気がつくとそこは
記憶の片隅に閉じ込めていた景色だった
来夢
来夢
来夢
来夢
何故か冷たい床に横になっている僕は
ぼんやりとそんなことを思う
どこからが懐かしい声がする
来夢
誰かと電話をしているようだ
その声の元へ行きたいが
どうしてか身体が全く動かない
そんなことない
そう言いたくても声も出ない
来夢
自分の息子になんてことを……
来夢
やっと身体が動き僕は跳ね起きる
来夢
呼吸を整え辺りを見渡す
いつもの見慣れた部屋
本の匂い
来夢
時計を見ると深夜2時半
来夢
来夢
この指先の震えは12月の寒さからだろうか
それとも……
留宇
留宇
留宇が受話器の向こうでため息をつく
電話の向こうからでも苦笑しているのが 容易に想像できた
来夢
来夢
来夢
留宇
来夢
留宇
留宇
留宇
来夢
留宇
留宇
来夢
留宇
留宇
いつも通りの留宇のマシンガンにすら まともに返す余裕が無い
留宇
来夢
留宇
留宇
来夢
留宇
来夢
留宇
何やら電話の向こう側で誰かと会話を している留宇
留宇
留宇
留宇
声が筒抜けである
来夢
留宇
留宇
留宇
留宇
来夢
留宇
来夢
来夢
留宇
留宇
留宇
留宇
留宇
来夢
普段から学校に行かず 自宅兼図書館に引きこもっている
人と会話するのはすごく苦手だ
初対面なら尚更
留宇
留宇
留宇
来夢
留宇
来夢
来夢
来夢
留宇
うわぁ
すごい悪い顔してるんだろうなぁ
留宇
留宇
そう言って電話は切れた
来夢
愛衣ちゃん
この名前が出ただけで 僕の思考は彼女に支配されてしまう
来夢
彼女の事を考えると
今朝の夢を少しだけ忘れられる気がした
午前8時半
なんとか身体を起こし 朝の業務を行っていると
来夢
来夢
バリバリと腹に響く排気音が近づいてくる
その音は図書館にある駐車場の 方角で止まった
この図書館にバイクで訪れる人に 思い当たる利用者はいない
珍しいな、などと考えていると
〜♪
正面玄関のチャイムが鳴る
来夢
留宇の言っていた先輩だろうか
途端に心臓の鼓動が速くなるのを感じる
留宇の知り合いとはいえ 初対面・先輩というだけでこんなにも 身体が強ばる
来夢
なんて呟きながらエントランスに向かった
百
百
入口付近でどう足掻いても家主に聞こえないであろう声量でウロウロしている青年
来夢を見つけると安心したように 深い緑色の目を細める
百
来夢
来夢
そういえば 名前を聞いていなかった
青年はハッとして僕の前で深々と 頭を下げる
百
百
百
来夢
来夢
来夢
まじまじと百さんの姿を見つめる僕の視線に何かを察したようで
百
百
百
来夢
来夢
百さんは確かに 耳や顔に何個もピアスを付けている
髪の緑色のメッシュ 鮮やかな色のアイシャドウ 左腕から覗く百足の刺青 華やかな和風パンクの服装
留宇の言っていた 「見た目はびっくりする」と言っていた通り 最初は驚いたが
話してみれば 物腰の柔らかい丁寧で品のある青年だ
そして
百
来夢
百
来夢
百
来夢
百
来夢
百
来夢
この人…
同類だ
後編に続く
コメント
5件
うわ!!!!!来夢さまー!!!!! 百済くんいるの最高だね〜?!?!
読み切りのつもりが、長くなってしまったためわけました。 後編はTwitterの相互さんのキャラクターとのうちよそになっています! お楽しみに🥰