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気がつくとそこは

記憶の片隅に閉じ込めていた景色だった

来夢

ここは……

来夢

来夢

この家は

来夢

もう存在しないはず…

何故か冷たい床に横になっている僕は

ぼんやりとそんなことを思う

え?

あの子の
クリスマスプレゼント?

どこからが懐かしい声がする

来夢

お母……さま……?

誰かと電話をしているようだ

その声の元へ行きたいが

どうしてか身体が全く動かない

必要ないわ

あの子、無口で無愛想だし

プレゼントなんてあげても
喜ばないでしょう

そんなことない

そう言いたくても声も出ない

あの子、私にもあなたにも
似てないじゃない

しかも能力者でしょう

私たちの子じゃ無いんじゃ
ないかしら?

どこかで取り違えたとか?

来夢

やめて……

自分の息子になんてことを……

本当

気持ち悪い子

来夢

やめてください!!

やっと身体が動き僕は跳ね起きる

来夢

はぁ、はぁ、

呼吸を整え辺りを見渡す

いつもの見慣れた部屋

本の匂い

来夢

夢……

時計を見ると深夜2時半

来夢

最悪だ

来夢

よりによってあの日の夢を
みるなんて

この指先の震えは12月の寒さからだろうか

それとも……

留宇

……で

留宇

その後一睡も出来んかった、と

留宇が受話器の向こうでため息をつく

電話の向こうからでも苦笑しているのが 容易に想像できた

来夢

すみません

来夢

頭がフラフラして

来夢

留宇の声ちょっと
頭に響きます

留宇

おー誰がうるさい
ハム太郎やねん

来夢

それは言ってな…

留宇

全くそっちが電話
してきた癖に

留宇

今日が23日で良かったな

留宇

明日彼女さんと
デートやろ?

来夢

どうしてそれを

留宇

や、適当言った

留宇

図星かいな

来夢

うう……

留宇

ほんまラブラブで
羨ましいわー

留宇

後でお土産話聞かせてな♡

いつも通りの留宇のマシンガンにすら まともに返す余裕が無い

留宇

まぁ僕に電話してきたっちゅーことは仕事任せたいんやろーけど

来夢

難しいですか

留宇

今日ひまわりーずは
僕も含めて商店街の
イベント手伝いやねん

留宇

ブラックシティ芸術学校の
オーケストラ呼んで
催し物するんやってさ

来夢

なるほど……

留宇

まぁ世間は今日から冬休みやし図書館の利用者も
増えそうではあるよな

来夢

今日は閉めるしか

留宇

や、ちょっと待って

何やら電話の向こう側で誰かと会話を している留宇

留宇

先輩ならこっち来てへんし
いけるんちゃうか……

留宇

今日バイト無いって?

留宇

ほな頼んでみるか……

声が筒抜けである

来夢

先輩……?

留宇

ごめんお待たせ!

留宇

来夢さ

留宇

初対面の人でもええかな?

留宇

仕事はこっちで説明しておくから

来夢

えっ

留宇

ひまわりーずに3月に入った
3歳年上の先輩やねんけど

来夢

しょ

来夢

初対面はちょっと

留宇

大丈夫だいじょーぶ

留宇

実友みたいにうるさくない

留宇

見た目はちょっと
びっくりするかもやけど

留宇

むしろ物静かでシャイな人やで

留宇

来夢と波長が合うんちゃう?

来夢

う〜〜〜……

普段から学校に行かず 自宅兼図書館に引きこもっている

人と会話するのはすごく苦手だ

初対面なら尚更

留宇

選びぃ?

留宇

図書館閉めるか

留宇

先輩呼ぶか

来夢

なら閉め……

留宇

愛衣ちゃんも来られへんで

来夢

来夢

……かりました

来夢

その方呼んでください

留宇

ふふ、チョロいなぁ

うわぁ

すごい悪い顔してるんだろうなぁ

留宇

ほな

留宇

1時間後くらいに来てもらうように連絡しとくわ

そう言って電話は切れた

来夢

はぁ……

愛衣ちゃん

この名前が出ただけで 僕の思考は彼女に支配されてしまう

来夢

早く会いたい……

彼女の事を考えると

今朝の夢を少しだけ忘れられる気がした

午前8時半

なんとか身体を起こし 朝の業務を行っていると

来夢

……?

来夢

バイク……?

バリバリと腹に響く排気音が近づいてくる

その音は図書館にある駐車場の 方角で止まった

この図書館にバイクで訪れる人に 思い当たる利用者はいない

珍しいな、などと考えていると

〜♪

正面玄関のチャイムが鳴る

来夢

もしかして……

留宇の言っていた先輩だろうか

途端に心臓の鼓動が速くなるのを感じる

留宇の知り合いとはいえ 初対面・先輩というだけでこんなにも 身体が強ばる

来夢

ヘタレだなぁ

なんて呟きながらエントランスに向かった

お邪魔致します……

入口付近でどう足掻いても家主に聞こえないであろう声量でウロウロしている青年

来夢を見つけると安心したように 深い緑色の目を細める

来夢様……でいらっしゃいますか?

来夢

そ、そうです……

来夢

貴方は留宇の話していた…
……えっと……

そういえば 名前を聞いていなかった

青年はハッとして僕の前で深々と 頭を下げる

はじめまして……

留宇くんからのお話で
本日こちらの図書館の運営を頼まれてまいりました

ひまわりーずNO.19
百済 百(くだら びゃく)と
申します

来夢

百さんですね

来夢

あ…この星空図書館の管理人
夢川 来夢(むかわ らいむ)と
申します

来夢

……

まじまじと百さんの姿を見つめる僕の視線に何かを察したようで

その

僕のようないかにもな風貌の者が代理でさぞご不安かとは存じますが

精一杯務めてまいりますので、どうぞよろしくお願い致します

来夢

いえ……

来夢

むしろお忙しい中
ありがとうございます

百さんは確かに 耳や顔に何個もピアスを付けている

髪の緑色のメッシュ 鮮やかな色のアイシャドウ 左腕から覗く百足の刺青 華やかな和風パンクの服装

留宇の言っていた 「見た目はびっくりする」と言っていた通り 最初は驚いたが

話してみれば 物腰の柔らかい丁寧で品のある青年だ

そして

……

来夢

……

あっ

来夢

あっ

遮ってしまいすみません!
お先にどうぞ……

来夢

いや、そちらこそ

た、大した用事では
ございませんので

来夢

僕もですよ

……

来夢

……

この人…

同類だ

後編に続く

ひまわり依頼所 読み切り集

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152

コメント

5

ユーザー

うわ!!!!!来夢さまー!!!!! 百済くんいるの最高だね〜?!?!

ユーザー
ユーザー

読み切りのつもりが、長くなってしまったためわけました。 後編はTwitterの相互さんのキャラクターとのうちよそになっています! お楽しみに🥰

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