帰り道、愁斗と別れるまでは15分程だ。
もっと、学校と家が離れてたら良かったのに。
第1志望の高校に落ちた時、何もかもがどうでも良くなり家から近いこの学校を選んだがもっと一緒にいれる距離の学校にすれば良かった。 いや、そうなると愁斗とは出会えていないのか...。
一緒に電車に乗ったり、寄り道して小腹を満たしたり、そういう事もしてみたかったな。
それなら、休日でもできるか。 誘いたいな。
でも、愁斗は毎日バイトをしてるみたいだし、そんな時間もないか。 金曜日以外は、土日もずっとバイトしているのだろうか。
いつか、一緒にどこかに遊びに行きたいな。 そもそも何故そんなにバイトを詰め込んでいるのだろうか。
その理由は、たった15分の中では聞くことはできなかった。
愁斗
史記
愁斗
史記
愁斗
本当に楽しい。
モノクロだった世界が虹色に輝く。
世界が、俺に、味方してくれているように感じた。
次の日から、愁斗は寝坊すること無く登校した。
休み時間になれば、寝ている愁斗を起こしに行くのが日課になった。
帰る時も起こしに行く。
一緒に帰り、また明日と別れる日々はあっという間に過ぎていった。
今日は金曜日。 また、夜に会える日。
愁斗
その言葉を聞き、本当にまたあの幸せな時間が過ごせる事を実感する。
史記
スキップをしてしまいそうになる程軽くなった身体に落ち着けと言い聞かせる。
20時、先週と同じ様に滑り台へ腰をかける。 すると、すぐに愛おしい人の声がした。
愁斗
史記
愁斗
当たり前だ。 俺が愁斗に会いたい気持ちは誰にも負けない。 愁斗の俺に対しての気持ちとは違う。
史記
いつか、同じ気持ちになれたらいいな。
愁斗
来週...か。
そんなに早く気持ちが変わるとは思えないけれど、俺の事を好きになってくれるのならいつまでも待つ。
いつになってもいい。
愁斗が、俺の事を好きになってくれる事があるのならば、いつまでも待つよ。
2人でベンチへ移動し、並んで座る。
詰めれば、大人の男でも4人は座れるほどのベンチなのに、手が触れそうな距離に座る愁斗。
距離感、バグってんなぁ。
このまま、手を握ったら、愁斗はどんな反応をするのだろうか。
悪い想像が浮かび、怖くなった。
冷たい手は、ポケットにしまった。
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