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じいちゃんのタイムマシーン

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じいちゃんのタイムマシーン

6 - 第六話:二十四年前の母

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2022年04月27日

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耳の中が猛烈に痒かった

悩みに悩んで決めた行き先は二十四年前

俺が生まれる七年前だ

この時、父ちゃんと母ちゃんが出会っていたかはわからない

父ちゃんはあまり昔の話をしたがらないから

悩みに悩んだとは言ったが

結局は適当にそれくらい前でいいかと思っただけ

明日夢

え?

明日夢

場所も指定できるの!?

じいちゃん

あぁ!

じいちゃん

好きな場所に行けるぞ!

明日夢

凄い……

明日夢

でも戻る時はどうするの?

明日夢

今までは過去のじいちゃんが戻してくれたけど……

じいちゃん

これを使うんだ

手渡されたのはデジタルの腕時計

明日夢

腕時計?

じいちゃん

リモコンだ!

明日夢

え?

明日夢

これが!?

未来や過去へ飛ぶにはこの椅子とパソコンが必要になるけど

このリモコンがあれば簡単に戻ってこれるらしい

未来や過去での最大滞在時間は十二時間

十二時間が経過すると自動でここに戻る仕組みのようだ

腕時計型のリモコンを右腕に装着してヘルメットを被る

じいちゃん

右利きなのに珍しいな

明日夢

そう?

じいちゃん

普通は左にするんじゃないのか?

明日夢

俺は昔からこうだよ?

じいちゃん

まぁいい

いつものようにじいちゃんがキーボードのenterキーを押した

じいちゃん

ポチっとな!

愛紗

待って!え!?

愛紗

だ、誰!?

明日夢

あれ?

明日夢

もしかして……

明日夢

母ちゃん!?

愛紗

え……

愛紗

はぁ!?

明日夢

母ちゃん!?

明日夢

ホントに!?

明日夢

やった!!

愛紗

母……ちゃんって……

明日夢

大成功だよ!!

目の前には

二十四年前の母ちゃんがいる

明日夢

あ、えっと……

さっきまでの興奮が一気に冷め

明日夢

これは……

明日夢

その……

急に緊張が高まり額からは汗がにじみ出てきていた

愛紗

嘘……

愛紗

未来人!?

明日夢

え……

明日夢

何で!?

愛紗

だって今どこから来たの!?

愛紗

しかも私のこと母ちゃんって言わなかった!?

明日夢

えっと……

愛紗

突然目の前に現れるなんて今の技術じゃ無理だよね……

愛紗

へぇ、服装は普通なんだ……

愛紗

もっと宇宙人みたいな格好してると思ってた……

鳥肌が立った

母ちゃんはこの状況に驚きつつもちゃんと冷静に分析している

俺ならきっとこんな風ではいられない

明日夢

お、驚かないの?

愛紗

いや驚いてるんだけどね!

愛紗

この状況で驚かない人はいないよ!

明日夢

え?でも何か普通に……

愛紗

驚きすぎて普通に見えるだけ!

愛紗

結構ビビってるから!

明日夢

そ、そうなんだ……

さっきは冷静に分析していると思って驚いたけど

驚きすぎて逆に冷静に見えただけだったようだ

愛紗

本当に未来人?

明日夢

う、うん……

愛紗

どこから来たの?

愛紗

西暦何年!?

明日夢

えっと……

明日夢

2031年……

愛紗

あんたの年齢は?

明日夢

十七歳……

ここで最大のミスに気づいた

俺は今

言ってはいけないことをさらっと答えてしまった

愛紗

2031年で十七歳ってことは……

明日夢

いや、あの!

愛紗

七年後に出産……

愛紗

って私はいつ結婚するだろう!?

愛紗

七年後って結構先じゃん!

俺の話を信じてくれている

普通なら通報されてもおかしくないのに

母ちゃんはそんな素振りは一切、見せなかった

愛紗

でもよかった~

愛紗

私は愛する人と結ばれて

愛紗

あんたが生まれるってことだもんね!

徐々に母ちゃんのテンションが上がっていく

愛紗

私と恭也さんの子供か~

明日夢

え?恭也さん?

愛紗

え……

明日夢

(やばっ……)

また余計なことを言ってしまった

愛紗

待って……

愛紗

恭也さんじゃないの?

明日夢

いや、えっと……

愛紗

そうだよ……

愛紗

よく見たら全然、恭也さんに似てない!!

愛紗

どう言うこと!?

愛紗

あんたの父親は誰!?

明日夢

いや、それはさすがに

愛紗

あんた息子なんでしょ!?

愛紗

息子なら教えなさいよ!

愛紗

大体いきなり人の部屋に突撃してきて失礼じゃない!

愛紗

ここまでしたんだからきちんと全部、教えてよ!

さすがにそれは教えられない

そんなことをしたら未来が変わってしまうかもしれないから

既にちょっとしゃべってしまってるし

これ以上、何か話せばじいちゃんに叱られる

でもどうしても

これだけは伝えたかった

明日夢

父ちゃんが誰かは言えないけど

明日夢

母ちゃんにとって父ちゃんは運命の人なんだよ

明日夢

父ちゃんも母ちゃんのことが大好きなんだ

愛紗

運命の人……

愛紗

あんたの父親が?

明日夢

う、うん

愛紗

じゃあその未来は絶対に変えないとね!

明日夢

え!?

愛紗

だって私が好きなのは恭也さんだもん!

愛紗

私の運命の人は恭也さんなの!

明日夢

そんな……

愛紗

あんたには悪いけど……

愛紗

私は絶対に恭也さんと結婚する!

その時チラッと見えた母ちゃんの右腕

母ちゃんは俺と同じ深緑の腕時計をしていた

まだ綺麗で新しい

大切に使うようにって父ちゃんが俺にくれた

明日夢

母ちゃんのだったんだ……

愛紗

何が?

明日夢

あ、いや……

明日夢

何でもないです……

本当に母ちゃんは

その恭也って人と結婚しちゃうのかな……

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