コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
わたしは冷静だった
最初に死体を見た時よりも 随分と落ち着いている
別に、慣れたわけではない
むしろ 友達の死体を見たのだから 最初よりも衝撃は大きい
けれど この客室に逃げ込んでしまってから
なぜ逃げたのかも分からなくなっている
今すぐにでもあの場に戻って 事件の解明に努めたかった
中村雨音
言葉に出してみる
でも「違う」という言葉が……
自分の都合の良い言葉が 勝手に出てきているだけなのかもしれないけれど……
それでも 「違う」という声が脳内を埋めた
中村雨音
中村雨音
もはや 生き残るためだとか 犯人の掌中にいるからだとか
そんなことはどうでも良かった
わたしは "真衣ちゃんのために" 事件を解明してみせるんだ!
中村雨音
神崎隼也
中村雨音
そうか 錯乱していたわたしを追ってきたのか
中村雨音
神崎隼也
神崎隼也
中村雨音
神崎隼也
そこで神崎くんは 複雑な表情を見せた
それはそうかもしれない 犯人だと指名までした人物が 実は違っていた
それだけじゃなくて その指名した人物が、翌日には殺されている
神崎くんは 罪悪感のようなものを覚えているのか
中村雨音
神崎隼也
中村雨音
神崎隼也
神崎隼也
中村雨音
神崎隼也
中村雨音
神崎隼也
神崎隼也
中村雨音
中村雨音
神崎隼也
中村雨音
神崎隼也
中村雨音
生半可な気持ちではない
まだ意思は 完全には固まっていないかもしれない
でも 鋳型は真衣ちゃんが作ってくれた
もうこれで絶対に揺らぎはしない きっと
きっとやり遂げてみせる
密室殺人、かぁ
矛盾しているカテゴリーに他ならない と、私は思う
殺人が起こっている時点で 密室は破られているのだ
相容れるものとして容認するのは 酔狂なミステリ好きだ
つまり彼らは 論理を重んじるくせに ロマンをも重んじる
そうね、例えば……
密室殺人において 密室トリックだとかいう言葉がある
それは誤りなんじゃないだろうか
トリックとは 元来、人に気付かせないためのものだ
ミステリなんかでは 事件を解決する名探偵がいたりする
だから それは"見破られるもの" として扱われる
けれども 単体のトリックに着目するならば
あくまで犯人は その場にいる全員を騙す気概を持ち合わせている
でも、どうでしょう?
特にこの場合においての 密室トリック
自殺にみせかけるため
その目的が先行して 犯人が作り上げたというのなら
「マーダーゲームハ オワラナイ」
……この犯行声明は必要ないわ
発想を逆転させてみるというのは どうだろう?
つまり 自殺に見せかけるためではなく 殺人だと認知されるのを承知していた
…………なら
密室トリックなんて必要ないわ
この場合は トリックという言葉自体が破綻している
ロマンを切り捨てて 密室を科学するのなら
何もかもが違っている
そう、これは論理的じゃない……
心が解らない
新城綾香
新城綾香
2名ほどの足音がする 若い男と若い女か
中村と神崎……
中村雨音
新城綾香
目を向けると 中村と神崎がちょうど入ってきた
神崎隼也
新城綾香
神崎隼也
新城綾香
新城綾香
中村雨音
新城綾香
心
それは醜く美しいものである
犠牲があって成長する
人は何かを殺し続けて 心を修繕するのだ……
そんなことを考えていると 二人は既に調査を開始していた
神崎隼也
新城綾香
二人に 橘真衣が両手でナイフを掴んでいる という不審な点
私たちのスマホが全て破壊されているという事実
そこから導かれる自殺の可能性の否定 犯人像と一連の犯行の矛盾
そしてこれが 密室殺人なるものであること
新城綾香
神崎隼也
神崎隼也
新城綾香
中村雨音
新城綾香
私達は問題の扉を調べ始めた
扉の前に来た
扉の上部や下部を見るが 地面と壁の際までぴったりと付いている
普通は災害のことを考慮して、隙間はとられているものだが……
とにかく 糸を通したりする小細工は厳しそうだ
表面は木でできていて モダンなデザインで洒落ている
しかし 色々とこの扉は異質であった
新城綾香
神崎隼也
そう言って神崎は、あるものを指した
神崎隼也
神崎隼也
確かに それに続くどの扉を見ても そんなものはない
中村雨音
中村雨音
新城綾香
中村雨音
神崎隼也
僅かだが 外側に出っ張ってしまっている
中村雨音
新城綾香
中村雨音
中村は首を傾げて そのドアスコープを注視している
しかしそれを止めてしまうと ぽつりと言葉を出した
中村雨音
新城綾香
神崎隼也
神崎隼也
中村雨音
新城綾香
本当にそうですね と、中村は言ってうつむいた
神崎隼也
新城綾香
中村雨音
中村雨音
神崎隼也
中村雨音
中村雨音
新城綾香
推理が進む しかしこれで何がわかるのか
私は無意味を楽しんだ
神崎隼也
神崎隼也
中村雨音
新城綾香
神崎隼也
3人は扉の内側に回り込んだ
新城綾香
神崎隼也
中村雨音
神崎隼也
中村雨音
中村雨音
新城綾香
中村雨音
神崎隼也
中村雨音
中村雨音
中村雨音
神崎隼也
新城綾香
中村雨音
顎に指を当てて考えている
しかし寸分の後 中村は大きな声を出した
中村雨音
神崎隼也
中村は両手を合わせて パンと叩いた
中村雨音
神崎隼也
中村雨音
中村雨音
神崎隼也
新城綾香
中村雨音
新城綾香
中村雨音
神崎隼也
神崎は間抜けな声を出した
よほど突飛な発想に映ったらしい
私は、中村を観察した
もう何を言いたいのかは察したが それにしても、この記憶力と洞察力…
そうか
心は一度殺されて 本来の心が機能し始めたのか
中村雨音
神崎隼也
神崎隼也
新城綾香
中村雨音
中村雨音
神崎隼也
中村雨音
本当に記憶力はいいらしい
新城綾香
新城綾香
中村雨音
新城綾香
中村雨音
神崎隼也
神崎隼也
中村雨音
新城綾香
神崎隼也
こうして 密室は科学された
しかしまだ 満足そうな顔は見せず
他に考えるべきことはないか
二人を見ると いかにもそんな様子が伝わってきて 面白かった
そこで 神崎がハッとして意見した
神崎隼也
神崎隼也
新城綾香
神崎隼也
新城綾香
神崎隼也
新城綾香
新城綾香
神崎隼也
新城綾香
中村雨音
神崎隼也
神崎隼也
新城綾香
新城綾香
中村雨音
新城綾香
神崎隼也
うっかりしていた
二人には話していなかったか
しかし、時間経過的にも そろそろ帰ってくるはずだ
新城綾香
神崎隼也
神崎隼也
中村雨音
新城綾香
事実 スピーディーであった
この少女はなかなかに侮れない
けれど あくまで方法がわかっただけだ
1番の本質は "なぜ" にあるだろう
そうしないと 犯人の特定は難しい
さあ 私達は解き明かすことができるのだろうか
楽しみで仕方がない
新城綾香
神崎隼也
間もなく 野嶋と新海が現れた
観察すると 新海の方は何やらさっぱりとしている
気持ちでも新たにしたのか
野嶋は……
野嶋は 何を考えているのか、読み取れない
……なぜ?
心が、解らない
新海拓馬
神崎隼也
新海拓馬
野嶋隆
神崎隼也
野嶋隆
中村雨音
神崎が中村の功績を長々と語った
野嶋隆
野嶋隆
中村雨音
新海拓馬
中村雨音
新海拓馬
中村雨音
新海拓馬
神崎隼也
新海拓馬
野嶋隆
新海拓馬
新城綾香
まず X県に住んでいるのかどうかを問われた
私、中村、神崎は 「住んでいる」 と、答えた
奇妙な符号は不安を増大させる
さらに 橘邸には、地方新聞が揃えられており
そこに載った中村と新海の記事 これがスクラップされて 意図的に置かれていたこと
そこから考え出される推理 ……つまり
全てが計画的に組み込まれている 可能性を示唆する事実を
私達は伝えられた
神崎隼也
中村雨音
神崎隼也
野嶋隆
もともと深く刻まれたシワが
いっそう険しくなり
私達をじっくりと見回してから
やはり、読めない心で
野嶋はこう言った
野嶋隆