TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

エラー

……………

エラー

…………!?

エラー

(もうあいつの前……!?)

エラー

おい、起きろ!

フラン

………ん………

フラン

………あれ、どうしてあの部屋じゃないの?

エラー

知るか……

フラン

とりあえず布外すよ

少女

…画家様たちがいらしてもう6日かしら?

少女

いろいろと描いていただいたわね!

少女

おかげで私にも綺麗に色がついたでしょう?

フラン

うん!
凄い綺麗!

少女

ふふ、ありがとう

少女

お礼に最後は画家様の好きな色で塗らせてあげる

少女

そう、最後の日だからね

少女

あなたたちのおかげで箱の中身を思い出したのよ

少女

ほらみて
綺麗な耳飾りでしょ?

少女

私が物置部屋を漁ってくすね……集めてたんだから

エラー

(盗んだんだな)

少女

うーん、どれがいいかしら

少女

これまで散々文句をつけてきたから

少女

最後くらいは画家様たちに選ばせてあげる

少女

やさしいでしょう!

エラー

(……最初に比べれば優しい……のか?)

フラン

これってなに?

エラー

…お前知らないのか?

フラン

うん、私あんまり外に出ないから外の事はあまり知らない

エラー

…これは貝殻っていって海の砂浜とかにあるやつだ

フラン

うみ?

エラー

……簡単にいえば広い水だ

フラン

えー水は嫌いー……

エラー

…この話はどうでもいい
そろそろ選ぶぞ

エラー

左から…ホタテ貝、巻貝、さくら貝、しじみ貝だ

フラン

へー!知らなかった!

少女

うふふふ、それじゃあ…

少女

最後に右の耳に描いていただこうかしら

エラー

どれにするかはお前が決めろ
こういうのは俺には合わん

フラン

うーん…じゃあ…

フラン

……うん!これにする!

少女

決まったかしら?

フラン

うん!
あ、でも少女ちゃん

少女

フラン

右耳に付けなきゃなんだから反対を向いてもらわないと!

少女

ふふっ、今更小手先のいじわるじゃ画家様には物足りなかったかしら

少女

はい、どうぞ
お描きになって

フラン

少女ちゃんにはこれが似合うよ!
色は花と同じ青色ね!

少女

あらホタテ貝…これにしたのね

少女

…覚えておくわ

少女

このことは秘密よ
あなたたちと私だけの

少女

少しでも違う格好をしたらとても怒られるんだから

エラー

それでずっと同じ格好をしていたのか

少女

ふふふ、そうよ

少女

おしゃれをするとお出かけしたくなるわね

少女

野山は今の時期になると色づきがいいのでしょう?

エラー

(…今がどの時期かは分かりかねるが…)

エラー

……まぁ、山から見る星空とかは凄いと思うが…

少女

ふふ、そうでしょう?

少女

それに海にも行ってみたいわね
貝殻を拾ってみたいわ!

フラン

えー…海って水なんでしょ?
濡れるのは嫌だなぁ…

少女

ああ…
でも私じゃダメかしら

少女

塩の水も強い風もカンバスには悪そうよね

フラン

やっぱり!
海には行きたくないよね!

エラー

お前ら海嫌いすぎだろ…

少女

あら…
だいぶ陰ってきたわね

少女

そろそろお帰りの時間だわ

少女

階段を上ればここから出られると思うわ

エラー

(…階段……)

エラー

(……あの階段を登れば…出られる)

少女

じゃあ…おやすみなさい

バタン

フラン

……どうする?

フラン

階段を登れば…出られるかもだけど…
でもこの絵……このドア…

フラン

あのドア…だよね?

エラー

……………………

エラー

……せっかくなら完全クリアしたいだろ?

エラー

行くぞ

フラン

……うん!!

フラン

……今のって、まさか

『お姉さんは あの部屋の 窓から落ちて』

『ああ この先を 思い出すのも 恐ろしい』

『なんてことを 私は なんてことをしたのだ』

老人

窓から小鳥を逃がしてしまったんだ

フラン

(少女ちゃんの絵が…真っ赤に…染まって……)

老人

餌をやろうと鳥かごを開けたばっかりに

エラー

(こいつは……あの夢の…)

老人

泣き叫ぶ私のために姉は枝に留まった小鳥を

老人

つ 捕まえようとして窓から身を乗り出し

ドン

フラン

…少女ちゃん!

老人

美しかった姉の首は、手足は枯れた花のように折れ曲がり

老人

沈みゆく夕焼け空の如く!
あ 赤黒く染まって

老人

それから青くなっていった!

老人

あの一瞬の美しさを私はもういちど

老人

もういちど私は見たかったんだ!

エラー

(…コイツは中々に狂ってやがる)

エラー

(姉の死を悲しむでもなく、その姿を、死を美しいと感じるとはな)

エラー

(そして姉に似た子供…コイツを見つけて拾っては)

エラー

(同じ振る舞い、同じ服装、同じ子守唄、同じ死因)

エラー

(何もかもを真似させることで、こいつの最低の望みが叶ってしまった)

老人

描け!!
この娘が、この色彩が、沈みきってしまう前に!!

フラン

……あのね

フラン

少女ちゃんは貴方のモノじゃないんだよ

ベチャ

老人

この一瞬の美しさを

老人

カンバスに閉じ込めろ!!

フラン

貴方の私物じゃないの
なのに過去の幻影に囚われてばっかりで

フラン

どこまでいっても自分勝手な人間だね

ベチャ

老人

なんだ、この耳飾りは!?

老人

こんなもの、姉はつけていなかったぞ!!

フラン

(……耳飾り……)

老人

私が庭園で作った拙い花飾りを

老人

姉はいつもつけていてくれたんだ!!

フラン

少女ちゃんには少女ちゃんの個性がある
少女ちゃんの感情が、好みが、夢が

フラン

お前の人形になるために産まれてきた訳じゃない

フラン

……私、お前みたいなやつ大っ嫌いなの

ベチャ

老人

何をしてる!描け!
貴様は画家だろう!

老人

画家ならばこの美しさ、描かなければなるまい!!

フラン

何も美しくなんてない、お前の身勝手な醜さがあるだけ

ベチャ

老人

みろ!
……みてくれ、こんなに

老人

こんなに、美しいではないか!

フラン

少女ちゃんを解放して

フラン

解放しないつもりなら…無理やりにでも解放させるから

フラン

きゅっとして……

エラー

(……くそ、意識が……飛ぶ……)

エラー

(このままじゃ…アイツは……)

『あの時』

『あの時彼女は、まだかろうじて息があった』

『片方の目だけが虚ろがちに開きながら私をみていたのだ』

『血と夕焼けの色を焼きつけたあの赤い瞳を』

『私は忘れることができないだろう』

この作品はいかがでしたか?

4

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚