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#ギャンブル
りんご
904
19
朽華 歌仙
78
コメント
1件
いやもう、最初から最後まで息が詰まるようでした……。85点で「けっこういけた」って思った香流さんが、まさか87点に負けて吊るされるなんて。点数差が2点でも、命の重みが全然違うのが辛いです。でも特に心に残ったのは、勝った小恋奈さんや莉乃さんが「喜べない」と俯くところです。自分が生き残るために、誰かが死ぬ。その罪悪感がひしひしと伝わってきました。次は歌音さん。歌が得意な子が、どうなるのか……怖いけど、続きが気になります。
【SYSTEM】
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世斐羅女子学院校歌のイントロが流れた。
パネルに歌詞が表示され、浅井香流は震える手でマイクを握る。
小さく息を吸い、歌い始めた。
音楽を選択し、授業にも真面目に取り組んでいる。
派手さはないが、音程を丁寧になぞる澄んだ声が、“黄の間”に響いた。
生島菜々美
最後の音が消える。
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パネルで、2つの数字が別々に高速回転した。
左側が止まる。
8。
少し離れた右側に、5。
2つの数字が中央へ滑り、1つの得点となる。
85点。
浅井香流
香流は大きく息を吐いた。
普通のカラオケ採点と考えれば、十分に高い数字だった。
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曽我部小恋奈がマイクを握る。
背中までの黒髪をツインテールにし、分厚い眼鏡をかけた少女で、“眼鏡っ娘4人組”の1人。
学院の合唱コンクールでは、毎年ソプラノを担当していた。
校歌も歌い慣れている。
曽我部小恋奈
だが、これは合唱コンクールではない。
負ければ死ぬ。
その意識が消えるはずもない。
最初の声は震えたが、歌が進むにつれ安定していく。
透き通る高音が、黄色い空間を満たした。
歌い終え、小恋奈は両手を胸の前で握った。
【SYSTEM】
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浅井香流
左側に8。
香流の表情が強張る。
右側は――7。
数字の隙間が、先ほどより狭く見えた。
87点。
曽我部小恋奈
浅井香流
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浅井香流
頭上のバルーンが揺れ、垂れた紐が生き物のように伸びた。
浅井香流
先端の輪が、香流の首へ絡みつく。
浅井香流
輪が締まり、バルーンが上昇する。
香流の身体が床から浮いた。
浅井香流
両手で紐を外そうとし、両脚が空を蹴る。
だが、抵抗は次第に弱まった。
やがて、両腕が垂れ下がる。
黄色い光の中で、香流の身体だけが揺れていた。
生徒たち
バルーンは香流を吊ったまま、部屋の隅へ移動した。
曽我部小恋奈
小恋奈も喜べなかった。
自分より2点低かった少女が、視界の端で揺れている。
生島菜々美
菜々美は名前を繰り返した。
けれど、香流の顔より、85という数字の方が鮮明に残っている気がした。
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和久井莉乃と牧原志穂が前へ出た。
和久井莉乃
第3試練では、幼馴染みの由香利を失った。
第5試練では、全員から「人を殺しそうだ」と投票された。
何度越えても、死の恐怖には慣れない。
和久井莉乃
志穂も青ざめていた。
牧原志穂
2人とも、歌は得意ではなかった。
莉乃は音を外し、志穂は緊張で声を裏返らせる。
抑揚も呼吸も乱れていた。
莉乃の採点結果が表示される。
5。
少し間を置き、6。
56点。
和久井莉乃
続いて、志穂。
5。
離れた右側に、2。
52点。
牧原志穂
生島菜々美
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牧原志穂
バルーンから紐が降りる。
牧原志穂
黄色い輪が首へかかった。
牧原志穂
紐が締まり、身体が持ち上がる。
牧原志穂
叫びが掠れ、もがいていた身体から力が抜けた。
バルーンは、志穂を香流の隣へ運ぶ。
2人の身体が、黄色い光で並んで揺れた。
和久井莉乃
莉乃は、生き残ったことを喜べなかった。
56点への安堵より、また自分だけが残った苦しさが顔に浮かんでいた。
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立花瞳子が、迷いなくマイクへ向かう。
立花瞳子
クラスメートにはほとんど知られていないが、瞳子の趣味は1人カラオケだった。
週に一度は、人目を気にせず好きな曲を歌う。
“鉄の女”の意外な一面だった。
歌声は力強く、音程も安定している。
鍛えた肺活量で、最後まで声がぶれなかった。
歌い終えると、数字が表示される。
9。
離れた位置に、2。
92点。
生徒たちがどよめいた。
加藤麻冬
加藤麻冬は動揺を隠せない。
加藤麻冬
加藤麻冬
平静を装ってマイクを握った。
だが、歌い出しから声が上ずる。
92点を意識し、普段なら外さない音程まで乱れた。
歌唱が終わる。
左側に8。
右側に1。
数字の間は、先ほどの92と同じくらい広く見えた。
81点。
加藤麻冬
立花瞳子
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加藤麻冬
バルーンの紐が降りる。
加藤麻冬
輪が首へ絡み、身体を吊り上げた。
加藤麻冬
顔が苦痛に歪む。
何度も脚を動かしたが、やがて力を失った。
3つ目のバルーンが、部屋の隅へ移動する。
香流。
志穂。
麻冬。
3人が、黄色い天井から吊られて並んでいる。
生島菜々美
第1戦は87点が85点に勝った。
第2戦は56点が52点に勝った。
第3戦は92点が81点に勝った。
すべて、高得点者が通過している。
新倉穂乃花
生島菜々美
菜々美はモニターを見つめた。
85と87。
56と52。
92と81。
高い数字が勝つ。
それ以外の共通点は見つからなかった。
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歌音が前へ出た。
恐怖の中に、隠しきれない自信がある。
歌手を目指し、何年も声を磨いてきた少女。
これまでの3戦と同じく、高得点者が勝つなら――
根来歌音
多くの生徒も、同じことを考えていた。
黄色いバルーンが、歌音と摩智の頭上へ移動する。
揺れる2つの輪が、どちらの首を選ぶのか。
まだ、誰にもわからなかった。