そんなことないよ

田中 優子

って言いたいけど

田中 優子

ちょっと頼りないかも

山本 花菜

ふははっ!ひどいなぁ…

田中 優子

……

田中 優子

でも、一人じゃないって心強いね

山本 花菜

うん!

そこでチャイムが鳴った。

田中 優子

あ、席に戻らないと

山本 花菜

───

田中 優子

え?

田中 優子

何か言った?

山本 花菜

ううん、何も

山本 花菜

落ち着いたらパンケーキ、食べに行こうね!

田中 優子

…うん!

花菜だけは、失いたくありません。

一人ぼっちにはなりたくありません。

どうか、1日でも早く三人を殺した犯人が捕まりますように───。

END

この作品はいかがでしたか?

68

コメント

7

ユーザー

まさかの展開でした😱

ユーザー

とても面白かったです‼

ユーザー

↓裏話↓

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