12月半ば。
日に日に寒さが増し、
この日は朝から雪が散らつき
夜まで降り続いていた。
街ではクリスマスの音楽が流れ
イルミネーションがキラキラと輝いていた。
そんな幸福に満ちた雰囲気から一変、
轟音が鳴り響いた。
凍結した道路でスリップした車が
人混みに突っ込んできたのだ。
逃げまどう人や泣き声で溢れる中、
一組のカップルの姿があった。
おいっ!大丈夫かっ!
しっかりしろっ!
聞こえるか?
かすり傷なんだから大丈夫
バカっ!
こんなに血が出てるじゃねぇか…
すみませんっ!
誰か救急車をっ!
すぐ救急車来るからな!
早く処置しないと…
このままじゃ…
このままじゃ…
俺がすぐそばにいながら
守れなかったなんて…
俺が雪を見に出掛けようなんて言わなければ
こんな事に巻き込まれずに済んだのに…
ごめん。
俺がずっとそばにいるから…