TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

亮輔

文明は進化した、って言うけど。進化したのはロボット分野だけだよ。

亮輔

だって、ロボットが人間と全く一緒の姿になったぐらいで

亮輔

それ以外は俺のジイちゃんの頃からそんなに変わってないもん

 出会ってまだ間もない彼女に、亮輔はそう言う。

彼女は透き通るような心地のいい声で「そうですね」とだけ返事をした。

 技術開発は進み人間の生活は便利にはなった

しかし、空想の物語の中で描かれていた未来……、

例えば引き出しを開けて部屋に押し入ってくる青狸 タイヤ無しで走行する車、 過去へと遡れる機械、 そういった物は この 二十二世紀になっても開発出来ていない。

亮輔

いや、勿論大幅に変わったことはあるよ

亮輔

広告なんかは、今みたいにそこかしこに貼ってなかった

亮輔

ジイちゃんが持ってた写真を見たけど、今みたいにそこら中に広告なんかなかったよ

亮輔

今はさ、地面、建物の外壁、挙句の果てに空に広告を投影させてる

亮輔

それにこの前なんかは広告の入った服が発売になったしさ

亮輔

とにかく購買意欲を掻き立てるために躍起になってる、って感じだよなあ

 亮輔はそう言いながら煙草を取り出し、火をつける。 煙草の巻紙に書かれた新しい煙草の宣伝文句を 一字一字ゆっくりと火が葬っていく。

亮輔

なんかさ、広告ばっかり見えちゃうから、疲れる

亮輔のその言葉に、彼女は反応したようだった。

それでしたら、我社の栄養ドリンクはどうでしょうか?
一日一本飲むだけ疲れがみるみるとれて……

亮輔

宣伝ロボットか。もう、何を信じていいのやら

そのまま延々とドリンクを宣伝し続ける彼女を突き放すと、 火のついたままの煙草を地面へと吐き捨てる。

そのまま不機嫌そうに歩き続けていると、後ろから声を掛けられた。

よっ、どうだ?いい女の子はナンパできたか?

亮輔とまったく同じ顔、同じ声の人間がそこに居た。

亮輔

お客様、申し訳ありません。まだいい女の子がいなくて……

亮輔

お客様とそっくりな姿にしてがんばってはいるのですが……

その言葉の後で、 亮輔の顔と一緒のロボットはぺこりと頭を下げた。

本物の亮輔はため息をついた。

やっぱりナンパはロボ任せじゃダメか……

がっくりとうなだれた亮輔は、そのまま夜の街に消えていった。

残されたロボの亮輔は、本物の代わりにナンパを始める。

亮輔

ねえ、俺と本物の恋をしない?

その声が、空しく繁華街に響いていた。

テキストオンリー短編集 髑髏

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

47

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚