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見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

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見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

40 - バトル7 太郎合わせゲーム【3】

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2025年01月05日

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二ツ木の掛け声に呼応するかのごとく、各々の周囲に漂っていた絵本が集まる。

その数――3冊。

二ツ木

分かりやすいように、太郎とそうではない絵本は、色分けされている。

二ツ木

黒い絵本は太郎以外。

二ツ木

白い絵本は太郎。

彼女に言われ、それぞれの前に漂う絵本を確認する。

一宮の前に漂うは――白い本。

七星の前に漂うは、黒い本。

そして、二ツ木の前に漂うは……黒い本。

七星

これは、目の前にある絵本が、自分の出した絵本ということになるのか?

二ツ木

そう、色がついているから気づきにくいかもしれないけど、確認してみて。

二ツ木

ちゃんとあなたの絵本だから。

そう言われると、少しばかり目をこらす七星。

七星

確かに、これは私の人魚姫だ。

一宮も改めて確認すると、自分の目の前に漂っているのは桃太郎だった。

一宮

(危ない――。このタイミングで太郎を出していなかったら、全員太郎出さずで、俺か七星が負けていたじゃないか)

現在の親順は【1】であり、二ツ木の親順が【2】で確定している以上、一宮か七星のいずれかが【1】だったことになる。

もし一宮が太郎を出していなかったら、初っ端から負けるところだったわけだ。

一宮

(俺達は自分と、その仲間のフォローまで考える必要があるから、立ち回りが難しいな)

一宮

(今だって、辛うじて太郎を出したから負けることを回避できたけど、これで俺はもう太郎をこのセットで出せなくなった)

一宮

(つまり、俺達のどちらかで確定している【3】の親順で、太郎を出すことはできない)

二ツ木

それじゃ、次の親順行くよ。

一宮

(ここから俺は完全に捨て試合というか、出す本を選ぶこともできない)

一宮

(どちらの親順でも太郎以外を出すしかないからな)

こうして、これまでと同じ流れでゲームは進む。

みんなが次に出す絵本を思い浮かべ、そして二ツ木の合図でオープンされる。

二ツ木

オープン。

親順【2】の結果、一宮が出したのは当然のように太郎以外――すなわち黒い本。

七星が出したのも黒い本。

ただ、二ツ木が白い本を出し、ここも辛うじて太郎が出ないという状況は回避された。

一宮

(俺が太郎を出せない以上、全員が太郎を出さずで二ツ木を負けに追いやるしか手段がない)

一宮

(ただ、今回は駄目だったみたいだな)

一宮

(これで太郎を出していないのは七星だけだ。もちろん、次で七星が太郎を出すから、ノーゲームで次のセットか)

一宮の考え通り、親順【3】では七星が太郎を出して負けを回避。

七星が知っていた親順が、一宮のものであれ二ツ木のものであれ、勝ちに行く出しかたではなく、負けを防ぐ出しかたと言えよう。

一宮

(実際にやってみて分かったが、仕掛けるタイミングがこのゲームは難しい)

一宮

(攻撃に転じようとしても、後の防御で困ることになるかもしれないから、七星が言っていた通り、読み違えがあると一発で負けることになる)

二ツ木

それじゃあ、次のセットに行こうか。
ちなみに、今のセットは七星が【1】番目、私が【2】番目、一宮が【3】番目でした。

二ツ木の一声で、次のセットへと移る。

二ツ木の頭の上から数字が消え、今度は七星の頭上に現れる。

彼女の親番は――【3】だった。

一宮

(七星の親順は【3】か――。彼女を勝たせるために太郎を温存しておきたいけど、しかしそうすると自分の親順で下手を打つかもしれない)

ふと、七星と目が合った。

彼女は険しい顔をしながら、二ツ木の頭上を見つめていた。

七星

ひとつ確認したい。

七星

親順はランダムで決まるとのことだが、同じ親順が立て続けに選ばれることはあり得るのだろうか?

二ツ木

まぁ、たかだか3分の1だから。

二ツ木

3分の1を連続で引き当てることは珍しくないから、同じ親順を立て続けにやることは充分にあり得ると思うよ。

七星

そうか――ありがとう。

一宮

(七星、どうしてそんな質問を――。そもそも、親順がどれであろうと、そんなに戦況に変わりはないんじゃ)

改めて七星と目が合うと、彼女は一宮だけに分かるように、左目をうっすらと2回閉じた。

一宮

(え?)

一宮

(今のウインクか?)

一宮

(なにか、俺に伝えたいことでもあったんだろうか)

一宮

(それにしても七星、ウインク下手すぎるだろ)

そんなことを考えた瞬間のことだった。

一宮

(ちょっと待てよ、太郎が揃ったら勝ちで、太郎が1冊も出なかったら負け。そして、太郎は一度しか出せないなら……)

一宮

(そうか、そういうことか!)

一宮の脳裏に浮かんだひとつの可能性。

一宮

(ただ、それが分かったところで対策することはできない)

一宮

(考えろ、なにか打つ手があるはずだ)

一宮

(この状況を打開できなければ、いずれ俺か七星が負けることになる)

一宮

(考えろ、考えろ、考えろ!)

一宮

(見つけるんだ。突破口を!)

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