短編集

自分のこと、大切にできてますか？

18時、静かな部屋の中。

たまたまサイトをスクロールしていて 出てきた、その広告。

ご相談はこちらまで─────

呟いた言葉は、虚空に溶ける。

苦笑いで、何かを隠した。

泣いても許されませんからね。 謝るまで教室に入れません。

幼稚園の年中さんの時、 着替えが遅くて放り出された時に 言われた言葉。

泣いても誰も許しません。 言わないんだったら授業せずに いつまでもここですから。

小学1年生の時、 ちょっとの喧嘩でもすぐ親が 動いた元友人のせいで、 先生に呼び出されるのがすっごく怖かった。

母にも叱られたけど、 全部濡れ衣だったっけなぁ。

なんで泣くの？ 私が悪者みたいじゃない。

中学生の時、体育の先生に 再提出のものを出しに行って 遅いと怒られた時に 放たれた言葉。

返されてから1日で 出しに行ったんだけどなぁ。

泣いたらなんでも許される。 小さい頃はそう思ってたんでしょ？

何歳の話？ だから覚えてなくてもごめんって いつも謝ったじゃん。

母にも、歳の離れた従兄弟にも、 何度何かを頑張ってもそう言われた。

そんな事、思ってない。 私だって、泣きたいわけじゃない。

だから笑った。

誰にも何も悟られないように、 傷付いたらすぐトイレに閉じこもって トイレットペーパーとお友達。

笑って、笑って、笑って。

「泣く子は悪い子」だから、 何があっても笑って。

でも、そのせいで本当の 自分がわかんなくなって。

いつからか、自分自身も敵だった。

泣き虫ってレッテルが嫌いだった。

私だって、昔の自分にあったら 叩いてやりたい。

「あんたが考えて行動できてたら」

「あんたが、泣かなかったら。」

「私は、私自身も、 昔の私も許さない。」

「貴方は一生自分も敵だって、 後悔してればいい。」って、

心の傷は増えてるとも知らず、 何度もその言葉で自分を戒めて。

何を言われても 「ごめんなさい」「私が悪いです」って。

「偽善者」って言われても、

「可愛こぶってる」って言われても、

「泣けばいいと思ってる」って、 言われても。

私に自分を癒す権利はない。

だって、泣く子は悪い子だから。

泣き虫の私は、永遠に悪い子。

中3の私に会ったら、 真っ先に言ってやる。

私はただ、笑い続けた。