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私の彼氏は〝束縛彼氏〟

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私の彼氏は〝束縛彼氏〟

4 - 私の彼氏は“束縛彼氏” 4話

♥

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2020年04月18日

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真菜

あれから私は、和から逃げるように自分の部屋へ駆け込んでベッドへ潜り込んだ。

真菜

…っいっ

私の右腕にはさっき和に付けられたばかりの痛々しい“痣”があった。

真菜

もう……嫌

あんなに優しかったのに

付き合ってた頃は暴力なんて絶対しなかったのに

すっかり“豹変”(ひょうへん)してしまった和。

真菜

……、もう、嫌、いつまで、続くの…?

そう呟きながら痛々しい無数の痣を見る。

もう私の中の“和”への気持ちは

“好き”から

“恐怖”へ

変わってしまったのかもしれない。

その時、“ピンポーン”て音が外から聞こえた。

真菜

…今、和お風呂入ってるから出れないし私出てもいーよね?

いつもは“真菜は出るな”って言われてるけどお風呂入ってるから分かんないよね?

もしかしたら大事なのかもしれないし!

そう思って慎重にドアノブに手をかけ、そっと開けばそこにいたのは

息を切らした翔の姿があった。

真菜

…っえ、翔!??

翔は相当急いできたのかハアハアッって肩で息をしている。

あのさっ、あいつの事で真菜に聞きたいことがあって…っ!

真菜

…“あいつ”って和の事?

そう

真菜

聞きたいことって?

何をって…、1つしかないだろーがっ…

真菜

…?

……“D V”

真菜

…っ!!

まさかそんなことを聞かれるとは思わなくって思わず返答に詰まる。

…黙ってるってことは…されてんだろ?

真菜

そ、それは…

じゃあ、“YES”か“NO”でいいから今、率直に答えてみ?

真菜

…っ

じっ、と翔は真剣な表情で私を見る。

真菜

…翔

ん?どした?

真菜

あのね、さっきの答えなんだけど…

…“YES”なんだろ?

真菜

…っ

そう、あたかも知ってたように言う彼に何も言い返せなくなる。

…翔、知ってたの?

私はゆっくりと首を縦に振った。

…やっぱり、か…

翔はそう言って険しい表情へと変わる。

真菜

…ぇ?翔、知ってたの?

いや、知ってたわけじゃねーけどさ

真菜

じゃあ…、何で?

真菜の腕や足にある痣とあいつとの接し方とかで大体想像が付いたんだよ

真菜

そっか…

だからさ、俺―

翔が何かした言いかけたところで奥でガタンッ_って音がしたと思ったら…。

和也

2人で、俺に内緒で何してんの?

いつの間にか和がすぐ傍にいた。

真菜

…っ、か、和、いつ出てきたの?

っ…

和也

さっき。それに真菜、俺がいない時に勝手に出ちゃ駄目だといつも言ってるだろ?

和は口元はフフッて笑っていたけど目は明らかに笑ってなかった。

それどころか私と翔の方を睨みつけてる、……そんな恐ろしい目付きで。

和也

真菜、早くこっちおいで

真菜

…っ

和也

何迷ってんの?素直に“はい”って言って俺のとこ来るだけじゃん

和は壁にもたれながら手招きして、私を呼んでいる。

正直…和の所に行くのが……怖い

“お仕置き”されるからってのもあるけど、身体が和に対して恐怖感を覚えた。

和のことは…嫌いじゃない

でも、“和の事好きなの?”って聞かれても正直戸惑ってしまう

なかなか行こうとしない私に和はイライラした表情を浮かべながら自分の頭をわしゃわしゃ掻いて

和也

ぁーっもう、来いっつーたら早く来いよ!そんな簡単なこともできねーのかよ!

和は壁から身体を離しガシッて物凄い力で和の方へ引っ張られた。

真菜

…っ和、痛いっ

和に引っ張られた腕は薄く赤くなっていた。

和也

何?素直にすぐ来なかった真菜が悪いんでしょ?前にも言ったでしょ?真菜は俺のモノなんだから…ね?俺の言うことは“絶対”でしょ?

真菜

……っ

私は和に何も言い返せなかった。

そんな自分が本当に情けなく思う。

和也

ほら、良い子だから先にリビングに行ってな?

真菜

ぇ…、でも、翔、が

和也

聞こえないの?“俺の言うことは絶対”ってさっき言ったよね?

真菜

っ…それは

和也

口答えは良いから、いーから早く?ね

口元では優しい口調だけどそれは完全に“口元”だけ目は完全に私を睨んでる。

真菜

わっ、分かった

本当にそう思ってるわけじゃない。

でもここで“嫌”とは言えなくて私はゆっくりとリビングの方へ向かおうとしたとき

…、待てよ!

そう言って翔は優しく私の腕を掴んだ。

真菜

…っ翔?

和也

お前、何馴れ馴れしく真菜に触れてんの?早く離せよ

離したとこで真菜をどうする気?これ以上また傷つけんの?身体も中身も

和也

は?何言ってんだよ

お前、俺分かってんだぞ?

すると和はフッて一瞬笑みを浮かべ

和也

あのさ、俺と真菜の間のことなんだからさ、部外者のあんたは口を挟まないでくれる?

っ…なっ…

部外者って…和、流石にその言い方はひどいって

てめっ…、何が部外者だ

和也

えー?だってそうじゃん?

怒る翔に対して平然とした表情で和は言っている。

真菜

和っ…、“部外者”は無いでしょ?翔は私が会社でお世話になってる人だもん

和也

何?俺の言ったことに否定してんの?そんな事、真菜ができると思ってんの?

真菜

っ……、だって

和也

いーから真菜は黙ってろ!

真菜

…っ

いつだってそうだ和の言うことに対して駄目とは言えない

いや、言わせてくれないんだ

和也

だからそう言う訳で、まず離してもらえる?真菜の腕

…良いよ

和也

ほぉー素直じゃん?最初っからそー言えばいいんだよ。ほら、さっさと離せよ

ただし、条件がある

和也

はあ?何で俺がお前なんかの言うことなんか聞かなきゃいけない訳?

あっそ、じゃあ無理

そう言うと翔はもう片方の手で私を翔のとこへ引き寄せた。

真菜

?!翔

いまいち今の状況が読めてない私。

気づいたときには私の身体は翔の腕の中。

和也

っ、お前、なに俺の真菜に気安く触れてんだよ…!!!

和は翔の行動に腹を立てたのかドンッ_て思いっきり壁を叩いた。

その音にビクッて体が震えた。

そんな私に気づいたのか翔は優しくポンッと肩を優しく叩いて“大丈夫?”って耳元で囁かれた。

真菜

う、うん!大丈夫…っ/

翔、本当に優しすぎるよ

和が今でも翔のように優しかったらな

和也

おぃ。離せよ

和はものすごい剣幕でこっちを見ている怖い、とその瞬間思ってしまって身体が震えた。

は?何言ってんだよ。離すわけねーじゃん

和也

あんたにそんな事言う権利ないし

あっそ、じゃああんたも俺に指図すんな

和也

っマジで腹立つなお前…

和はグッて力一杯拳を握っている。

それを見た瞬間背筋がゾクッてした。

だってこれをする時って和が“1番”怒ってる時だから。

彼氏であるあんたには悪いけど、真菜をここに置いとくわけにはいかないから

和也

は?何言って…

和の問いに翔は聞かず、私の腕を掴んだままドアの外へ出た。

もちろん翔に腕を引っ張られてる私は一緒にドアの外へと出た。

家の前には見覚えのない黒い車が一台止まっていた。

真菜

しょ…翔?

そう訊いた瞬間フワッて体が中に浮いたと思ったら翔に持ち上げられていた。

真菜

っ//翔!?ちょ!!

いーから、じっとしてて

翔にそう言われると同時に助手席ポスッて乗せられた。

真菜

え?え?

早く!シートベルト!!

真菜

あ、うん

翔に言われ、慌ててシートベルトをする。

車の外からは和の呼ぶ声がした。

じゃあ行くからな

翔は手馴れた様子で素早くキーを回し車を発進させた。

真菜

翔!?何処行くの?

着いてからのお楽しみ~♪

翔は語尾“♪”なんか付けてフフッて優しく笑いながらそう言った。

和也

許さない。あいつだけは絶対に

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄

真菜

―…、んぅ…、?

…あっそうだ私、車の中で寝ちゃってたんだっけ

あ、目、覚めた?

翔はニコッて私の方を向いて微笑みながらそう言った。

真菜

しょ…翔、私の寝顔見てた?

ばっちりと(‪笑)

真菜

うっそ!!何で見たのー!?

あー、それと寝てる時よだれがダラダラ~って(笑)

真菜

えええーっ!!!嘘!

嘘でした~♪

真菜

馬鹿馬鹿~!翔の馬鹿ぁ!!一瞬でも本気にしちゃったじゃんか!

俺の言葉をそのまま信じるお前が悪い(笑)なーんてな!(笑)

翔はそう言いながら、意地悪っぽい笑みを浮かべていた。

真菜

それよりさ、ここ何処?

車の中から見えたのは、綺麗な海。

えー?海だけじゃん?(笑)

真菜

見たまんまじゃん!

翔は海の近くにある駐車場に車を止め“降りるぞ”と言われ、私も一緒に降りる。

ちょっと行きたいとこがあるんだ

そんなことを急に言われ知らないよ!って思いつつも、翔に腕を引っ張られてるから一緒に行くことに。

よーし、着いたぞ

あれから数分かけてやっと翔の行きたいという場所へたどり着いた。

そこには1つの長細いベンチがあってその前の柵の向こうに見えたのが

さっき見えた綺麗な海

ほら、ここから見てみろよ

翔に手招きされ、隣へ行く。

真菜

わぁ~!すっごい綺麗

だろ?俺が見つけたんだ

真菜

すごっ!!こんなに綺麗に海が見える場所があったんだね!

まぁ、でも見つけたのは一昨日くらいだけどな

真菜

最近じゃん!

まーな(笑)

真菜

でもさ、何でこんな場所に私を連れて来てくれたの?

翔にそう、訊けば、“んー”って、大きく伸びたあと

俺さ、一昨日来たときあることで迷っててたんだよな

真菜

えっ!?そうだったの?

そーなの!で、そんな時ここに来て、この海を見てたらそんな気持ちがスーッて消えていってな

真菜

……

お前、あいつのことで悩んでそうだったし

真菜

……っ!!

翔、やっぱり気づいてたんだ、“和”の事で悩んでたこと

だから、ここに連れてきた

フフッて口を抑えながら翔は軽く笑う。

真菜

翔、なんか色々と…ありがとね

ん。大した事ねーよ!あ、でも外はもう暗いし、寒いから自分でいいと思ったら言って?車に戻るから。風邪ひくといけないし

真菜

分かった!ありがとね

翔はそう言いながら先に駐車場の方へ歩いて行った。

残された私は、柵から見える海を眺めながら和の事をずっと考えていた。

私の彼氏は〝束縛彼氏〟

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コメント

26

ユーザー

翔くんがよることから言うことまで全部イケメンすぎます! でも最後の所でやはりニノの事も気になってる気がします! 楽しみです‼

ユーザー

翔君イケメンw

ユーザー

続き楽しみに待ってます!

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