/s/[storyId]/_components/heading/assets/back_arrow_icon.4081080bcaba67b8.svg){kind=icon}
/s/[storyId]/_containers/report-container/assets/more-icon.20cfac1b79e24f56.svg){kind=icon}
研究所にて
３人の研究者が実験に没頭している
ノリオ
ふー…
ノリオ
今日の実験もうまくいきそうにないな
トモヤ
でも、手ごたえはありますよ、先生！
トモヤ
いつもより、反応が良好です
ハナ
ええ、もう少しでいけそうな気がします
ハナ
実験が成功したら、私たち一躍有名人ですよ！
ノリオ
ああ、死んだ細胞を再活性化させる薬…
ノリオ
これさえ成功すれば、理不尽な病気やケガはもちろんのこと、
ノリオ
死んだ人だって蘇えらせることができるかもしれないからな
ハナ
この薬の開発を見越して、一部の権力者は自分の遺体を保存させてますからね
ハナ
もし薬ができれば、いくら出してでも買いたい人はたくさんいますよ
トモヤ
金持ちだけが生き返る世の中ってもの、複雑ですがね…
ハナ
あら、でもその金持ちの支援金で研究できているのよ？
ハナ
貴重な素材にもお金がかかるし、早く完成させないとね
トモヤ
まあ、確かにそうだけど…
トモヤ
おっと、もうこんな時間か
トモヤ
先生、すみません、今日は妻の誕生日でして…
ノリオ
おお、ならもう早く帰ってあげなさい
ノリオ
新婚生活、最初の誕生日を怒らせるわけにもいかないだろう
トモヤ
いいところまで実験できていたのに、申し訳ないです
ハナ
特別な日なんですから、帰った方がいいですよ
ハナ
先生みたいに、研究のしすぎで奥さんに逃げられちゃたまらないでしょ
ノリオ
こら、余計なことは言わなくていい！
ノリオ
…まあとにかく、奥さんは大事にしてやるに限るぞ
トモヤ
先生が言うと重みがありますね
トモヤ
教訓にさせてもらいます、先生
ノリオ
まったく、人が気にしていることを…
ノリオ
まあいい、じゃあ今日はお疲れ様だったな
トモヤ
はい、ではお先に失礼いたします
ハナ
お疲れさまでーす
ノリオ
じゃあハナくん、残りの作業は我々でやってしまおうか
ハナ
はい、先生！
数時間後
夜遅くまで研究を続ける２人
実験を行っていたハナは、ある異変に気付く
ハナ
ん……？
ハナ
せ、先生！見てください！これは…！
ノリオ
どうかしたか？
試薬に漬けていた、負傷させたマウスが動き出している
よく見てみると、傷がきれいに治っている
ノリオ
マ、マウスのケガが完璧に治ってる！？
ハナ
ケガしたマウスだけじゃないです！
ハナ
死んだマウスも、息を吹き返しています…！
ノリオ
なんだって！ってことは…！
ハナ
ええ、そうです！ついに完成したんですよ！
ハナ
蘇生薬の完成です！
ノリオ
試作段階とはいえ、ついに完成したのか！
ノリオ
ここまでくるのに、何年費やしたことか…
ハナ
ですね、先生…！
ハナ
やっとここまで来たんですよ！
ノリオ
しかし、突然化学反応が起きたようだな
ノリオ
精製過程をもう一度再現するのは難しそうだ
ハナ
ええ…もちろんこれまでの過程は記録していますが、
ハナ
化学反応の条件が不明なので、そこを研究する必要があります
ノリオ
それに、一から作るとなると、また膨大な素材も必要だな
ハナ
はい、もし貴重な素材を大量に使う必要があった場合は、
ハナ
もう１つ作るのにも、ヘタしたら数年はかかってしまいます
ハナ
残念ですが、これではとても量産はできないです
ノリオ
そうだな…まだ完璧に完成したとは言えない段階だ
ノリオ
量産方法を確立するまで、この試薬は厳重に保管しておこう
ハナ
もったいない気もしますが…そうですね
ノリオ
なにせ、世界中の権力者がほしがっている薬だ
ノリオ
量産できないのに公表しても、トラブルを招くだけだ
ハナ
……。
ハナ
そうですね、私もそれがいいと思います
ノリオ
では、私が責任もって冷凍庫に保管しておこう
ノリオは冷凍庫に試薬をしまう
ノリオの指紋認証でのみ開く頑丈な冷凍庫だ
ノリオ
これでよし、と
ノリオ
貴重な薬だ、厳重にしまっておかないとな
ハナ
貴重な薬…そうですね
ハナ
保管センターには、たくさんの人が眠っています
ハナ
政治家や資産家、それに名高い研究者も…
ハナ
実用化されたら、私たちは億万長者ですね、先生
ノリオ
ははは、早速金の使い道でも考えているのか？
ノリオ
まだ気が早いぞ、ハナくん
ノリオ
量産できないことには、仕方ないからな
ハナ
そうですね、でも嬉しくって、つい
ハナ
でも、もし薬の量産化が実現したら、
ハナ
先生の奥さんも戻ってきてくれるんじゃないですか？
ノリオ
またその話か…まったく、勘弁してくれ
ノリオ
すっかり愛想つかされたから、それはないさ
ノリオ
それに、金目当ての女なんて、こちらから願い下げさ
ハナ
ふふ、それもそうですね
ハナ
それで先生、この薬のことは、また秘密ですよね
ノリオ
ああ、当然だ
ノリオ
今日のことは、くれぐれも内密にな
ハナ
はい、もちろんです先生！
ノリオ
ふう、だいぶ遅くなってしまったな
ノリオ
今日はもう帰って、ゆっくり休もうか
ノリオ
明日からまた実験で忙しくなるぞ
ハナ
そうですね、もう遅い時間ですし
ハナ
じゃあ先生、また明日
２人は研究室を後にして、それぞれの家に帰る
/s/[storyId]/_containers/next-in-series-container/next-in-series/assets/list-icon.c10ab777f3210550.svg){kind=icon}
作品ページ
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。
