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武田
武田
昼休み
屋上の一角
黒尾は片手でパンをもぐもぐしながら
なんとなくその言葉に耳を傾けた
話してるのは武田
柵を飛び越えそうな勢いで前のめりだ
黒尾
武田
武田
武田
武田
武田
黒尾
黒尾
武田
武田
武田
武田
武田
武田
その瞬間黒尾の口からパンが止まった
隣が課題を写していた益若が
顔だけ上げて言った
益若
武田
武田
黒尾
益若
黒尾
益若
益若
武田
武田
黒尾
武田
武田
黒尾
吉田
ニヤニヤしながら
屋上に足を踏み入れたのは吉田だった
ジャージのまま座り
プリントをクシャっと潰した
黒尾
黒尾は口にパンを入れたまま
吉田を見上げそう言った
吉田
吉田
そう言った吉田の顔は
なんか…腫れてた
益若
武田
吉田
吉田
吉田
益若
益若が冷静に切り離すと
武田
武田
武田
武田
武田
黒尾はただ黙っていた
武田のその言葉が
どこか喉の奥に引っかかる
そういう感じか…
食べかけのパンを置いたまま
黒尾は空をぼんやり眺めた
遠くてチャイムがなった
チャイムがなって
教室から人がどんどん流れ出していく
○○はゆっくり廊下を歩く
カバンの紐をくるくると指に巻きながら
どこに行こうかぼんやり考えていた
渋谷…いや
なんか今日人多そう
ちょうど曲がり角に差しかかる
その時
ぶつかりそうになったのは
背の高い男子
真っ黒な髪に、3つほど空いたピアス
制服の気崩し方すら
計算されたような
軽やかな空気を纏った人
黒尾くんだった
○○は1歩だけ引いて
目を伏せた
別に気まずくもないけど
興味もないという態度
…なんか最近
このグループに会うけど
やっぱり賭けかな…
そう思ったけど
黒尾もそれ以上何も言わずに通り過ぎた
○○
勘違いだったのかな
まぁいいやと思い○○もその場を後にした
渡り廊下を抜けて
校舎裏の静かな場所に来ると
風が少し冷たかった
○○
行く場所が決まらず
○○は学校にそのまま居た
スマホを手にしたまま
○○はベンチに腰を下ろした
帰る気はまだない
どこ行こう…
そこに1人の男の子がふらりと現れた
益若
益若
そこに居たのは
金髪でさらっとした、長身の男子
益若くんだった
目が合うと
彼はどこか探るような視線で○○を見てくる
益若
益若
○○
○○
○○
○○は穏やかに微笑んだ
冷たくもなく
媚びた感じでもない
ほんの少しだけ警戒した距離感
益若くんは少し驚いたように目を細めた
益若
益若
○○
○○
益若
益若
益若
益若
益若
○○
○○
益若
益若くんは軽く笑った
女子が騒ぐだけあるビジュの良さだった
益若
それだけ言い残し
軽く手を振ってそのまま帰っていった
○○はその背中を見送った
○○
どんな想像されてんだか
まぁ…距離がある方がいいんだけど
結果私は渋谷に足を運んだ
やっぱり人多い…
渋谷での声掛けには
反応しちゃダメ
無視するのが1番
ちらっと横を見ると
まぁまぁ顔は良かった
この人しつこいな
いつも通りの街
知らない男たち
誰でもいい
どうせ残らない
裏路地のバーに向かうと
ドアに「closed」の札がかかっていた
○○
今日水曜だったの忘れてた…
横に目を向けると
さっきの男がまだいた
○○
○○
○○
○○
○○
私は裏路地に姿を消した
カチャと家に入ると
リビングから明かりが漏れていた
あれ…
○○は靴をそっと脱ぎ
リビングを覗く
ソファにスーツの上着を脱いだ男
父親がいた
片手にビール
テレビはつけっぱなし
お父さん
振り返りもせずに
低い声が響いた
○○は何も言わず
キッチンを素通りして自分の部屋に向かおうとする
お父さん
お父さん
○○
○○
お父さん
声が少し強くなった
○○
○○
○○は足を止め
振り返らずにそう言った
○○
○○
冷たい空気がその場を包み込んだ
少しして
父親が立ち上がる気配がした
お父さん
その言葉だけを残し
父は玄関のドアを開けて出ていった
○○はリビングに1歩だけ入り
空になったビールをじっと見つめた
○○
その言葉に○○の頭の中に
“あの先輩”の姿がぼんやりと浮かんだ
○○
○○
○○は力が抜け
そのままソファに倒れ込んだ
もう…終わったことでしょ
コメント
2件
おや,なにやら訳ありな感じですね,⁉️ きんにくまんさん毎話神すぎます🥹💖 黒尾はなんか賭けをしていない,?みたいな感じなのすごくいい‼️大好きです‼️‼️‼️