帰り道。僕は1人で帰ろうと思ってた
けど...愛花さんが話があるからと言って僕を連れ出した
明日またクラスメイトCに何か言われないといいんだけど...
岡崎絢也
話って何?
坂本愛花
いや〜実は一緒に帰りたかっただけで、大した話はないんだよね〜
岡崎絢也
...はい?
坂本愛花
帰る場所同じだし、いいでしょ?!これから毎日一緒に帰るからね!!
岡崎絢也
あのさ、君は分かってないよ
坂本愛花
何を?
岡崎絢也
クラスメイトCは、僕を嫌ってる。何を言われるか分かったものじゃない
坂本愛花
そんなの...気にしなくていいよ。私が守るから。絢也くんは気にしないで!!それと...
坂本愛花
やっぱり愛花さんってよそよそしいから坂本ちゃんか坂本って呼んで欲しいな。
岡崎絢也
じゃあ...坂本にする
坂本愛花
分かった!ありがとう
なんでかな。僕は坂本にはちゃんと話せる
話しやすい
人間に全く関心のない僕だけど、坂本の過去だけは聞いてみたいと思った。なんか...辛い過去がありそうだから
岡崎絢也
坂本はさ、過去になんかトラウマになるようなことがあった?
坂本愛花
あったよ!!っていうか、珍しいね。絢也くんがそんなこと聞くの
岡崎絢也
僕も辛い過去があって...それで...なんか坂本もありそうだと思ったから...
坂本愛花
話、長くなるから家に帰ったら話すよ。部屋に行っていい?
岡崎絢也
いいよ
僕は小学校以来初めて人間に興味を持った
家に帰ると、坂本は部屋に入ってきて少し息を吐いてから過去の話をしてくれた
坂本愛花
あのね...私、里親が交通事故で亡くなったって言ったでしょ?あれ、嘘なの
岡崎絢也
...え?
坂本愛花
私さぁ。親に捨てられてはいないの。けど、愛されてなかった。絢也くんはお母さんやお父さんに愛されてると思う。でもね、私は家に帰るといつも暴力振られたし、食事もまともに貰えなかったし、私にお金を使ってくれなかったし、もちろん服も1着しか買って貰えなかった。
岡崎絢也
それはひどすぎるよ。それにそれって虐待じゃ...
坂本愛花
うん。そうかもね。でも私は認めたくなかったの。それで...ずっと誰にも相談せず、逃げようとも思わなかった
岡崎絢也
で?それでどうしたの?
坂本愛花
6歳の頃はひいおばあちゃんが生きてたの。それで...私は虐待かもしれないと認める気になって...ひいおばあちゃんの家に逃げた
坂本愛花
ひいおばあちゃんは今までの話を聞くと、まず服をたくさん買ってくれた。そして、ご飯もたくさん作ってくれた。すごく大切に育ててくれた。お小遣いまでくれたんだよ
岡崎絢也
ひいおばあちゃんは優しい人だったんだね
坂本愛花
うん。私にとってはひいおばあちゃんこそお母さんのような存在だったの
岡崎絢也
でも、今はもう生きてないの?
坂本愛花
私が小学校の卒業式を終えて家に戻ったら消えてたの
岡崎絢也
ひいおばあちゃんが?!
坂本愛花
うん。持ってた鍵で家に入ったら、借金を返却しろみたいな内容の手紙があちこちに散らばってた。それで、ひいおばあちゃんは私を育てることが出来なくなったんだってわかった
岡崎絢也
じゃ、じゃあ...そのあとどうしたの?
坂本愛花
そのあとは本当に施設に入って、あとは前に話した通りよ
知らなかった
そんな過去が坂本にあったこと
坂本愛花
あのさ、帰り道で、僕も辛い過去があったっていってたけど...教えて貰えない?
岡崎絢也
いいよ。
岡崎絢也
僕はね、小学6年生の時までは友達がたくさんいたし、告白されたことだって何回かあったんだ。でも...小6の時、1番の親友だった龍馬に裏切られたんだ
坂本愛花
裏切られた?
岡崎絢也
うん。龍馬は好きな子がいて、その好きな子に告白したんだ。だけど、振られちゃった。理由は僕のことが好きだからだったらしいんだ。それで龍馬は怒り狂って僕を湖に落とした。僕は泳げなかったから、溺れそうになったんだ。何とか溺れなくてすんだけど、僕は体の神経が少しおかしくなってしまって、走れないようになってしまった。ついでに...人を信じられなくなった。人に興味すら持てないようになった。人が怖くなった時もあった。母さんや父さんのことも信じられなくなった時もあったんだよ
坂本愛花
その龍馬って子のせいで絢也くんは作り話をしないと話に入れないって思うようになっちゃったの?
岡崎絢也
そうだよ。全部龍馬のせいだ
坂本愛花
そっか...話してくれてありがとう。
岡崎絢也
うん...。坂本も...あの...その...あ...ありが...と...ね...
坂本はとても驚いている様子だった。
坂本愛花
絢也くん...今、ありがとうって言ったの...?!
岡崎絢也
そ...そうだけど...
坂本愛花
可愛い〜照れてる〜笑
岡崎絢也
う...うるさい
坂本愛花
あはは〜ごめんごめん
僕はもう一度人を信じられるだろうか
人を愛せるようになるのだろうか
僕は...龍馬のことを許せる日が来るのだろうか