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さわさわと

鼻になにかが当たる感じ

むず痒くて目を開く

目の前にあったのは ゆらゆらと動く細長い…?

愛菜

んん…

愛菜

マヨ〜こしょばいよ〜

私の鼻をくすぐってたのは 愛猫のマヨ

毎朝こうして起こしてくれるけど もう少し無いのかな〜って思う

優しく起こしてくれてるから 文句は言えないんだけど

愛菜

おはよう、マヨ

お礼としてマヨが満足するまで 撫で回す

マヨが好きな顎の下とか 顔とか背中とか

かわいいなあ、なんて思っていると 下からお母さんの呼ぶ声

いつの間にか自分の方が 夢中になってたみたい

愛菜

いけない!

愛菜

マヨ、下行こう

愛菜

早く朝ごはん食べなきゃ!

私が立ち上がると、「やっとか」 みたいにマヨもついてくる

いつもより撫でてしまったみたい

ごめんねと言いながら 階段をかけおりて下の階へ行く

愛菜

お母さんおはよう!

バタバタと席について トーストを口に運ぶ

今日の朝ごはんは トーストと牛乳とりんご

いつもより時間がなかったみたい

けど今日はこっちの方が有難いかも

落ち着いて食べなよ

ゆっくりと珈琲を飲むお母さん

朝の仕事を終えて休憩タイムかな

愛菜

そうしたいけど、今日はむりなの!

今日は時間に追われるしかない

だってもうすぐ…

そっか、今日はあの日ね

ピンポーン

と同じタイミングで 鳴るインターホン

愛菜

え、もう!?

ちょっと早いわね

出てくるから着替えてらっしゃい

愛菜

うん!

最後の一欠片のトーストを 口に放り込んで牛乳を流し込む

愛菜

ごちそーさま!

お粗末さま

食器は割らないように慎重に しながら早足で片付けて

部屋にかけこむ

着替え終わってすぐに玄関へ急ぐ

愛菜待って

お弁当、忘れてる

愛菜

あ、ありがとう!

お母さんからお弁当を多少 奪い取るような形で貰い

ドアノブに手をかけた時

愛菜

愛菜

なに?

お誕生日

おめでとう

ふんわりと笑いかけてくれる お母さん

愛菜

ありがとう!

私も同じように笑う

前に友達にお母さんとそっくりに 笑うねって言われたっけ

愛菜

行ってきます!

行ってらっしゃい

勢いよくドアを開ける

家の門の前には携帯から顔をあげた 男の子が1人

よお、おはよう

愛菜

おはよう!

幼なじみの律くん

お隣さんで付き合いも長く、高校に あがってからも一緒に登校している

髪ボッサボサだぞ?

愛菜

え、ほんと?!

慌てて直していると吹き出す律くん

彼は私のドジな所を見ると いつも笑い出す

愛菜

笑わないでよ〜

ごめんごめん

まだ急ぐ時間じゃねえけど、
行こうぜ

愛菜

うん!

二人で歩きだそうとすると 忘れてたというように彼が止まる

愛菜

愛菜

なーに?

誕生日だろ、今日

その…おめデトウ

口を尖らせて耳をほんのり 赤くさせながら彼は言う

照れながらもお祝いしてくれたのが なによりも嬉しくて

めいっぱい、できるだけ 元気いっぱいに

この暖かくなった心のように明るく

愛菜

ありがとう!

笑って感謝を述べる

…おう

そう言ってそっぽを向いちゃって

しばらくの間 目を合わしてくれなかったけど

私は高校に着くまで 胸がポカポカしていた

は?

俺が1番じゃなかったのかよ!

愛菜

うん、ごめんね

愛菜

お母さんが出る時に言ってくれて

なんだよ…

今年こそはと思ったのに…

愛菜

で、でも!

愛菜

私は律くんに言われたのが
1番嬉しかったよ!

…ならいいけどよ

モンシロ楪

こんにちは

モンシロ楪

あるいはこんばんは

モンシロ楪

いかがだったでしょうか

モンシロ楪

彼女のお誕生日を1番に祝いたかった彼氏のお話でした

モンシロ楪

毎年お母さんに負けてるんですけどね

モンシロ楪

ちなむと彼氏くんは優しいので

モンシロ楪

0時ぴったりにおめでとうと言う発想はありません

モンシロ楪

起こしたくないのです

モンシロ楪

彼女ちゃんは健康優良児ですので

モンシロ楪

自分もつい先日誕生日を迎えたので
書きました

モンシロ楪

祝ってくれる相手はいませんが…

モンシロ楪

それでは

モンシロ楪

見ていただきありがとうございました

カップル短編詰め

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