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#しおたろう
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静まり返ったリビングの電気をつける。 片付けられた部屋は綺麗だけど、どこか冷たくて、あいつの気配だけが色濃く残っている。 俺は吸い寄せられるように、ベッドルームへと向かった。 ベッドの端に腰掛け、勇斗がいつも使っている枕をそっと抱きしめてみる。 その瞬間、部屋中に満ちていたあいつの香りが、さらに強く俺の五感を支配した。
吉田仁人
視界が、急激に熱くなって視界が滲む。 あいつの匂いに包まれた途端、これまで必死に張り詰めていた心の決壊が、一気に崩れ落ちていくのが分かった。 寂しい。 めちゃくちゃ、寂しい。 いつもなら、鬱陶しいくらいに「仁人、仁人」って名前を呼ばれて、無理やり抱きしめられて、高い体温を押し付けられていた。 「近すぎる」って文句を言っていたあの時間が、今の俺にはどうしようもないくらい愛おしくて、恋しくて、堪らない。 強がって、一人でも平気なフリをしていたけれど、俺の心はもう、あいつがいないと正常を保てないくらい、佐野勇斗という存在に侵食されていたんだ。 枕に顔を埋めて、溢れ出てくる涙を堪えるように身を縮める。 その時、静かな部屋に、俺のスマホがブブブ、と激しく震えた。 涙を拭いながら画面を見ると、そこには画面いっぱいに映る、少し疲れた、だけど愛おしいあいつの顔。 勇斗からのビデオ通話だった。 慌てて通話ボタンを押すと、画面の向こうの勇斗が、ホテルのベッドらしき場所に寝転びながら、くしゃっと嬉しそうに目を細めた。
佐野勇斗
吉田仁人
なるべく鼻声にならないように、ぶっきらぼうに返す。 画面の向こうで、勇斗が一瞬、驚いたように目を見開いた。 そして、俺の潤んだ目元に気づいたのか、愛おしさが爆発したような、切ない顔に変わる。
佐野勇斗
いつもなら「そんなわけない」って言い返すはずなのに。 あいつの匂いに包まれた今の俺には、もう嘘をつく余裕なんて残っていなかった。
吉田仁人
ぽろり、と一粒の涙が頬を伝う。 画面の向こうの勇斗は、今すぐ画面を突き破ってこちらに来たそうな顔をして、もどかしそうに髪を掻きむしった。
佐野勇斗
画面越しに響く、あいつのうるさくて、熱くて、真っ直ぐな声。 まだ距離は離れているけれど、あいつの言葉と、この部屋に満ちる香りが、俺の凍えそうだった心をじんわりと温めていく。
吉田仁人
あと3日。 あいつが帰ってきたら、今度は俺のほうから、あの狂おしいほどの距離へ飛び込んでいこう。 そう心に決めながら、俺はあいつの声に耳を傾け続けた。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第2話、めちゃくちゃ良かった……。仁人が勇斗の匂いに包まれて崩れるとこ、すごくリアルで胸がぎゅっとなった。あんなに強がってたのに「寂しいよ」って素直に言えた瞬間、こっちまで泣きそうになったよ。勇斗の「帰ったら離さない」も、仁人のことどれだけ大事か伝わってきて、もう尊すぎて頭抱えた。3日後の再会、絶対見たい……!続き心待ちにしてます🌙