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三村優真

あすみ!

三村優真

あすみ!!

ゆっくりと目を開けた彼女は

優真さんの呼び掛けに反応し

井川あすみ

ぅ……ぁ……

井川あすみ

ぅぅ……ぁ……

彼の姿に涙を流した

まだ微かにしか動かない手の先が

ピクピクと反応している

三村優真

あすみ……

三村優真

よかった……

優真さんも涙を流し再会を喜び合う二人

握られた手に感じる目には見えない透明な鎖が

何よりも固く強い絆を感じさせる

直ぐに担当の医師と看護師を呼び

その足で通話可能エリアへ

沢田マリカ

井川あすみさんが目覚めました!

芹沢さん達にあすみさんの事を報告した

芹沢大和

もう直ぐ所長がそっちに向かう

芹沢大和

所長が着いたらお前は戻ってこい

沢田マリカ

何かあったんですか?

芹沢大和

井川静(じん)から直々の指名だ

沢田マリカ

え!?

芹沢大和

取り調べの際にお前にしか話したくないと言ったらしい

今までずっと黙秘を続けていた静さんが

まさか私を指名してくるなんて

しかも今回は取調室で直接話ができるように

担当の刑事さんが取り計らってくれることになった

しばらくして所長が到着し

私は直ぐに事務所に戻ることになった

なぜ私が指名されたのかはわからない

でもこれで真実がわかる

あすみさんだけでなく静さんも救いたい

危険な状態だった彼女も安定していて

担当医

少しずつですが腫れも引いてきています

担当医

まだまだ時間はかかりますが

担当医

いずれ元の状態に戻るでしょう

担当の医師からもそう言われ安堵したが

全身に刻まれた傷の跡は確実に残ると告げられた

所長にこれまでのことを報告し

二人を託して病院を後にする

入り口にはまだ報道陣が押し寄せていたため

来た道を戻るようにして裏の通用口から外へ

近くのタクシー乗り場からタクシーに乗り

やっと事務所に戻ると

静さんの取り調べを担当している安田巡査部長の姿があった

安田巡査部長

母親の方は少し話を始めたんですが

安田巡査部長

口を開けば義理の母親のことばかりで

沢田マリカ

義理の母親……

安田巡査部長

もう亡くなってから五年も経つのに

安田巡査部長

まだ生きているかのように話すんです

安田巡査部長

余程、怖い人だったのか

安田巡査部長

義理の母親に叱られることを恐れている様子で

取り調べで家に帰りたいと訴え続けている母親だが

その理由が"義母に叱られるから"だったそうだ

兄の静さんは依然として黙秘を続けたまま

何を聞いても俯いて反応を示さなかったが

突然、私の名前を出し

井川静(じん)

あの人に聞いてもらいたい……

そう呟いたそうだ

確かに私はあの部屋の前で名前を名乗った

そのたった一度、聞いた名前を覚えていたのか

あの時の静さんの姿が頭に浮かぶ

母親に叱られることを恐れ

今にも泣きそうな子供のように震えていた

彼の腕にも傷があり

その傷の一部は膿んで汁が染み出ていた

自分自身も傷を負っているのに

それでも尚、事に及ぼうとしたのは

やはりの虐待の影響なのだろうか?

安田巡査部長

あなた方は事件の関係者でもあります

安田巡査部長

本来は他の事務所に依頼するべき案件なんですけど

安田巡査部長

彼はまだ未成年なので

安田巡査部長

できるだけ本人の意思を尊重したいと考えてここに来ました

母親の方は他の事務所の臨床心理士が担当することになる

静さんは私を指名してくれたが

母親からも指名される可能性は低い

そんなことを考えていた時

突然、安田巡査部長の携帯が鳴り

母親からも指名を受けたことが告げられた

渇愛と純情ー愛の鎖に繋がれてー

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