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ミュール
…
ミュールは静かに…静かに、銃を構える
アメリア
…
アメリアもミュールに銃口を向けた
ミュール
先に撃った方が勝ち…なんて単純にもいきませんものね
ミュール
アメリア様ならきっと予測して逃れてしまうのでしょうから
アメリア
お前はそもそも銃の影響を受けるのか？
ミュール
当然です
ミュール
私は"不良品"ですから。簡単に壊せますよ
アメリア
…
アメリア
…ずっと不思議だった
ミュール
？
その瞬間、ミュールは迷いなく銃を撃つ
アメリア
…お前、抜かりないな
ミュール
…主様の、言いつけですから。
アメリア
ミュール。お前は戦闘能力値も高いし頭も切れるやつだ
アメリア
状況を冷静に判断することもできる
アメリア
でもお前はいつも自信なさげに、控えめにいる
アメリア
そのことがずっと…不思議だったんだよ。
アメリアは3発擊ち、怯むミュールに距離を詰める
その隙に弾丸を装填し、再び銃口を向ける
アメリア
"主様"に囚われたまま。
アメリア
あのとき私は言ったぞ、好きに生きろって
アメリア
…お前はそれで、いいのか？
ミュール
…私に意思はございません
ミュール
ただの、ツクリモノですので。
ミュールは薄く笑う
アメリアはくるっと背後に回り込もうとする
アメリア
！
ミュールはそんなアメリアの腕を掴み、振り落とす
ミュール
貴方の動きは、私に"学習"されています
ミュール
分析し、貴方を…倒すため
ミュール
貴方の弱点を、私は知っているのです
ミュール
きっと初めから…こういう運命だったのでしょう
アメリア
…っ
アメリアはその手でミュールの手を掴み、投げ落とす
アメリア
ハッ…ムカつくな
アメリア
機械なんかに私は測定できない
ミュール
…「機械なんかに」…そうですか
ミュールはゆったり起き上がり、アメリアをまっすぐ見る
アメリア
そんな数値を、結果を、信じるのは馬鹿みたいだと
アメリア
サンラシファーで、お前は思わなかったのか？
ミュール
サンラシファー…ああ、私たちを数値化して対戦相手を選んだらしいですね
ミュール
確かにその数値は信用していいとは言いがたいです
ミュール
ですがこちらの数値は科学ですから
ミュール
魔法みたいな不確定要素は、ありません。
ミュールは再びアメリアを撃ち、避けた先のアメリアに向かってくる
アメリア
いかにも政府的考え方だな。
そんなミュールの足元を、アメリアは躊躇なく撃った。
ミュール
なっ…
ミュール
その体制から狙いを定められるとは…流石ですね
アメリア
お前が信じるべきものは、科学でも魔法でもない
アメリア
そういう力学的な話ではなくて───
ミュールは不安定な足で立ち上がる
ミュール
…貴方の言葉は私には届きませんよ
そしてアメリアに狙いを定める
アメリア
お前の、心だ。
ミュール
ですから、そういう不確定要素自体が────
アメリア
お前に心が、情がないわけないよ
アメリア
今までのお前はずっと、私たちに何かをしてくれようとしていた
アメリア
viperと戦ったときだって…
ミュール
あれは
ミュール
私の正体がバレないように、皆から離れただけです
アメリア
ならお前は正しい人数や状況を報告する必要もなかったし
アメリア
なんなら、誰も倒せなかったと言えばよかったのに
ミュール
…違和感の少ない形を探しただけです
アメリア
メラと私に、仲良くしてほしいと言ったことは？
ミュール
！
ミュール
それは、アメリア様たちを全員まとめて殺せるように…
アメリア
今だって私をまだ様付けで呼んでいる
ミュール
それは───！
アメリア
ほら
アメリア
手が、止まってるぞ。
アメリアは素早くミュールの眼前に飛び込み、ミュールの掲げる銃口を、自身の額に突きつけた
アメリア
撃ってみろ
アメリア
…本当に、お前に心がないと言うのなら
アメリア
お前が本当に、主様にだけ従うというのなら！！！
ミュール
バカ、ですか？
ミュール
貴方、今、簡単に殺されてしまうのですよ？
アメリア
いや
アメリア
お前は殺さない。
アメリア
私を、撃てない。
アメリア
（私が、こんなことをするなんて）
アメリア
（これも───コイツらと出逢わなきゃ、起こり得なかったことだ。）
アメリア
（ただ信じ…心を少しでも動かすんだ。私の命を、捧げ。）
ミュール
────…
ミュールは銃を持ち直し、ぐっと力を込めた
ミュール
…これで終わりです、アメリア様。
ミュール
さようなら。
テヘル
…ハッ
テヘル
やっとこの日が来たかよ
シャーウ
………
テヘル
なあ、ひとつ聞かせてくれ
テヘル
なんで…ここに"王族は来ない"？
シャーウ
…まあ、そうなるか。もうviperがどういう組織かは知ってるんだもんね
シャーウ
初めは来る予定だったんだ。でも簡単な話だよ
シャーウ
これは僕の、個人的な感情が混じった戦いだからだ──。
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