ゆかり
春美ー。帰ろー。
放課後のチャイムが鳴って少しした頃、ゆかりが春美の教室を訪ねてきた。
春美
うん。わかった。
春美
ちょっと待ってて。今荷物まとめてるから。
ゆかり
はーい。
ゆかり
早くね。ここで待ってる。
春美は教科書やノートをリュックサックに詰めると、ゆかりに声をかけた。
春美
待ったてくれてありがとう。準備できたよ。
ゆかり
大丈夫だよ。じゃあ、帰ろうか。
春美
そういえばさ、ちょっと気になったことがあったんだけど……聞いてくれる?
ゆかり
うん。もちろん。どうしたの?
春美
実はさ……。
春美
男の子がゆかりに何か話してるの見たんだけど……告白?
ゆかり
……聞いてくれるって聞かれて聞いてみたら、自分の話だったなんてことあるんだね。
春美
で、どうなのよ?
ゆかり
え、待って待って。それ、いつの話?
春美
え?お昼休みだけど……。
ゆかり
私、お昼休みは教室で友達とご飯食べてたよ?
春美
え、本当?
春美
いやいや、嘘つかないでよ。
春美
私、見たんだよ?
春美
あれは確かにゆかりだったって。
ゆかり
春美こそ嘘つかないでよ。
ゆかり
私、嘘なんてついてないし。てか、春美相手にそんなつまらない嘘つくわけないじゃん。
ゆかり
私に似た誰かだったんじゃないの?
春美
そう言われてみればそうだったのかもしれないけどさ。
ゆかり
ほらね。きっと私じゃなかったんだって。
春美
遠目だったし……もしかしたら違ったのかも。
春美
でも、私がゆかりを見間違えるなんて……あり得ないよ。
ゆかり
嬉しいこと言ってくれるじゃん。
ゆかり
でも、やっぱり見間違えだったんじゃない?
春美
そう、そうだよね。
ゆかりだ自分の手をぎゅっと握る。こうするときは、ゆかりが何か不安を抱えている時だ。
春美
え、どうしたの?
ゆかり
いや、なんか変だなって。
ゆかり
だって、そーゆーのよくホラーであるじゃん?
春美
まっさかー。そんなわけないよ。
ゆかり
だって、昨日心霊スポットに行ったばかりだし……。
その時、急に後ろから誰かが話しかけてきた。
拓也
ゆかり!
ゆかり
え、あ、拓也じゃん。どうしたの?
春美
え、誰?
ゆかり
幼なじみ。まだ紹介してなかったっけ?拓也だよ。
拓也
あ、は、はじめまして……それで、ゆかり、お昼の返事は?
ゆかり
へ?何の話?
拓也
え?俺、あんなに勇気を出して告白したのに?
ゆかり
……ちょっと、みんな揃って何の冗談なの?
拓也
こんな冗談言うわけねえだろ!
拓也はそう叫ぶと、二人を追い越して走っていってしまった。
春美
ねえ、これって……。
ゆかり
うん。さすがに気になる。
ゆかり
一体、何が起こっているっていうの……?







