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できるわ
あなたならきっと成し遂げてくれる…
私は信じてるから……
トキ
トキ
嗚呼、まただ
また脳裏に響く声だ
トキ
いつもおんなじ言葉を繰り返しては
なんの前兆もなく消える
トキ
終わったか
トキ
トキ
私は目を見開いた
此処は
何処?
トキ
トキ
思い出せない
私は……
誰?
崩れると止まらないピースのように
私の脳裏はクシャクシャに歪む
トキ
熱い
ヤけるヨう二
頭ガ熱い
トキ
トキ
ふと見上げた私は
目の前にある鏡を見た
とても大きく洒落た鏡は
まるで私だけに用意されたかのように佇む
しかし驚いたのはそれではなかった
トキには頭に鳥人族(ちょうじんぞく)としての
翼があったはずなのだ
しかしそれが
片方の翼だけ
塗り潰したかのように
真っ黒に焼き染められていた
トキ
トキ
酷く今の自分が醜い
ま、昔から醜い存在であったが
此処まで仕打ちを受けないといけないのか…
トキ
私は両手を握りしめて指を絡めた
そして息を吐くように
トキ
トキ
と願った
自分の醜い翼から視線を背け
震えながら手を抑えた
しかしよく気づいたら
鏡に映っているのは私じゃない
私はその場を離れる
しかし鏡には恐怖に吊られた私の顔が
いつまでも残っている
トキ
トキ
それよりおばばの所に行かなきゃ…
おばば多分心配してる…
トキ
トキ
おばば今帰るからね
トキ
トキ
壁に矢印が書かれていた
こちらに来て頂戴と誘うその矢印は
なぜか赤い液体が垂れていた
トキ
また頭が熱い……ッッ
トキ
私は矢印についての情報を遮断した
トキ
トキ
トキ
不意に外にある窓を見た
トキ
トキ
トキ
トキ
ただの張り紙だった
トキ
トキ
スピーカー
トキ
スピーカー
スピーカー
スピーカー
スピーカー
スピーカー
スピーカー
スピーカー
スピーカー
トキ
トキ
スピーカー
トキ
トキ
そうだ私は違うはず
トキ
私は張り紙を剥がして見た
すると
トキ
剥がした先は黒い土だった
トキ
トキ
私たち鳥人族は地下というものを知らない
トキ
トキ
上から光が見えた
空だ
本物の空が……ある…
トキ
トキ
でもなんで空があんなに高くあるの?
いつもなら届く程度にあるのに
周りの壁の色でそう思うのかも……
丸く円状になっている壁の先には
青空が広がって光を差し込んでいた
トキ
トキは嬉しくなり
脚を運び羽を羽ばたかせた
トキ
蔓延の笑みになったトキを
すぐさま何かが遮断した
トキ
トキ
片方の翼だけでは飛べない
トキ
そして負の連鎖は止まらない
ガコンッ
トキ
上を見上げると円状に広がる青空を遮断するように
屋根が出て来て少しずつ青空を隠して行く
トキ
トキ
トキ
飛ぶことのできない私は
ただか弱い脚でもがくことしか出来なかった
ガタッガッコッガガ…
どんどん閉まって行き青空は見えなくなってしまった
それに今も光さえ
ろくにない
トキ
私
閉じ込められたんだ
そうなんだ
きっと外にいちゃいけない存在なんだ
少しずつトキの目に光が薄れて行き綺麗な瞳は死んだように染まっていく
トキ
トキ
トキの目からは光が失われくらい死んだ目に染まった
トキ
トキ
トキ
疑ってしまう
私はいいのか
空を
あの青空を求めて
イイノカ
トキ
立ち止まっても
きっと
トキ
トキ
トキ
私は矢印の方向へ歩いた
トキ
薄暗い廊下のような先を進むと
螺旋状の階段を見つけた
トキ
私は迷いもなく先に進んだ
螺旋の階段を上がっていく
目が回るように廻っていく階段は
まるで
錯覚のようだ
トキ
トキ
階段が途切れた
目の前を見わたす
まるで子供の部屋みたいに
落書きや
散乱したオモチャ
くしゃくしゃの紙
トキ
トキ
トキ
トキ
壁際を見た
そこには
B6
と書かれていた
トキ