里子
商店街を歩きながら里子が私に尋ねる。
里子はツヤツヤとした髪と欠けた前歯が特徴的な 9歳の女の子。
里子
里子の視線の先には巨大なドーム状の建物があった。
マナ
私もシェルターに目をやった。
真っ白な壁のそれは
山々の中で異質とも呼べる存在感を放っていた。
マナ
マナ
里子
里子
『ペット人間』
私たちの世界にはそう呼ばれる存在がいた。
マナ
里子
里子
里子
マナ
マナ
マナ
なぜそんな存在がいるのか?
特に私は疑問を持たず それまでの学生生活を送っていたのだ。
2週間前のあの日。
フードの男
フードの男は私たちにそう言っていた。
マナ
マナ
マナ
そのあと、フードの男の案内に従って外の世界に向かったのだ。
フードの男
地下通路を歩きながら、フードの男は私たちを見て笑っていた。
フードの男
フードの男
フードの男
フードの男
フードの男
フードの男
フードの男
そう。
シェルターにいた私たちはクローン人間だったのだ。
性別も年齢も関係ない。
全員が同じ見た目。
マナ
マナ
マナ
里子
里子
里子
私と里子は既に商店街を抜け、
今は人通りの少ない路地を歩いている。
マナ
再び私は、2週間前の会話を思い出す。
マナ
マナ
フードの男
マナ
マナ
カリナ
カリナ
カリナ
カリナ
優越感を感じるための手段として
大人たちは『ペット人間』を用意していたのだ。
里子
里子
マナ
でも…
マナ
マナ
マナ
マナ
里子
里子が少し早足になる。
私は遅れないよう、慌ててその後を付いていった。
マナ
マナ
里子
里子の足が止まる。
里子
マナ
里子
里子
里子
里子
里子が私を見た。
里子
何も言わず、私は彼女を見返す。
いや
正確には『見上げる』と言った方が正しい。
里子
身長は約2m。
マナ
里子
『女の子なんだからもう少し小柄でも良いかもな』
マナ
そんな彼は3m近くある。
里子
里子
里子の目が怪しく光る。
里子
その口が歪み、赤色の頬がつり上がった。
歯は黒く、舌は紫がかっている。
里子
マナ
マナ
里子
里子の平べったい顔が私に近づき
瞳の中にある2つの黒目が私を捉える。
マナ
私は店の看板に視線をやった。
そこには『クローン人間販売所』と書かれている。
里子
この世界では
私たちクローン人間が 『ペット』として扱われていた。
コメント
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おもろい。
絶望とはこの事か…