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日向 翔陽
そう声を掛けられたのはいつもの体育館ではなく、帰り道の交差点だった。
ひなたは自転車を押しながら、隣に立つ澪を見つめていた。
彼の眼差しはどこまでも真っ直ぐで優しくて、でもどこか鋭い。
霧島 澪
いつもの笑顔。
みおは反射的にそう答えたけれど、
ひなたは首を横に振った。
日向 翔陽
その瞬間、澪の仮面がひび割れた。
誰にも気づかれないと思っていた。
ずっと普通を演じていた。
なのに。
霧島 澪
日向 翔陽
日向 翔陽
彼は静かに、けれど確かに笑った。
日向 翔陽
霧島 澪
日向 翔陽
その言葉に胸が痛くなる。
優しすぎるんだ、日向くんは。
自分だって壊れたままなのに、どうしてそんなふうに言えるの。
そんな眼差しで見ないでよ。
涙が出そうになって、必死に目を逸らした。
次の日、教室で起きた小さな事件は
やがて静かに澪を追い詰めていく。
笑い声、ざわめき、誰も止めない無関心な空気。
(また始まった。)
澪の手が震える。
(どうして私だけ…)
誰も味方なんてしてくれない。
期待するから裏切られる。
だからもう、誰も信じないって決めたはずなのに。
ふと、ドアの前に立つ日向の姿が見えた。
その目がクラスの中を静かに見ていた。
そのあと彼は何も言わずに立ち去った。
放課後。体育館。
霧島 澪
澪の声は震えていた。
日向はゆっくりと頷いた。
日向 翔陽
霧島 澪
日向 翔陽
日向 翔陽
日向 翔陽
日向 翔陽
霧島 澪
日向 翔陽
日向 翔陽
それは日向がずっと抱えていた孤独の正体だった。
日向 翔陽
ぽつりと落とされた言葉は
優しくて、苦しくて、暖かくて。
澪はとうとう涙を零した。
(信じたい。でもまた裏切られたら…)
そんな恐怖と温もりの間で、
心が引き裂かれそうになる。
でも_
その日からは澪は少しだけ教室に背筋を伸ばして入るようになった。
背中を抱えてくれる誰かがいると思えるようになったから。
そして日向もまた、自分の傷跡に光を当ててくれた澪の存在に
少しずつ希望を見つけ始めていた。