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上野原高等学校革命同好会

第39話 - 第四革命ゲーム　全学年対抗非選択式じゃんけん【終】

2025年09月24日

#ミステリー

#心理戦

#推理

#デスゲーム

#エターナル・コウタ・ブリザード

鬼霧宗作

掛け声と同時に、イガラシはある教室の扉を開いた。

相変わらず、生徒達と目が合うだけの瞬間が、妙に気まずい。

イガラシはそのまま扉をそっと閉じると、改めて廊下に戻る。

イガラシ

(とっさに体が動いたけど、もうこれしか考えられない)

イガラシ

(もう、理論というか、流れ――。こうなって欲しいという理想に過ぎない)

イガラシ

(けど、それなりに根拠はある。キョウトウ先生とオオタ先生のこれまでの動きを見る限り、もうこれしかない)

革命軍

どうやら結果が出たようだな。

イガラシ

(このゲームの解法が、最終的にイーブンへと持ち込むことなのは分かってる)

イガラシ

(負けた学年を排除するというなら、そもそも負ける学年を出さなければいいだけだ)

イガラシ

(だから、極端な話、最初の段階で【あいこ】が出てくれれば、そこでゲームをやめれば良かったんだ)

イガラシ

(もちろん、そう上手くはいかなかったけど)

イガラシ

(おそらくだけど、オオタ先生もこのことに気づいたんだと思われる)

イガラシ

(だから彼女は、ずっと【グー】を出し続けた)

イガラシ

(もちろん俺の思い過ごしということもあり得る)

イガラシ

(でも、彼女の行動パターンから考えると、彼女はここで【グー】を出してくる可能性が高い)

革命軍

それでは、このゲームがどのような結果になったのか発表させてもらおう。

イガラシ

(現状、１年と３年が１勝で、２年が２勝している状態)

イガラシ

(ここからイーブンに持っていくためには、俺とオオタ先生が勝たなければならない)

イガラシ

(思い通りに行けば、全学年が２勝となってイーブンに持ち込むことができる)

イガラシ

(そして、俺の推測が正しければ、運が俺達に味方してくれている)

しばらくの間を置いて、革命軍から運命の結果が発表される。

１年【グー】

イガラシ

(そう、俺が選んだのは【グー】だ)

イガラシ

(オオタ先生が【グー】を出す可能性が高かった以上、俺も【グー】を出さなければならない)

イガラシ

(ここでキョウトウ先生が【チョキ】を出してさえくれれば、うまい具合にイーブンだ)

イガラシ

(そして、キョウトウ先生が【チョキ】を出す根拠はそれなりにある)

イガラシ

(あの人はゲームに紛れて、生徒達の様子を見て回っていたんだ)

イガラシ

(そして、この４ゲーム目は、ひと通り全てのクラスを見て回った直後)

イガラシ

(だとすれば――)

革命軍

２年【チョキ】

革命軍

３年【グー】

イガラシは大きく溜め息を漏らすと、窓際に寄りかかった。

イガラシ

(……どうやら、上手くいったみたいだな)

革命軍

このゲームでは１年と３年の勝ち。

革命軍

結果――全学年２勝ということになり引き分けか。

革命軍

負けた学年は存在しないため、淘汰される学年も存在しないということになる。

イガラシ

(やっぱり、キョウトウ先生は【チョキ】を出してくれた)

イガラシ

(そもそも、クラスをひとつずつ回る……という発想なら、そうなるはずなんだ)

イガラシ

(もちろん、起点がどちらになるかは分からないけど、もしクラスをひと通り見て回ろうと思ったら普通はどちらか――１組か３組から始める)

イガラシ

(そして、順番に教室を見て回るだろう)

イガラシ

(つまり、１組、２組、３組のパターンか、３組、２組、１組のパターン)

イガラシ

(これまでのゲームでキョウトウが出したのは、単純に【グー】【チョキ】【パー】だった)

イガラシ

(よって１組【グー】、２組が【チョキ】、３組が【パー】の割り当てになっていたか、もしくは１組【パー】、２組が【チョキ】、３組が【グー】という割り当てなっていたことになる)

イガラシ

(さて、順番はどちらからかは不明として、果たして３ゲーム目が終わった時点で、キョウトウ先生はどこにいたのか)

イガラシ

(考えるまでもなく、１組か３組の前だったはず)

イガラシ

(全てのクラスは一度見て回っている状態で、平等にクラスを見て回ろうと考えた時、キョウトウ先生はどの教室を選ぶのか)

イガラシ

(２組だ)

イガラシ

(キョウトウ先生は３ゲーム目が終わった時点で、１組か３組の前にいた)

イガラシ

(加えて、１組か３組の教室は、３ゲーム目で開けたばかり)

イガラシ

(この状況で、次の教室を選ぶ際に、もっと離れた教室――つまり、１組の前にいたら３組に、３組の前にいたら１組まで、わざわざ向かおうとするだろうか？)

イガラシ

(１組、２組、３組と回ったのならば、折り返して２組、１組――という流れになるのが自然だ。逆もまたしかり。３組、２組、１組と回るなら、折り返して２組、３組という流れになるはず)

イガラシ

(いずれにせよ、キョウトウ先生は２組――【チョキ】を出す可能性が非常に高かった)

イガラシ

(リスキーな賭けだったけど、なんとかなってくれて良かった)

革命軍

なかなか楽しませてくれる。

革命軍

まぁ、構わない。

革命軍

先生方、ご苦労様でした。

革命軍

教員室に戻っていただきたい。

革命軍

……言っておくが、下手に生徒達に干渉しようとするな。

革命軍

我々【革命軍】は、どこに潜んでいるか分からないからな。

イガラシ

(こちらのことはお見通しってわけか。今はとりあえず従うしかなさそうだ)

辛うじて危機を切り抜けたイガラシ達。

しかし、まだ彼らは知らない。

この革命の裏には、悲痛なＳＯＳが含まれていることを――。

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鬼霧宗作

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