紫髪病

最終日

目を覚ますと

ボクは目を見開いた

強烈な倦怠感に襲われる

それだけではなかった

吐血、頭痛、過呼吸

今までの症状が同時に襲ってくる

しばらくして収まってきた

体を起こすだけでも10分ほどかかってしまった

それでも

やっとの事で立つともう体力を使いきっていた

いまにも崩れ落ちそうな体を無理に動かし

位置情報を頼りにそらるさんの元へ向かった

そらるさんの位置情報はカフェを指していた

着いた頃にはボクの意識はほぼなく

気合で動いているようなものだった

テラス席に楓を見つける

ボクが見たのは

楓がそらるさんのバックを漁り財布から1万円札を取り出すところ

いつの間にかボクの体は動いていた

楓がそらるさんの財布を自分のバックに押し込んでいるのを見て

許可は得ていないのだと確信する

力の限り声を出す

それでもかすれていたと思う

ボクは声の主を見て微笑んだ

トイレを済ませ席に戻ろうとすると

まふの声が聞こえた

よく見ると楓が俺の財布を持っていた

俺の顔を見たまふは何故か嬉しそうな顔をしていた

取った1万円札を見せつけながら楓は去っていった

追いかけようとした時

バタリ

まふが倒れた

携帯に伸ばした俺の手をまふが弱々しい力で握る

するとまふは苦しそうに、しかし意地悪そうに笑って

ボクは薄れゆく意識の中で明るく振舞っていた

けれどそらるさんは

泣いていて

普通恥ずかしくて言えないようなセリフが飛び出して

驚きながらも喜んだ

ボクはゆっくりと目を閉じた

浮遊感があって

どこまでも飛んでいける気がして

これが

死

なんだなぁって

そう感じた

その時だった

唇に柔らかい感触があって

ボクは現実に戻った

ボクは呆れて

それでも嬉しくて

満面の笑みで言った

そらるさんが抱きついてきた

そらるさんは泣き始めた

翌日

最後は変な感じだったけど