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今日は
話し合いの日だ
剣持刀也
苦しい
なんだか、これじゃあ
まるで
僕が逃げたみたいじゃないか
剣持刀也
それでも苦しい
剣持刀也
昨日見た夢を思い出す
''あの時''の事はハッキリと覚えてる
だけど
君の名前は思い出せない
剣持刀也
ふと時計の方を見れば、もう話し合いが始まっている時間だ
剣持刀也
頑張ってね
剣持刀也
ゾワッ……!
剣持刀也
え、なに
この感じ、''あの時''の…
なんで
剣持くん?!その傷ッ…!
また''アイツら''にやられただけ…
い''ッ…
ほら!傷痛むでしょ?手当するから…
いた''ッ…痛いッ!!ぁ''あ''ッ?!
ごめんなさいッ!ごめんなさぁ''ッッ?!
___君ッ!!お願いしますッ!やめてあげてくださいッ!!
__君ッ!!!
もう、やだな……
死んじゃダメだよ
絶対生きて出よう
勿論、約束だよ。剣持くん
剣持くん…?
ねぇッ?何してんのッ?!
__君には沢山助けられたから
だからってッ!''それ''を1人でやったらッ…!
一緒に逃げようって言ったじゃんッ!!
これが最後のチャンスなんだよッ?!
だけど''コレ''を誰か1人でも受ければ
他のみんなは、絶対に帰れるんでしょ?
そう言う問題じゃないッ!!
そう言う問題なのッ!!
ッッ……!
絶対死ぬって訳じゃ無いんだし
''君''は、もうバツにサインしちゃったんでしょ?
ッぇ……
俺は
僕はマルにサインする
剣持刀也
あの時のせいで、不死身にはなったけど
僕は本心から笑えてるんだッ!
逃げてきたんだよッ!
だから絶対に
また捕まってたまるかよッ!
剣持刀也
扉の向こうから足音が聞こえる
複数人の足音だ、2、3人くらいか?
剣持刀也
ドクドクと心臓が危険を知らせる
まだ決まった訳じゃないけど
あの時の
嫌な感じが冷や汗となって僕を締め付ける
剣持刀也
誰だっけ
剣持刀也
誰だっけ
剣持刀也
誰だっけ
ガチャリと、病室の扉が開く
剣持刀也
見たこと無いけど
ソイツは知ってる奴で
剣持刀也
僕と彼を苦しめた
研究員
剣持刀也
僕が桜魔の大嫌いになった原因の
研究員
剣持刀也
大嫌いな奴
逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、にげなきゃ、にげなきゃ、にげなきや、にぐないや、にげな
そう思うのに体が震えて動かない
空気が喉を通らない
声が出ない
それなのに涙ばかりが溢れる
剣持刀也
研究員
剣持刀也
研究員
剣持刀也
違う
僕はヒーローだ
だけど、だけど
剣持刀也
なんでこんな時に怯えるんだよ!
なんでッ…
剣持刀也
剣持刀也
アイツらの1人に肩を強く掴まれる
爪が食い込む
痛い
だけどここで耐えなきゃダメだって思って
負けじとシーツを強く握りしめる
''誰がそっちに行くかよ''
っていう
強い気持ちだけを糧にして
剣持刀也
ボロボロと溢れる涙なんて知ったこっちゃ無い
行ってたまるか
絶対に
行きたくないんだ
だけどそんな事も関係なく、ついにグジュリと嫌な音が鳴る
剣持刀也
首をブンブンと横に振り、無我夢中で抵抗する
すると研究員の1人が、甲斐田くんの方へ行く
剣持刀也
剣持刀也
止めようと腕を掴もうとするが、肩を押さえてる奴に防がれる
剣持刀也
また爪が食い込む
すごく痛い
研究員
うるさい
知るかよ
こちとら不死身だぞ
剣持刀也
剣持刀也
グジュッ!
剣持刀也
肩から腕にかけて何かが伝う感じがする
すこし、鉄の匂いもする
剣持刀也
クソが
痛い痛いって言ってコイツらが止まってくれる訳ねぇだろッ!
だったら少しくらい
勇気出せよ!
剣持刀也
研究員
研究員
剣持刀也
精一杯争った
せめて
せめて甲斐田くんだけでも守らなきゃって
だけど
ガンッ!
剣持刀也
それだけで引き下がる様な奴らじゃない
気持ち悪い程しつこい
剣持刀也
ギュッと手首を掴まれる
剣持刀也
剣持刀也
無理矢理アイツら側に引き寄せられる
もう片方の手でシーツやベット、とにかく連れていかれない様にする
だけどそんな抵抗も虚しく終わる
子供と大人の差は明らかだし、2対1と来た
甲斐田くんの方にいた奴も、僕を引き剥がそうと加勢してくる
剣持刀也
剣持刀也
手首や体の所々に、痛々しい跡が出来る
剣持刀也
力を入れられる度にズキズキと痛む
剣持刀也
痛い
剣持刀也
誰か
剣持刀也
ガタッ…
剣持刀也
隣のベットから、急に物音がした
反射的にそっちを見た
剣持刀也
甲斐田 晴
まずい
こんな状況で起こしちゃったら甲斐田さんにも被害が及ぶ
甲斐田 晴
研究員
剣持刀也
やばい
甲斐田くんが
甲斐田くんがッ…!
剣持刀也
ドゴッ!!
剣持刀也
甲斐田 晴
弱々しくこちらに手を伸ばしてくれる彼の頭に
容赦なく鈍器が振り落とされる
赤々しい液体が宙を舞い、落ちる
そのままベットに突っ伏してしまい、辺りは赤色に染まっていく
剣持刀也
剣持刀也
剣持刀也
剣持刀也
その叫びも彼には届かぬまま
僕は変わらず引きずられ、また、奪われる
剣持刀也
目から一筋の涙が溢れる
あぁ
もう
終わったのか?
剣持刀也
もう、嫌でも力が入らない
もう、この人達に、''ごめんなさい''っていう事も
この人達に、''お願いします''っていうのも
もう、終わりだ
研究員
ズルッ…ズルズルッ……
剣持刀也
加賀美ハヤト
不破湊
叶
葛葉
甲斐田 晴
剣持刀也
あぁ
嫌だ
ここはこんなにも暖かくて
居心地が良くて
僕が
大好きなんだ
それを
なんで大嫌いなやつに奪われなきゃダメなんだ
剣持刀也
最後とか考えるな
僕はずっと争う
研究員
研究員
剣持刀也
絶対に僕はここにいるんだ
そう思っても体が震える
怖い
剣持刀也
甲斐田 晴
バッ!
剣持刀也
研究員
研究員
甲斐田くんが起き上がって
僕の腕を掴んで病室を飛び出す
剣持刀也
甲斐田 晴
まだ微かにふらついた体で、必死に僕を逃がそうとしてくれる
甲斐田くんは何もわかってないのに
今、桜魔と何かが起ころうとしてくる事も
僕がなんでこんな事になってるのかも
''あの子''の名前も
剣持刀也
甲斐田 晴
剣持刀也
申し訳ないけど
社長達の所に行こう
剣持刀也
甲斐田 晴
剣持刀也
甲斐田 晴
剣持刀也
甲斐田くんの手をギュッと握りしめる
ごめん甲斐田くん、無理させちゃってるよね
後ろから、まだ足音がする
だから、頑張って
生きよう
剣持刀也
甲斐田 晴
剣持刀也
その時、後ろに人影が見えた
その人物の手には
銃口の様な物
剣持刀也
甲斐田 晴
ピュンッ
甲斐田 晴
剣持刀也
剣持刀也
右腹あたりから血が噴き出す
それは口からも同様だ
剣持刀也
甲斐田 晴
剣持刀也
早く扉へ
早く甲斐田くんを
甲斐田くんを助けなきゃ
剣持刀也
甲斐田くんに肩を貸して
なるべく負担をかけない様に、扉へ急ぐ
剣持刀也
扉の取手を掴んで、扉を開ける
ガチャッ!
バタンッ!
甲斐田 晴
剣持刀也
お願い
言葉じゃなくてもいいから
お願い
不破湊
お願いッ…!
生きてッ!
コメント
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アカウント乗り換えました! こっちから続編します!
めっちゃ好き、大好き