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ホットココアは愛の味

第1話 - ホットココアは愛の味

2019年12月17日

#お婆ちゃん

#ココア

#家族

ミズカ

レナ

ぐずっ

レナ

ぐすっ…うう…

イトお婆ちゃん

どうしたのレナちゃん

レナ

お婆ちゃん…

レナ

またね、寛太くんに意地悪されたの

レナ

上履き、水でびちゃびちゃにされちゃって…！

イトお婆ちゃん

あらあら…

イトお婆ちゃん

泣かないで

イトお婆ちゃん

可愛いお顔が台無しよ？

レナ

うう…

レナ

なんであんなに意地悪してくるんだろう

イトお婆ちゃん

それはねえ

イトお婆ちゃん

きっとレナちゃんと仲良くしたいのよ

レナ

そうなの…？

イトお婆ちゃん

そうよ

イトお婆ちゃん

構って欲しいのよ

レナ

そうなのかなあ…

イトお婆ちゃん

うん

イトお婆ちゃん

きっとそうよ

イトお婆ちゃん

だから泣かないで

レナ

うん…

レナ

お婆ちゃん、ありがとう

イトお婆ちゃん

良かった良かった…

イトお婆ちゃん

あ、そうだわ

レナ

…？

お婆ちゃんはキッチンへと向かった

イトお婆ちゃん

はい、どうぞ

レナ

これ…

お婆ちゃんがキッチンから持ってきたものは

ホットココアだった

レナ

…

レナ

すごくおいしい…

レナ

すごくすごく…！

イトお婆ちゃん

ふふっ

イトお婆ちゃん

良かった

レナ

お婆ちゃんが入れたココアっておいしいね

レナ

また今度飲みたい！

イトお婆ちゃん

そう？

イトお婆ちゃん

市販のココアパウダー使っただけよ？

レナ

それでもおいしい！

イトお婆ちゃん

良かったわ

イトお婆ちゃん

お婆ちゃんね

イトお婆ちゃん

レナちゃんへの愛を込めてココアを入れたの

イトお婆ちゃん

だからおいしいのかもしれないわね

レナ

そうかもね

レナ

ありがとう、お婆ちゃん

イトお婆ちゃん

いえいえ

その日から私は

お婆ちゃんにココアを入れてもらうようになった

レナ

ただいま〜

イトお婆ちゃん

おかえりレナちゃん

レナ

お婆ちゃん、

レナ

ココア入れてほしいな

イトお婆ちゃん

はいはい

イトお婆ちゃん

どうぞ

レナ

ありがとう

イトお婆ちゃん

ふふっ

イトお婆ちゃん

お婆ちゃん、レナちゃんの笑顔が見れて嬉しいよ

レナ

私も

レナ

お婆ちゃんのココアが飲めて嬉しい！

イトお婆ちゃん

嬉しいわ

イトお婆ちゃん

ありがとうね

レナ

えへへっ

母

レナったら

母

またお婆ちゃんにココア入れてもらってるのね

レナ

すごくおいしいんだよ

レナ

お婆ちゃんのココア

イトお婆ちゃん

そんなことないわよ

イトお婆ちゃん

誰でも作れるわよ、このくらい

レナ

ううん

レナ

お婆ちゃんだからこそすごくおいしいの

レナ

他の人には出せない

レナ

お婆ちゃんの味

イトお婆ちゃん

レナちゃん…

イトお婆ちゃん

嬉しい事言ってくれるわねえ…

お婆ちゃんの目には涙が滲んでいた

よっぽど嬉しかったのだろう

時は流れ

私は高校生になっていた

レナ

お婆ちゃん

レナ

腰大丈夫？

イトお婆ちゃん

大丈夫大丈夫…

年老いたお婆ちゃんは

足腰を痛めることが多くなっていた

母

湿布貼った方がいいわよお母さん

イトお婆ちゃん

大丈夫よ

イトお婆ちゃん

気にしないで

気丈に振る舞うお婆ちゃん

それでも腰は辛そうだった

イトお婆ちゃん

ごめんねえ…レナちゃん

レナ

…え？

レナ

なんで？

イトお婆ちゃん

…だって

イトお婆ちゃん

最近ココア全然入れてあげれてないから…

レナ

そんなの気にしなくていいのに

イトお婆ちゃん

レナちゃん

イトお婆ちゃん

あんなにおいしそうに飲んでたから

レナ

お婆ちゃん…

優しさが嬉しかった

レナ

よしっ

レナ

今度は私の番だよ、

レナ

お婆ちゃん

イトお婆ちゃん

え？

レナ

私がココアを入れる

レナ

お婆ちゃんへの今までの感謝を込めて

イトお婆ちゃん

レナちゃん…

イトお婆ちゃん

どこまでお婆ちゃん孝行なの？

レナ

えへへっ

イトお婆ちゃん

お願いしてもいいかしら

レナ

じゃあ、作り方教えてくれないかな？

イトお婆ちゃん

作り方ならキッチンの棚の所

イトお婆ちゃん

そこに紙が貼ってあるはず

イトお婆ちゃん

それを見て作ってくれたらいいわ

レナ

分かった！

レナ

紙…紙…

レナ

あった！

スラスラと書かれた優しい字

お婆ちゃんが書いたのだろう

レナ

お婆ちゃんのために…

レナ

しっかりと作ろう

日頃の感謝を

お婆ちゃんに…！

レナ

出来たよ、お婆ちゃん

イトお婆ちゃん

まあ…

イトお婆ちゃん

いい香り

レナ

さあ、飲んで飲んで

イトお婆ちゃん

…

イトお婆ちゃん

…！

イトお婆ちゃん

おいしい…！

イトお婆ちゃん

すごく…すごくおいしいわ

レナ

良かった

レナ

お婆ちゃんへの感謝と愛を込めて、ココアを入れたの

レナ

だからおいしいのかもしれないね

イトお婆ちゃん

レナちゃん…

イトお婆ちゃん

こんな優しい孫がいて

イトお婆ちゃん

お婆ちゃんは幸せね

レナ

そんな…お婆ちゃんったら

母

どうしたの？お母さん

イトお婆ちゃん

あのね

イトお婆ちゃん

レナちゃんが入れたココアが、すごくおいしくて…

母

そうなの？

母

ちょっと飲んでみてもいい？

母

…

母

おいしいわ

母

私が小さい頃ののお母さんを思い出す

イトお婆ちゃん

ああ…よく入れてたわね、あなたにも

レナ

お婆ちゃん、昔から入れてたんだね

イトお婆ちゃん

そうよ

イトお婆ちゃん

レナちゃんのお母さんも

イトお婆ちゃん

「おいしいおいしい」って飲んでたわ

母

あれはすごくおいしかった

母

寒い冬の日にぴったり

レナ

じゃあ一家で飲んだことないの

レナ

お父さんだけじゃん(笑)

母

それはそうね(笑)

イトお婆ちゃん

レナちゃんのお父さんのために…

イトお婆ちゃん

久しぶりにココアを入れようかしら

イトお婆ちゃん

お疲れだろうし

レナ

お父さん絶対感激するよ

イトお婆ちゃん

そうだといいわねえ

ひまり

お婆ちゃーん

ひまり

今日もココア入れて欲しいな

レナ

はいはい

ひまり

…ねえお婆ちゃん

レナ

なあに？

ひまり

なんでお婆ちゃんのココアは

ひまり

そんなにおいしいの？

レナ

…そうねえ

レナ

ひまりちゃんへの愛を込めて入れてるからかしら

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ミズカ

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