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主。
主。
主。
主。
Atと海岸で出会った次の日、オレはいつも通り学校に行って、 クラスメイトに隠された体操着を見つけてから席に着く
すると、正論を振りかざす大人の代表例とも言える担任の教師が 見覚えのない生徒を1人連れて教室に入ってきた
途端教室がザワザワと騒ぎ始めて女子からは すごい、あの子超イケメン、という黄色い声が上がる
Mz
Mz
オレが転校生についてそう考えながらぼーっと眺めていると、 担任は教卓の前に立ちクラス全体に声をかける
担任
クラスメイト
担任
担任
Pr
Pr
Pr
Pr
Mz
担任
先生は教室の中の唯一の空いた席であるオレの隣に目をやって Prに見るからに哀れな目線を送る
Mz
担任からすらも冤罪で信用してもらえないということを目の当たりにして ズキズキと心が痛くなっているオレになんか気がつかないで、 彼はPrを気遣うように続けた
担任
担任
Pr
Mz
Prと名乗った転校生は、キラキラした笑顔を振り撒きながらオレに話しかける
Pr
Mz
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
Mz
やっぱり生きていても面倒臭いことしかないということを改めて感じたが、 自分はAtと話す時間が欲しくて少し死期を先延ばしにしただけなので、 周りがどう言おうと結局結末は変わらないということを思い出した
Pr
Mz
こんな人気者を案内しようものならさらに反感を買いそうなので オレがそう返すと、Prは少し困ったように続けた
Pr
Mz
彼の言葉に嘘はなさそうであるし、他の男子に頼んだところで うちのクラスの肉食系女子がついていかないわけがないので、 オレに頼めば比較的平和に学校の教室を 把握できるかもしれないということなのだろう
Mz
Mz
Pr
そう言って嬉しそうに笑ったPrの顔には助かった、と でかでかと思いっきり書いてあった
Mz
Mz
Pr
約束通り、オレは昼休みにPrを連れてこの学校を案内していた
教室を出る時にクラスメイト全員からグサグサと突き刺された 視線が非常に居心地が悪く今後自分がどうなるかいとも容易く予想できたが、 結局死ぬ自分には関係のないことだと無視することにした
Mz
Pr
Mz
Pr
彼はしばらくオレの言葉に笑っていたが、 やがて何かを思い出したかのように暗い表情に変わり、うつむいた
Pr
Mz
Pr
Pr
Mz
下手に追求されるのはあまり気分の良いものではないということを その身を持ってよくわかっているオレは、 彼が浮かべた暗い表情の理由を尋ねることはしなかった
Mz
Pr
しばらく校内を案内し、学校生活で必要な教室の場所を すべて案内し終えたところでオレはPrに尋ねた
Mz
Pr
Mz
Mz
Pr
Mz
Pr
言葉を詰まらせたPrを見て、 これは突っ込まれたくないことだったかとオレは自分の言葉を反省する
Mz
Pr
Mz
Pr
Mz
Pr
オレがPrを図書室に案内してやると、 彼はそこにある大量の蔵書を目にして目を見開いた
Pr
Mz
Pr
そう言ってPrは文庫本がたくさん並べられている棚の前まで歩いていくと、 その中のうち一つを手に取ってパラパラとめくった
Pr
Pr
Pr
しばらく文庫本を物色した彼は、オレに向かってこんなことを聞いてくる
Pr
Mz
オレが必死に思い出そうとしていると、後ろから可愛らしい声がした
Tg
Tg
スラスラと返ってきた言葉にオレが驚いて振り向くと、 そこに立っていたのは司書の先生であるTg先生だった
Pr
Mz
Tg
Pr
Tg
Pr
Tg
Tg先生はニコニコと穏やかな笑顔を浮かべながら、 Prが持っている数冊の文庫本を指差して尋ねた
Tg
Pr
Mz
Pr
オレたちの会話を聞いてTg先生は楽しそうな笑い声をあげると、 カウンターはこっちだよ、とPrを連れて行った
オレもなんとなくそれについていき、 教室と違ってそこまでうるさくない室内を見渡す
そこではみんな自分の目の前に広がる文字の世界に集中しており、 他者を害そうなんて考えているやつはきっといないに違いない
Mz
Tg
Tg
Pr
Prはいつも持ち歩いているらしいジャガイモの刺繍が入ったエコバックに 今しがた借りた本たちを入れると、嬉しそうにそれを抱えた
Mz
Tg
Mz
Tg先生は周りの大人たちとはちょっと違う優しい笑顔を浮かべると、 オレに向かってこんなことを言ってきた
Tg
Mz
オレの全てを見透かしているようににこりと笑ったTg先生は、こう告げた
Tg
Mz
Mz
Tg先生はにこりと少しだけ微笑んだ後、 それ以上は何も言わずにPrに向き直ると 何事もなかったかのように会話を続ける
Tg
Pr
Pr
Mz
Pr
Tg
Mz
Mz
Tg
Tg
Tg
Tg
午後の授業を終えた放課後の教室で、 みんながPrを一緒に帰るのに誘おうと奮闘する中、 当の本人はそれをわかっているのかないのかオレに声をかけてきた
Pr
Mz
Pr
Mz
Pr
Pr
そこでPrは何かを思い出したように暗い表情を浮かべると、 また同じ失敗するとこやった、とボソリと言ってこう続けた
Pr
Mz
Mz
Pr
Pr
Pr
Mz
Mz
オレの返事を聞いたPrは周りの子の誘いを丁重にお断りし、 オレと一緒に昇降口に向かった
Mz
Prとお互いの趣味やら何やらを共有しながら通学路を歩いていると、 昨日Atと出会った海岸に続く分かれ道に辿り着いた
Mz
Mz
Pr
Mz
Mz
Pr
Mz
Mz
Mz
Pr
Mz
相手から「また明日」と言われたことにも 自分がそれに自然に「また明日」という言葉を返していることにも 1人で驚きながらオレはAtに会うために海岸に向かって歩いて行った
昨日自分が身を捨てようとした海水の近くまで歩いて行くと、 そこには昨日と同じように水に足をつけてぼーっとしているAtがいた
オレがその名をよんで彼に声をかけると、 彼は少し驚いたような様子を見せてこう言ってきた
At
At
Mz
At
表情ひとつ変えずにそう聞いてきたAtにこいつすごいな、なんて思いながら、 オレは別にそういうわけじゃないと否定の言葉を口にする
Mz
At
Mz
At
Atの言葉に頷きながら昨日と同じようにその隣に腰を下ろし、 靴と靴下を脱いで海水に足をひたす
At
Mz
At
At
Mz
Mz
At
Mz
At
そこでなんとなく話題が途絶えてオレもAtも無言で遠くを見つめる
その場に沈黙が落ちるが、それは決して気まずいものではなく、 自分は自分、相手は相手、と境界をしっかり引いているだけの 互いに独立した空間がそこにあるだけだ
現実に疲弊している人間にとって、そのはっきりとした空間は とても居心地がいいもので、オレもAtもそれを壊さずに隣に座っている
と、そこでAtに聞きたいことがあったのを思い出し、オレは彼に声をかけた
Mz
At
そう即答したAtにオレは薄く笑いながら、 学校にいた時からAtに聞こうと思っていたことを聞いてみた
Mz
At
At
Mz
At
Mz
Mz
At
Mz
At
At
Mz
Mz
At
At
Mz
Mz
At
Mz
At
その後Atにいくつか本のタイトルを教えてもらい、 オレはそれを頑張って記憶しようと努める
Mz
At
Mz
そこまで話したところで、オレはそろそろ太陽が沈み始めて、 夕方が終わるということに気がついた
Mz
Mz
At
Mz
At
Atと再会の約束を交わしたオレは、 もう少しここに残るという彼を残して海岸をあとにして孤児院へと戻った