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5月の風は優しくて、でも心の奥まで
届くほどには暖かくなかった。
青葉城西の教室、昼下がりの陽射し。
窓際でノートを見つめる私は、ふとペンを止めた。
天音 夜空
不意に浮かんだのは、東京のあの体育館。
仲間の声。
背を向けられたあの日。
自分だけが、"悪者"になった記憶。
天音 夜空
誰にも言えない言葉を、誰かにぶつけたくて。
でも、誰にもぶつけられなかった。
私がひとりで屋上に足を運んだその日、
先にいたのは及川だった。
及川 徹
及川 徹
及川の手元には、ぐちゃぐちゃにされたプリント。
そこには次の試合の戦術案が走り書きされていた。
及川 徹
苦笑いしながらそういう彼の手は、少し震えていた。
及川 徹
及川 徹
及川 徹
天音 夜空
私は小さく首を振った。
天音 夜空
天音 夜空
及川が目を見開く。
及川 徹
私は少し迷って、でも今回は逃げなかった。
天音 夜空
天音 夜空
言葉を繋ぐ度に、胸の奥がヒリついた。
天音 夜空
天音 夜空
天音 夜空
その瞬間、及川の手が私の手を軽く包んだ。
及川 徹
それだけの言葉が、私の中の何かを崩していった。
天音 夜空
天音 夜空
及川 徹
天音 夜空
私がそう答えると、及川は子供みたいな顔で笑った。
及川 徹
及川 徹
天音 夜空
けれどその笑顔に、私は作り笑いじゃない微笑みを返していた。
それはたった1歩でも前に進んだ証_。