ヴァンパイア
全てを捨ててから色んな事があった
ヴァンパイア
身寄りも金もない僕はすぐにこの世界から弾き出された
ヴァンパイア
ボロボロの服に伸び切った髪
ヴァンパイア
僕は色々な街を歩き、公園や歩道橋の下で寝た
ヴァンパイア
もちろん、警察に補導されかけた事もある
ヴァンパイア
その度にヴァンパイアらしく、人間離れした身体能力で逃げた
ヴァンパイア
もちろん、血は飲んでいた
ヴァンパイア
3日に一回は必ず飲まないと僕の身体は悲鳴をあげる事が分かった
ヴァンパイア
正直に言う
ヴァンパイア
最初の頃は何人も殺してしまった
ヴァンパイア
ホームレスやスーツ姿の会社員、中には僕と同じ歳ぐらいの学生も殺してしまった
ヴァンパイア
その度に僕は死にたくなったが、結局いつも死ななかった
ヴァンパイア
惨めな日々だった
ヴァンパイア
安息のない地獄にいる気分だった
ヴァンパイア
人を殺してしまう度に僕は少し高めの建物の屋上へ行った
ヴァンパイア
そこでいつも夜が明けるのを待っていた
ヴァンパイア
濃い闇が群青色に染まっていく中、泣きながらただそれを眺めていた
ヴァンパイア
僕は…僕は
ヴァンパイア
死にたくなかった
ヴァンパイア
だから人を殺し、血を飲み干してでも生き続けた
ヴァンパイア
オレンジ色が蒼の世界を終わらせていく光景を見ながら、僕は掌を光にかざした
ヴァンパイア
その度に、僕は自分の大切な何かを失っていくのを感じていたんだ






